a new shop

a new shop

レポート
2004.03.03
ファッション|FASHION

映像は、オーナーやスタッフの知人で
もある国内外のアーティストのPV(プ
ライベートビデオ)が中心。もちろん
オーナーの弟、亀石太夏匡氏が伊勢谷
友介氏と共同で脚本を手がけた映画
『カクト』を流すことも。
店内の什器の多くは独製の工業用製品を
起用。デザイナーはドイツの建築デザイ
ナー集団ザイツェン・ウェグによるもの。
これはNYのブランド、Slow and
Steady Wins the RaceのTシャツ
10枚セット。¥17,740(税込)。
新生a new shopはレディスも豊富。
アクセサリーはすべてSingo bellと
オキラクのコラボレーションのもの。
18,000円前後とデザイナー・アクセ
としては価格も手頃。
今や男の子のファッショントレンドを牽引している独立系ドメスティックブランド。その元祖ともいえるショップ『A NEW SHOP(ア・ニューショップ)』が原宿・明治通りから渋谷・並木橋の高架下に移転。2階にプレスルームを設置し、新規オープンした。

「事業としては今年の4月で丸10年。原点回帰の意味もあり、ここ並木橋に戻って来ました」と言うのは、同店を運営する(株)タートルストーン代表取締役社長亀石剣一郎さん。

同社が「自分たちの着たいもの」をコンセプトに『PIED PIPER』を手がけたのは93年のこと。その場所が街の真ん中ではなく、渋谷・並木橋というはずれたところだったのは有名な話である。その後、99年に渋谷と原宿のちょうど中間、キャットストリートの入口付近に移転。2つめのショップ『A NEW SHOP』をさらに原宿寄りの場所にオープンしたのは95年のことだった。

「当時明治通り周辺は今ほどショップもなく、どちらかというと古着やストリート系の男の子中心のマーケットだったんです。それが90年代末以降、女の子向けのショップやカジュアル衣料店、雑貨店などが次々とオープンするうちに、原宿というマーケットが僕らの目指す方向とはズレてしまったことから、移転を考えるようになりました」(プレス担当満留隆一さん)。

たしかに裏原宿やキャットストリートはここ数年の間で急激に発展。渋谷〜原宿を繋ぐエリアへの来街者がぐっと若くなったのは周知の事実である。明治通りと表参道の交差点付近には、GAPやユニクロ、カラオケ館やブックオフの他、表参道〜青山には欧米のオーセンティック系ブランドの旗艦店が相次いでオープンしたこともあり、30代、40代、50代以上の母娘やファミリー層が増加。幅広い層が混在するマスマーケットへと変貌してしまった感が否めない。

「来店客数や売上げはぜんぜん問題なかったのですが、未来を考えたときに、“a new shop”ブランドを表現する場としては危機感を感じての決断でした」(満留さん)。

移転先は渋谷と恵比寿、または代官山のちょうど中間に位置する東急東横線の高架下。すぐそばにはJR山手線の高架や八幡通りが交差し、ストリート感溢れる独特の雰囲気のエリアである。

「実はここは築何十年という木造一軒家なんです。1階部分はもう何年も前から倉庫として借りていました。ここらへんの場末な雰囲気が好きで、2階が空いたらぜひ事務所にしたい、とずっと思っていたんですが、なかなか空かなくて(苦笑)。昨年ようやく空くことになり、即決めました」(満留さん)。

社長自らがコンクリート床の塗装や木の板を一枚一枚火で焦がしてサイディングに用いるなど、内装だけでなく、外装のほとんどもスタッフによる手づくり。とはいえ、原宿店のころのような重厚でオーセンティックな雰囲気からは一転。石のカウンターやアンティークの椅子、ソファなどを配備しつつも、天井から釣り下げたワイヤーによる什器やメタリックなブラインドによる採光など、ストリート・モダンな雰囲気に生まれ変わったような印象を受ける。

「テーマは衣・住・遊における“ハイストリート”です。」(満留さん)。

メンズとレディスは6:4。今春3シーズンめというオリジナルのレディスブランド「オキラク」も好評。洋服だけでなく、DVDやCDの販売を行う他、映画の衣装協力やイベントの企画、パーティのオーガナイザー集団の「ハトス」が手掛ける絵画やオブジェなどの展示・販売も行うなど、今再び洋服屋の枠を越えた“自分たちのライフスタイルの提案の場”を目指す。

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