取扱いコミックは、少年・青年・少女がそれぞれ1/3づつ。比較的新しいコミックが中心だが、なかには80~90年代のコミックもある。
女性に人気が高い、おかざき真里の『サプリ』はTVドラマ化された作品。女性は好きな作者に凝る傾向が見られたため、青年・少年コミックはタイトル順、少女コミックは作者名順に陳列するようにレイアウトを変えたという。
ポイントカードを導入し、貯まったポイントに応じて毎月所定の冊数が無料になるサービスも展開。既に800ポイントを貯めた強者もいるそうだ。
「ビブリーガ」オーナーの永田哲男さん(28歳)。「好きなマンガをたくさんの人に楽しんでもらいたいので、借りやすい料金設定で、随時様々なキャンペーンを実施しています」というマンガ愛に溢れる人物だ。
淡島通り沿いにある店舗。週に何度も利用する客が多いそうだが、なかには会社帰りに毎日立ち寄る人もいるとか。
料金は1冊60円/泊、2泊なら1冊70円。延滞料は1日20円/冊。7泊8日なら、9冊までは90円/冊だが、10冊以上~19冊まで70円/冊、~29冊まで65円/冊など割引きもあり、大手と比較してもお得感を感じる価格設定だ。さらに3月からは、1冊1ポイントが貯まるポイントカードを導入。100ポイントで毎月1冊、200ポイントで2冊・・・1,000ポイントで10冊と、累計ポイントに応じた冊数がその後毎月(!)無料で借りられるサービスもスタートした。
「長期間、定期的に利用していただきたい、いろんなマンガを読んでもらいたいので、料金はなるべく安く設定しました。また、大手と差別化するために、おもしろい独自のサービスもいろいろ取り入れていきたい。とりあえずやってみよう!というスタンスです。マンガを読んで欲しくて始めた店なので、お客様が来てくれないと楽しくないんですよね。コンビニみたいにライフスタイルの一部に組み込まれて、毎日来てもらえる場所になるのが理想なんです」(永田さん)。
客単価は数冊分の120円~20~30冊まとめ借りする1,300円前後と幅広い。扱うコミックは青年・少年・少女それぞれが同比率。開店時に仕入れた約1万5,000冊は全て、レンタルコミックの中古業者から買い取ったものだという。実は、レンタルコミックにも中古業者が存在し、閉店した店舗からコミックをまるごと買い取り、冊数単位ではなく店舗単位で販売しているのだそうだ。
オープン後に独自で仕入れたものは、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ(荒木飛呂彦)や、『獣医ドリトル』(原作・夏緑、作画・ちくやまきよし)『キン肉マン』(ゆでたまご)など、永田さんお薦めのものに加え、『俺物語!!』(原作・河原和音、作画・アルコ)といった「マンガ大賞」や「このマンガがすごい!」大賞のノミネート作品などをセレクト。人気は『ジョジョの奇妙な冒険』『銀の匙(さじ)』(荒川弘)『サプリ』(おかざき真里)など。
オープン前は小中高生の来店が多いことを予想していたが、客層は意外にも20代~30代が中心で男女比は半々。親子連れやカップルでの来店も目立つという。大半が近隣住民だが、淡島通りを利用する自転車通勤者の来店もあるという。リピーター率は7~8割と高い。
近年、コミックレンタル事業が増えているが、そのきっかけは、2005年に改正著作権法が施行されたことからだ。その後、業界内で使用規定等の運営マニュアルが整備され、貸本業者(レンタルブック店)が著作権料(レンタル使用料)を支払うことで、業者は合法的に消費者に書籍を貸せるようになり、ビジネス化の土壌が整ったというわけだ。2007年以降は、公立図書館にはないコミックのレンタル業に参入する企業が増え、さらに、コミックはDVD等に比べて単価が安く初期投資が少なくて済むため、レンタルによる利益率が高いというのもコミックレンタルショップが増えている理由だろう。
「当店で読んだコミックを、所有したくなって改めて買う人もいます。どんなに電子書籍が普及しても、あと10年は紙の検索性や手触りが優位になると思っています。今後は、若い人が知らない手塚治など大御所のマンガも揃えていきたいですね」(永田さん)。
【取材・文 緒方麻希子(フリーライター)+『アクロス』編集部】