原宿の明治通りと表参道の交差点のほど近く、マンションの一室にある「Freiheit(フライハイト)」は、「ユーティリティー(実用性)&リーズナブル(買いやすい価格)」をコンセプトにした“セレクト文具店”である。オーナー兼店長の中沢 健さん(33)が、「文具を楽しんで欲しい」という思いから05年10月29日にオープンした。
子どもの頃から自分の店を持つという夢を持っていた中沢さんは、オモチャ問屋や文具メーカーの営業で経験を積んだ後、同じ文具メーカーで開発・企画デザインをしていた田中美穂さん(31)を共同経営者に迎え、同店を出店するに至った。オモチャや雑貨も好き、という中沢さんが文具にターゲットを絞ったのは、年代を問わず幅広い層に需要があるという理由から。とはいえ、文具業界も前途揚々というわけでもないようだ。
「以前は文具店のお客さまは8割が法人、2割が個人といわれていました。しかし最近は100円ショップの進出や、オフィス用品の大手デリバリーサービスの登場で、街の文具店では法人需要が激減。さらに、消耗品として需要はあっても、パーソナルユース、特に趣味として文具を楽しむという考えまでもがなくなりつつあり、文具店としての機能が限られてきているのが現状です。一方、雑貨店の商材のひとつとしての“ステーショナリー”ではアイテムやブランドが絞られすぎだし、逆に大型店では何でもありすぎる。自分たちがやっていきたいのは、その中間の“セレクトショップ・文具店バージョン”なんです」(中沢さん)。
商品は、とにかく気軽に使える「ユーティリティー(実用性)&リーズナブル(買いやすい価格)」という条件をクリアしたもの。作りがしっかりしたドイツ製を中心に8割がヨーロッパ製。その他、北欧系やスロベニア郵便局グッズや韓国のデザイナーズもの、日本の老舗ブランドのものなど、23円のメモクリップ〜7,000円の電卓まで、約1,000アイテムが揃う。
商品の平均価格は約300円と低いものの、客単価は約1,500〜2,000円と比較的高い。単価の安さについ気が緩み、気が付けばけっこうな値段になっているというのは100円ショップの感覚に近いかもしれない。当初は、原宿という場所がら洋服を買い回る10代〜20代前半の学生をメインターゲットと予想していたそうだが、オープンしてみると意外にも25歳〜35歳が中心に。幅広い品揃えが功を奏し、夫婦やファミリーでの来店も少なくないそうだ。
「内装は学校をイメージしました。文具にいちばん慣れ親しんだあの頃の感覚を呼び起こして欲しいなと思って…。陳列もあえてオモチャ箱をひっくり返したようなごちゃごちゃ感を出すようにしました」(田中さん)。
什器は小学校の椅子や机。こまごまとした文具が所狭しと並ぶ様子は、幼い頃親しんだ駄菓子屋や文具店のような懐かしさ、楽しさを与えてくれる。つい夢中になって1時間以上も滞在されるお客さまも珍しくなく、数万円分の買い物をされる方もいらっしゃるとか。
また、プライスカードひとつひとつに丁寧なコメントやプチ情報をつけているのも工夫のひとつ。商品の一部はWEB上で購入可能だ。
「実際に手に取って、書いてみたり使ってみたりして買ってもらえるのがいちばん。ただ買い物をするというよりもテーマパーク的に楽しんで頂ければと思います。実は、こういうやり方もありますよ、と新しい業態の文具店を提案することで、衰退している街の文具店を活性化したいという気持ちもあるんです」(中沢さん)と言うように、同店は、オープン以来、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」をはじめ、「日本経済新聞」や文具業界紙「旬刊ステーショナー」などでも取り上げられるなど、業界の注目ショップとなっている。
今後は、日本メーカーの文具専門店や男性をターゲットにした店など、また違った切り口での出店構想もあるという。また、オリジナル商品も近日発売に向けて企画中だそうだ。
[取材・文/重保咲+『WEBアクロス』編集室]
Freiheit(フライハイト)
レポート
2006.03.14
ライフスタイル|LIFESTYLE
国内外の幅広い品揃えと“街の文具店”のような
懐かしさが魅力のセレクト文具店が原宿に登場
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