Coco-isle Music Market

Coco-isle Music Market

レポート
2003.09.01
カルチャー|CULTURE

古着屋や飲食店など、小規模で個性的なショップが軒を連ねるファイヤー通り。その奥にレコードショップ「Coco-isle Music Market(ココアイル・ミュージック・マーケット)」がある。

オープンしたのは4月25日。扱うのはレゲエ、カリプソ、ソカとハワイアンで、カリブ諸島とハワイの音楽を専門に扱う珍しいレコードショップだ。

オーナーの中村和幹さん(28)は、都内のクラブに勤務する傍ら、10代の頃からDJとしても活躍。00年からは下北沢のレゲエ専門レコードショップ「ラックストーンレコード」に勤務していたが、今回、結婚を機に独立。念願だったレコードショップのオープンに至った。

「レゲエを追究していくうちに、レゲエのルーツであるカリプソや、レゲエから影響を受けたソカ、ハワイアン・レゲエなどに興味を持つようになったんです。しかし、日本ではこれらのジャンルを扱う店が少なく、レコードがなかなか手に入らない状況でした。それならば、と自分で専門店を作ったんです」(中村さん)。

場所はファイヤー通り沿いの原宿寄りにある雑居ビルの4階。以前は美容室が入っていたスペースで、店舗面積は15坪。大きな窓から光が射し込む明るい店内には、レコード店特有の閉塞感はない。古木風の什器やいたる所に置かれた観葉植物が、南国っぽいゆったりした雰囲気を醸し出している。

「レコード店が密集する渋谷でオリジナリティのある店をやりたかったんです。とはいえ、うちは南国ののんびりした音楽を扱う店なので、宇田川町やセンター街の喧騒を避け、渋谷のいちばん端っこに出店しました」(中村さん)。

商品は中村さん自らがアメリカなどから買い付けてきたもので構成。各ジャンルとも、基本盤からヴィンテージ盤まで幅広い品揃えだ。中古アナログレコードが中心だが、現在ハワイで流行しているハワイアン・レゲエを中心にCDも扱っている。商品数は約1,500〜2,000タイトルでアナログとCDの割合は9:1。ホームページ及び商品リストによる通信販売も行っている。

特筆すべきは、レコードの分類を、国籍やジャンルでなく、年代別に陳列している点だ。レコードの棚を見れば、カリブ諸島の音楽の歴史や関係性が分かるようになっているのである。

「ターゲットをコレクターだけに絞っている訳ではありません。間口を広く奥は深く、というスタンスで、新しい音楽に触れるきっかけをより多くの人たちに提供していきたいと思っています」(中村さん)。

DJという職業が若者に注目されるようになって早10余年。その間、音楽を切り口にしたブランドや飲食店が数多く登場し、アパレルのショップや飲食店、美容室など、クラブ以外の業態でDJブースを設置するなど、異業種とのコラボレートにより、DJカルチャーはクラブシーンを越え、若者の日常生活にすっかり定着したといえるだろう。

そういった流れを受け、昨年あたりから、渋谷では新しいコンセプトのレコードショップが続々と登場。試聴システムの増設をはじめ、明るく清潔感のある内装にしたり、カフェを併設したりと、幅広い層をターゲットに、メジャー的な展開を図るレコードショップが増えているのである。

認知度が低いジャンルを扱いながらも開かれた店づくりをめざす同店は、DJカルチャーが浸透し、シーン全体が成熟期を迎えた今だからこそ登場した「ネオ・オタクショップ」ともいえるだろう。

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