KIRAKIRA JAPAN PROJECT

KIRAKIRA JAPAN PROJECT

レポート
2006.07.01
ファッション|FASHION

バンダイのクリエイティブプロジェクトが
手がけるエキシビジョン

期間限定ショップでは06-07秋冬
コレクションをフルラインで販売。
今シーズンのテーマは「face」。
ユーモラスなデザインを繊細な
技術で表現。
まるで絵本のような模様のソックス。
「生活を楽しく幸せにする服を
提案していきたい」(布施さん)。
たたむと犬のぬいぐるみになる
カットソー。玩具のような
クリエイションがPOTTOの魅力。
玩具メーカー(株)バンダイによる「KIRAKIRA JAPAN PROJECT」のエキシビションが、06年6月23日〜2週間の期間限定で渋谷区神宮前のアートスペースLAPNET SHIPで開催されている。

「KIRAKIRA JAPAN PROJECT」は、同社が05年11月にスタートした新規事業。おもちゃ=子どもという概念を刷新するため、アーティストとのコラボレーションにより10代後半〜30代をターゲットにした商品を展開している。プロデューサーは同社アパレル事業部の布施美佳子さん(33)。布施さんは02年に、全社員を対象とした懸賞論文制度「バンダイグループ感動創造論文」でグランプリを受賞。その論文をもとに同プロジェクトを立ち上げた。現在はブランドPOTTO(ポト)×バンダイのアパレルラインを展開するほか、様々なジャンルのクリエイターとのコラボレーションでTシャツや雑貨、フィギュアなどを製作。同社ホームページの他、六本木ヒルズのアート&デザインストアや花やしきなどで販売している。

「私が10代後半だった頃、世の中はバブル真っ盛り。自分より少し上の世代の人達は、遊びも仕事も一生懸命で、彼らのパワフルさにとても影響を受けました。一方、今の10代後半〜20代前半の若者をみてみると、携帯やインターネットを通して知識は豊富なのに経験が伴わない、どこかアンバランスな印象を受けます。保守的で元気がない“冷め切った世代”というか…。そんな状況に危機感を感じていたんです。そこで、子どもの気持ちを持った大人=コドナであるクリエイターが楽しみながら作ったアイテムを通して、若い世代に純粋に生きることのおもしろさを伝えたいと思い、このプロジェクトを立ち上げました」(布施さん)。

今回エキシビジョンを開催した目的は、プロジェクトの活動をアピールすることと、ターゲット層の生の反応や意見を知る事。そのため、若者にとって象徴的な場所である原宿を開催地として選んだのだという。

会期の前半、6月23日〜29日は、「KIRA KIRA JAPAN PROJECT vol.1“POTTO”」と題したPOTTOの期間限定ショップに。POTTOは01年にデザイナー山本哲也氏が設立したドメスティックブランドで、05年末から同プロジェクトに参加。06年春夏の東京コレクションにも出展する新進気鋭のブランドである。ユニセックスなアイテムが中心で、ぬいぐるみのパターンで構成された洋服など、玩具に近いクリエーションが特徴だ。現在は都内での卸先がないため、今回、展示会を兼ねて期間限定ショップをオープンすることになったというわけだ。

後半の6月30日〜7月6日は、「KIRA KIRA JAPAN PROJECT vol.2“ARTIST”」と題し、参加アーティストによるエキシビションを開催。トータルコーディネーターにスタイリストの飯島久美子氏を起用し、ヘアー&メイクアップアーティストの富沢ノボル氏、ヘアアーティストのShinYa氏、フォトグラファーの蜷川実花氏、ドレスキャンプのデザイナー岩谷俊和氏、女優の桃井かおり氏など、様々な業界で活躍する8組のアーティストが参加。各アーティストとコラボレーションで制作したユニークなグッズを展示するほか、販売も行う。

「プロジェクト名は、太陽のようにキラキラ輝く新しい日本を国内外に発信したいという思いを込めて名付けました。いろいろな人達とのコミュニケーションによって、新しいTOKYOカルチャーを創造し、世の中を元気にしていきたいです」(布施さん)。

以前弊サイトでも取り上げたように、03年以降、アパレル業界ではアートを取り込もうとする動きが活発化。キャットストリートの「FACTORY」や、神宮前のラッドミュージシャンのように、売り場にギャラリーを併設するギャラリーショップや、「L'edge D'or」「オブジェクト・バイ・ギャラリー・ドゥ・ポワソン」のような、アーティストがデザインするファッションアイテムを扱うショップも定着した。さらに最近では、玩具メーカーである同社や、文具メーカーのコクヨ(株)のAnプロジェクトのように、より身近な日用品メーカーがアーティストとのコラボレーションを行い、プロダクトを制作するケースも出てきている。住宅やインテリア、家電、携帯などの分野でのデザイナーズブームを経て、アートやデザインが一般的なものになった今、より身近な日用雑貨にもデザインやアートの要素が求められるようになってきているといえそうだ。


[取材・文/『WEBアクロス』編集室]

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