第3次アンティーク・キモノ・ブーム

第3次アンティーク・キモノ・ブーム

レポート
2003.05.26
ファッション|FASHION

「好きなブランドはコムデギャルソン」。
お揃いのブライスの着物はイベントで買ったもの。
専門学校生の2人。レースの足袋ソックス
がキュート!
「帯留めがなかったのでブローチを帯留め
のかわりにしてみました」
アンティークの着物がブームといわれるなか、「やまだないと×うれし屋×サパナ キモノ会議」と題した展覧会が渋谷ロゴスギャラリーで開催された。

キャッチフレーズは、「着物でシブヤへまいりましょう」。着ていく場所や機会のない着物を、もっと自由に着てお出かけしましょうというもので、漫画家のやまだないとさんと履物や足袋などのキモノまわりの作品で定評のあるネットショップの「うれし屋」によるオリジナル商品を中心に、遊び感覚溢れユニークなる着物の展覧会となった。

なかでも注目したいのはオリジナルの足袋や履物たち。赤地×白や黒×白のドット柄、子供柄の足袋や台から作ったオリジナルの下駄をはじめ、タータンチェックやバティック柄、カウボーイの絵柄、果物柄など、これまでの着物にはなかった色や柄、素材を用いているのが特徴だ。それらのすべては、国内はもちろんのこと、フランスやアメリカなどからも買い付けたテキスタイルを使用。そのポップでどこかノスタルジックで、ときどきキッチュなテキスタイルによる着物や帯、足袋、草履をみると、これまでの「着物ブーム」ともちょっと違う、新しいキモノの世界観が感じられた。

「今回のキモノブームのきっかけとなったのは2002年に祥伝社から発行された『KIMONO道』(祥伝社)という雑誌でしょう」と言うのは、「うれし屋」のオーナーで本展覧会の企画を担当したやまもとゆみさん。十数年来のアンティーク着物のコレクターというやまもとさんだが、本業はシステム開発やホームページの制作などを手掛けるネット企業の社長である。

同誌の編集する傍ら、アンティークではなく、もっと気軽に、洋服のような感覚で着られる着物や帯、足袋、草履があったらいいなあと思い、全国各地を調べてみたものの、なかなかぴったりくるものがない。それなら自分でつくりましょう、と「うれし屋」をオープンしたのだという。

「今のうれし屋はやまだないとさんがこんなのが欲しい、あんなのが欲しいといろんなオーダーをしてくれたおかげです。足袋にしても草履にしても、最初はいい職人さんを探すのがたいへんでしたが、今では職人さんもいっしょになって作品を作っていくのが愉しいですね」(やまもとさん)。

その後同誌は名称を『KIMONO姫』と変更。好評につき現在で第3号めとなる。また、今月に入り宝島社からも『KIMONO mio』というキモノ雑誌が創刊。インターネットでも大手ポータルサイトで特集記事が組まれるなど、確かにブームといえそうだ。

キモノのメディアも続々創刊。左から
『JOUER AU KIMONO par URESHI-YA NUIT』
コレモキモノ、やまだないと+うれし屋の
コラボレーションによるCD-ROMマガジン(PARCO出版)/
『KIMONO姫』(祥伝社)
/『VISIO MONOアンティーク着物特集』
(ワールドフォトプレス)
やまもとさんによると、今のアンティークキモノマーケットは大きく分けて3つ。(1)『別冊太陽』系の骨董派グループ、(2)『Zipper』や『装苑』、服飾系の専門学校生たちのキッチュな着こなしのグループ、そして(3)『きものサロン』といった上品系の着こなしを好む30代〜40代のグループ。

「レースやリボン、色とか小物とか着物に合うものを探すのが楽しいですね」(専門学校生)
「好きなブランドはコムデギャルソン。この半襟はお気に入りの布を適当い繋いでつくりました。ブライスの着物はイベントで買いました!」(29歳・会社員)

ここ数年のヨーロッパの「ZEN(禅)」ブームを背景に、コレクションなどでも注目されていたキモノ。日本古来のテキスタイルにこだわったブランドの人気も手伝い、今回のブームは今後、上記の(2)と(3)をミックスしたようなネオジャポネスクなマーケットとして成長していきそうだ。

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