大手資本の旗艦店が続々と出店し、表のファッションエリアとしてすっかり定着したキャットストリート。その中ほどにあるビルの地下に、03年11月1日、男性向け古着屋「MESA(メサ)」がオープンした。運営するのは、古着の卸・販売会社の(株)ソラオブトウキョウ。同社は渋谷区神南と原宿で女の子向けの古着屋「FLOWER(フラワー)」を運営しており、同店は3店舗め。メンズの直営店は今回が初めてとなる。
「これまでメンズの古着といえば、ジーンズやTシャツといった定番のアメカジ古着が主流でした。しかし、ここ数年は男の子を中心に80年代風の奇抜な古着の人気が高まっていて、古着市場全体が活気づいているんです。おかげさまで同社の卸部門も好調。メンズ古着のニーズが高まっている手応えを感じ、今回の出店に踏み切りました」と店長の宮田さん(27)。
約17坪の店内はアメリカの廃墟をイメージし、古びた木のインテリアで統一。赤茶色に錆びた鉄のドアや薄暗いランプの灯りが、どことなく隠れ家のような雰囲気を醸しだしている。
商品は、70年代〜80年代のアメリカ古着を中心に約2,000点。リーバイスのヴィンテージジーンズやTシャツなどの定番商品に加え、柄物やカラフルな商品を多く扱っているのが同店の特徴だ。なかでも目立つのは総柄のパンツや多色プリントのシャツ、刺繍入りのサテンブルゾンといった奇抜なアイテム。小物類も、アポロキャップや大きめのサングラス、キリスト像のネックレスなど、個性的なものばかりだ。
「当店では銘柄や年代にはこだわらず、1点もので一風変わったクセのある商品をセレクトしています。ターゲットは20〜26才の人とは違う格好をしたいと思っている男性です。キャットストリートは『ミスターハリウッド』や『カンナビス』など、現在のストリートを代表するメンズのショップが多く、来街者も当店のテイストにぴったり。今後も商品を流動的に変え、トレンドに合った商品を提供していく予定です」(宮田さん)。
02年あたりから、原宿〜渋谷〜代官山エリアでは10代後半〜20代前半の男の子を中心に、奇抜なファッションを好む「ファッション・アディクト族」が台頭。彼らの間では、フラボアやカンナビスといったドメスティック系のブランドと古着をミックスして着用するスタイルが支持されており、古着の人気は以前にも増して高まっている。
定点観測を振り返ってみても、渋谷のヌードトランプやZOOL、中目黒のジャンピン・ジャップ・フラッシュといった個性的な品揃えの古着屋を好きなショップとして挙げる男の子達が増えていることがわかる。「目立ちたい」「変わって見られたい」という観点からファッション・アイテムを選ぶ彼らにとって、同じデザインが二つとない古着は個性を発揮するための恰好のツールなのだろう。
商品をメンズに特化し、奇抜な古着を扱う同店は、そんな現在のトレンドを象徴する、古着屋のさらなる新しいジャンルといえるだろう。
MESA(メサ)
レポート
2004.04.13
ファッション|FASHION
同じカテゴリの記事
同じキーワードの記事