老舗スーツファクトリー「dpi(ディーピーアイ)」や「ファイブワン」が直営店をオープンし、小野莫大小工業(オノメリヤスコウギョウ)が表参道にコンセプトショップ「 smoothday (スムースデイ)」をオープンするなど、ここ数年、都内ではファクトリーブランドの動きが盛んになっている。
そんななか、日本初のファクトリーブランドに特化したインターネット通販サイトFactelier(ファクトリエ)がオープンした。ファクトリーブランドとは、自社工場でデザインから生産までを手掛けるブランドのことである。
国内のアパレル工場はOEM生産による売り上げが大きなウェイトを占めるが、長引く不況と円高、ファストファッションブームによりアパレルの価格競争が激化。製造コストが低い海外生産への移転が進んだ結果、国内市場におけるアパレル品の国産比率は
1990年の50.1%から2009年には4.5%にまで減少。およそ20年にわたりマイナス成長を続けている。
そんななか、日本のものづくりの技術がなくなってしまうという危機感から同サイトを立ち上げたのが、ライフスタイルアクセント(株)代表の山田敏夫さん(30)だ。
山田さんは熊本県の老舗婦人服店に生まれ、大学在学中にフランスに留学し、その際にGUCCIパリ本店で販売を経験。卒業後はIT企業に就職し、2010年に東京ガールズコレクション公式通販サイトを運営する
(株)ファッションウォーカーを経て2011年に起業し、同サイトを立ち上げた。
「GUCCI(グッチ)やHERMES(エルメス)などのビッグメゾンはもともとファクトリーブランドとしてスタートしています。職人が手がける傑作の一品を店頭で売るというシンプルな商売。かつてパリのグッチで見習いとして働いた際に、このルーツを知りました」(山田さん)。
コンセプトは「メイドインジャパンを守り、工場と消費者を正しい価値価格でつなぐ」こと。メーカーと連携し、中間業者を通さずに消費者に販売することで、高品質なアイテムをリーズナブルに提供する。国内の製品だけを扱っており、商品はすべてFactelier(ファクトリエ)のために作られたオリジナルである。
サイト開設にあたり、クラウドファンドサイトのCAMPFIRE(キャンプファイヤー)で資金を募った。30万円の予定に対し114万円が集まってサクセスした事からも出資者の関心の高さが伺える。