QUINTRIX DISC LOUNGE

QUINTRIX DISC LOUNGE

レポート
2003.04.08
カルチャー|CULTURE

3月8日、宇田川町にカフェ併設型レコードショップ『QUINTRIX DISC LOUNGE』がオープンした。運営するのはQuntrix inc co.。

「単なるレコードショップではなく、お客さんが音楽を通じてコミュニケーションを取れるスペースを作りたかったんです」と語るのは、店長兼バイヤーの藤代桂さん。藤代さんはCD・レコードのディストリビューターとして活躍する傍ら、18歳からテクノDJとしての活動を継続。その後99年9月から02年1月までは下北沢のレコードショップ『TIME TO GALAXY RECORD』を運営していた、知る人ぞ知る人物である。

場所は、井の頭通り沿いのレコード店が複数入居しているビルの2階。広さ18坪の窓が大きく明るい店内にはCD・レコードが壁一面にディスプレイされている。CDとアナログの割合は約5:5で、商品数は500タイトル、6000枚。試聴用ターンテーブル3台とCD試聴機2台が設置されており、もちろん全ての商品が試聴可能だ。

取り扱うのはエレクトロニックミュージック全般。いわゆる打ち込み系の音楽全般で、テクノ、トランス、ブレイクビーツ、ラウンジ、エレクトロニカ、ハウスなどかなり幅広い品揃えだが、同店では、さらにダンスミュージックとチルアウトミュージックという2つのカテゴリーに分類。ジャンルにとらわれず、本当に好きな音楽を選んで欲しいという思いからの提案なのだそうだ。

「日本は試聴の文化が浅いため、お客さんは自分の趣味で音楽を選ぶというよりは、ジャケットや店の推薦で買うケースが多いんです。その結果、使い捨て感覚で音楽を消費する状況になってしまっている。当店ではご自身でじっくり試聴して頂き、納得した上で買って頂けるような環境をつくりました。押し売りの時代はもう終わっていますから、ご自身がいいと思われた物をセレクトし、きちんと選べる店を作ればお客さんはちゃんと付いてきてくれるんです」(藤代さん)。

店の奥には9席のカウンターが設置されており、カフェスペースはもちろん、試聴ブースなど店内のどこでもソフトドリンクやお酒が頂ける。喫煙が可能というのも大きな特徴だ。
「昼間は10代〜20代の若い方が中心で、夜は大人の方が仕事帰りに立ち寄ってお酒を飲みながらレコードを買っていかれることが多いですね。お客さんの滞在時間が長いのが特徴で、中には1〜2時間ゆっくり過ごされる方もいらっしゃいます」(藤代さん)。

ここ最近、宇田川町では、内装にこだわったCoqdo RecordsやCDに特化し、シーンやムードといった独自のジャンルによる商品の分類にこだわったLonesome echoなど、従来のCD・レコードショップにはなかった「新しいコンセプト」が続々と登場。さらに、マンハッタンレコードやディスクユニオンといった老舗レコードショップも軒並みリニューアルするなど確実に再編が進んでいる。

さらに、試聴システムを増設したり、内装にもこだわったり、カフェを併設したりといった「+α」の機能を付加するなど、より幅広い消費者に向けて、「開かれた店」づくりをめざす傾向にあるようだ。

ちなみに、今後同店は、海外からDJを招いてイベントを行ったり、全国各地へのレコード・CDの卸しも手掛ける予定だという。

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