3月18日(土)、日本のファッションを世界にアピールする「日本ファッション・ウィーク(Japan Fashion Week in Tokyo /以下JFW)」が、明治神宮外苑の聖徳記念絵画館前に設置された大型特設テントをメーン会場にスタートした。
これは、日本のファッションビジネスの勝ち残りを図るため、05年秋から、経済産業省と中小企業基盤整備機構が年間約10億円を拠出して支援する官民一体となった日本のファッション産業の振興イベント。デザイナーの想像力(「創」)、テキスタイル製造業の技術力(「匠」)と、世界に類をみない厳しい消費者に支えられた流通(「商」)の三位一体の連携と、その情報の世界への発信を目的としており、今回2回目となる。
10日間と第1回目に短期集約化したコレクション期間を、今回は更に短い7日間に設定。より多くのプレスやバイヤーを迎える体制を強化したのと同時に、日曜・祝日の休日を中心に、3つの服飾専門学校生による「Young Creator's Collection」、合同展示会を主宰する「アンビエンス」による10名の新人デザイナーのショー、Jeans in Japan実行委員会主催・日本ジーンズメーカー協議会協力による「Jeans in Japan」、(株)リンク・セオリー・ホールディングによる「THEORY FALL 2006 COLLECTION」など、ファッション関係の学生や一般消費者が参加出来るイベントも企画するなど、もりだくさんの内容となっている。
一般的に、「第1回目」や「初めて」「創刊」という単語には反応しやすいものの、その真義や方向性、継続性などが問われるのは2回目以降である。そこで、『WEBアクロス』では、会期中のいくつかのショーを取材すると同時に、来場者のインタビューを実施することにした。
第2回 東京発 日本ファッション・ウィーク スタート
さっそくトップバッターとなった「THEATRE PRODUCTS/KINGLY THEATRE PRODUCTS」、次いで宇津木えりさんの新ブランド「mercibeaucoup(メルシーボークー)」、05年7月に「モエ・エ・シャンドン新人デザイナー賞」を受賞した「mintdesigns」の会場を訪れた。
前回は同時期に、家具などの内外の秀作を紹介する「東京デザイナーズウィーク(TDW)2005」が都内各所で開催。その一環として、JFWに併設された会場でロンドンのインテリア見本市「100%デザイン」の日本版が催されるという話題性もあってか、約4万5,000人が来場したそうだ。今回の目標来場者数は5万人とのことだが。
「B to Bを目的としたのみならず、より一般のお客様にも興味を持って頂き、且つ参加頂けるイベントで、これまでにない東京発の新しいファッションのプレゼンテーションを試みたい」(三宅実行委員長/発表資料より)。
初日を振り返ると、前回と比べて全体的に客層が若くなっており、学生やファッション業界に入り立てと思われる、消費者に近い層が目立った。また、土曜日ということもあってか、子ども連れやカップルの姿も。とはいえ、郊外の大型店で見かけるようなファミリー層ということではもちろんなく、顧客やファッション業界、アート関係のファッションへの関心の高いファミリーである(!)。そういう意味では、三宅実行委員長の目論みの一部は達成されているような印象を受けた。
前回は同時期に、家具などの内外の秀作を紹介する「東京デザイナーズウィーク(TDW)2005」が都内各所で開催。その一環として、JFWに併設された会場でロンドンのインテリア見本市「100%デザイン」の日本版が催されるという話題性もあってか、約4万5,000人が来場したそうだ。今回の目標来場者数は5万人とのことだが。
「B to Bを目的としたのみならず、より一般のお客様にも興味を持って頂き、且つ参加頂けるイベントで、これまでにない東京発の新しいファッションのプレゼンテーションを試みたい」(三宅実行委員長/発表資料より)。
初日を振り返ると、前回と比べて全体的に客層が若くなっており、学生やファッション業界に入り立てと思われる、消費者に近い層が目立った。また、土曜日ということもあってか、子ども連れやカップルの姿も。とはいえ、郊外の大型店で見かけるようなファミリー層ということではもちろんなく、顧客やファッション業界、アート関係のファッションへの関心の高いファミリーである(!)。そういう意味では、三宅実行委員長の目論みの一部は達成されているような印象を受けた。
「ファッション=アート」というメッセージを世界に向けて発信したのは、1981年、代々木の特設テントで開催された第1回目の東京コレクションである。
しかし、その後、90年代という「ストリートの時代」(反面、全国に均一化されSCが行き渡った時代)を経て、「服はアートではない」「リアルクローズであることを前提にクリエーションしている」「トレンドにあまり左右されない定番アイテムにこだわっている」と名言するデザイナーが多数登場する一方、急速化するトレンドのサイクルについていけないメーカーやブランド、デザイナー、ショップも急増した。かと思えば、ネットオークションでは一部のブランドや昔の商品が破格値で取引されるなど、21世紀に入り、日本のファッション事情は混沌とした状態が続いている。
そんななか、JFWのちょうど1週間前にあたる3月11日に、人気女性向けファッションサイト『ガールズウォーカー』の、やはり“第2回目”となるファッションイベント「東京ガールズコレクション」が国立代々木競技場第一体育館で開催され、なんと昨年を5,500人上回る1万8,100人を1日で動員したというから驚く。いわゆる109系やお姉系ブランドがメインのファッションショーは、人気モデルの蝦原友里ちゃんや押切もえちゃん、土屋アンナちゃんなども登場。彼女たちが着用した服が実際に買えるという仕組みになっており、観客たちにとっては、ある意味「リアルクローズ」である。さらに今回は、「ART&Fashion=TOKYO」をテーマに、村上隆氏が主宰する「GEISAI#9」とコラボレーションをするなど、マーケット・オリエンテッドな展開に拍車がかかっており、ある意味今っぽい。
今回のJFWでは、そんな109系&お姉系ブランドとは対局に位置する計45のブランドが集結。リアルクローズにこだわったものや、クリエーション、技巧、イマジネーション、インスピレーション全開のブランドなど実にさまざまだ。
また、44メゾン50ブランドのうち、13ブランドが新進気鋭のエネルギー溢れるブランドという点など、無名のブランド名が多数聞かれるようになった最近の「定点観測」を通して感じるクリエーターの世代交代という時代感を感じさせる。
さらに、ハンドブックを見ると、今回はショーを行わず展示会のみの開催という、まだそれほど有名ではないブランドが多数紹介されているかと思えば、今年で35年めというベテランのブランドも出展。まさに、いろいろな次元のものが混在する街、“あらゆる情報を編集する街、トーキョー”で開催されるコレクションらしいラインナップといえそうだ。
会期は24日金曜日までの1週間。各メゾンのショーの様子等は、後日アップする予定なので、ぜひご覧いただきたい。
[取材・文/『WEBアクロス』編集室+苫米地香織(フリーライター)]
[撮影/伊藤彰浩]
■ 東京発 日本ファッション・ウィーク概要 ■
□主催:ファッション戦略会議
□後援:経済産業省/独立行政法人中小企業基盤整備機構/知的財産戦略本部/外務省/文部科学省/国土交通省/東京都/独立行政法人日本貿易振興機構/社団法人日本経済団体連合会/日本商工会議所/東京商工会議所/財団法人日本ファッション協会
□シンポジウム:「世界が見る日本」−Cool Japanのファッションと文化
□デザイナー・素材連携企画展:毛利の服 スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の衣装たち
□JFW エントランステント テキスタイル素材展
しかし、その後、90年代という「ストリートの時代」(反面、全国に均一化されSCが行き渡った時代)を経て、「服はアートではない」「リアルクローズであることを前提にクリエーションしている」「トレンドにあまり左右されない定番アイテムにこだわっている」と名言するデザイナーが多数登場する一方、急速化するトレンドのサイクルについていけないメーカーやブランド、デザイナー、ショップも急増した。かと思えば、ネットオークションでは一部のブランドや昔の商品が破格値で取引されるなど、21世紀に入り、日本のファッション事情は混沌とした状態が続いている。
そんななか、JFWのちょうど1週間前にあたる3月11日に、人気女性向けファッションサイト『ガールズウォーカー』の、やはり“第2回目”となるファッションイベント「東京ガールズコレクション」が国立代々木競技場第一体育館で開催され、なんと昨年を5,500人上回る1万8,100人を1日で動員したというから驚く。いわゆる109系やお姉系ブランドがメインのファッションショーは、人気モデルの蝦原友里ちゃんや押切もえちゃん、土屋アンナちゃんなども登場。彼女たちが着用した服が実際に買えるという仕組みになっており、観客たちにとっては、ある意味「リアルクローズ」である。さらに今回は、「ART&Fashion=TOKYO」をテーマに、村上隆氏が主宰する「GEISAI#9」とコラボレーションをするなど、マーケット・オリエンテッドな展開に拍車がかかっており、ある意味今っぽい。
今回のJFWでは、そんな109系&お姉系ブランドとは対局に位置する計45のブランドが集結。リアルクローズにこだわったものや、クリエーション、技巧、イマジネーション、インスピレーション全開のブランドなど実にさまざまだ。
また、44メゾン50ブランドのうち、13ブランドが新進気鋭のエネルギー溢れるブランドという点など、無名のブランド名が多数聞かれるようになった最近の「定点観測」を通して感じるクリエーターの世代交代という時代感を感じさせる。
さらに、ハンドブックを見ると、今回はショーを行わず展示会のみの開催という、まだそれほど有名ではないブランドが多数紹介されているかと思えば、今年で35年めというベテランのブランドも出展。まさに、いろいろな次元のものが混在する街、“あらゆる情報を編集する街、トーキョー”で開催されるコレクションらしいラインナップといえそうだ。
会期は24日金曜日までの1週間。各メゾンのショーの様子等は、後日アップする予定なので、ぜひご覧いただきたい。
[取材・文/『WEBアクロス』編集室+苫米地香織(フリーライター)]
[撮影/伊藤彰浩]
■ 東京発 日本ファッション・ウィーク概要 ■
□主催:ファッション戦略会議
□後援:経済産業省/独立行政法人中小企業基盤整備機構/知的財産戦略本部/外務省/文部科学省/国土交通省/東京都/独立行政法人日本貿易振興機構/社団法人日本経済団体連合会/日本商工会議所/東京商工会議所/財団法人日本ファッション協会
□シンポジウム:「世界が見る日本」−Cool Japanのファッションと文化
□デザイナー・素材連携企画展:毛利の服 スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の衣装たち
□JFW エントランステント テキスタイル素材展