おしゃれ雨具

おしゃれ雨具

レポート
2006.07.19
ファッション|FASHION

ストリートで進む“脱ビニール傘”傾向と
ファッションアイテム化する雨具をレポート

ストライプハット(写真左)9,450円
キャス・キッドストンのビニールポーチ
(写真右)各3,570円
問い合わせ:レインドロップス
タマラ・ヘンリケのレインブーツ
(写真左から3つ)各1万4,700円、
(写真右)1万5,750円
問い合わせ:レインドロップス
関東地方の梅雨明けは例年より遅くなりそうななか、今年はファッショナブルな雨具を着用する人をよく目にする。ショップの店頭でも、傘はもちろん、長靴やレインハットなど雨具アイテムのバリエーションが多様化しており、色やデザインなどトレンド感のあるものが数多く登場している。ということで今回の「today's shibuya?」では、街で増えている「おしゃれ雨具」を取り上げることにした。

街で最も変化が目立つのは傘。これまでブランド傘や折り畳み傘は、比較的高年齢の女性や一部のコンサバ系女性を中心に支持されており、若者の間では使い捨て感覚の安価なビニール傘が主流だった。しかし今年は、ストリート系の若い女性にも“脱ビニール傘”の傾向が顕著に。

さっそく、ビニール傘とそれ以外の傘の使用割合はどうなっているのか?渋谷の街でカウント調査を実施した。観測日は7月13日(木)。天気は曇後一時雨。日中は曇りだったが夕方から降雨があり、雨がぱらぱらと降るなか、19:00〜19:30の30分間、渋谷の街に遊びに来た人で賑わう西武百貨店前でカウントを行った。結果は、男性の傘使用者186名のうち、ビニール傘は45.7%(85名)、それ以外の傘は54.3%(101名)。女性の傘使用者394名のうち、ビニール傘は42.4%(167名)、それ以外の傘は57.6%(227名)と、男女ともにビニール傘以外の傘を持つ人が多かった。

ファッショントライブ別に見てみると、コンサバ系の女性には、ベージュや茶、紺など、シックな色みの単色でシンプルな折り畳み傘が人気。プリティコンサバ系やモテ系には、ピンクやオフホワイトなどの淡い色で、縁にフリルやレースが施されたフェミニンなタイプが支持されていた。またストリート系には、ヴィヴィッドカラーのものや多色使い、水玉や花柄などポップな柄ものが人気。アーチが深かったり先が尖っていたりと形も様々で、なかには透明のビニール傘にプリントが施されたタイプも見られた。ちなみに、ビニール傘の使用率が高かったのはギャルとギャル男である。

さらに、ストリート系の女性の間で今春人気なのがゴム製のレインシューズ。とはいえ、いずれも従来の長靴とは一線を画すようなファッショナブルなデザインが特徴で、色や柄も豊富。形もウエスタン型やヒール付き、ショート丈やトングタイプなどバリエーション豊かだ。エミリオプッチやマークbyマークジェイコブズ、ツモリチサトやヒステリックグラマーなどのファッションブランドから発売されている。このトレンドを牽引するのは、ブラジルのシューズブランド、メリッサ×アレキサンドルヘルシェコビッチの加硫製法のラバーブーツのよう。ポインテッドトゥ×ウエッジソールのデザインが支持されており、取り扱い店では軒並み完売という人気ぶりだ。

「ずっとビニール傘を使っていたけれど、コンパクトで軽く、かわいいものが安く買えることを知り、折り畳み傘に換えました」(25歳・会社員)、「傘はデザイン重視。フェミニンな洋服が好きなのでフリル付き傘を選びました。おしゃれ長靴も買おうと思っています」(20歳・専門学校生)、「エーグルのラバーブーツは形が気に入って購入。雨の日以外も履いています」(19歳・専門学校生)。実際に着用者にインタビューしてみると、雨具をファッションの一部として認識している様子がうかがえた。

「去年に比べ、1万円以上の高級な傘の売れ行きも好調です」と語るのは、雨具のセレクトショップ「RAINDROPS(レインドロップス)」の店長さん。同店は04年10月代官山にオープン。現在、国内外の17ブランドの雨具を扱っている。

「スイスのタマラ・ヘンリケやイタリアのレジーナ・レジス・レインなど、ここ数年、世界的に新しい雨具のブランドが増えています。それに伴い、アパレル系のセレクトショップや雨具専門店などの販路が拡大。若い人の目線で見ておしゃれな雨具が増えたことで、マーケットが広がったんだと思います。ビニール傘という使い捨ての文化に疑問を抱き始めたということも原因かもしれませんね」(RAINDROPS店長)。

02年以降、ここ渋谷のストリートでもファッションのトレンドがフェミニンでゴージャスな方向へシフト。定点観測でも取り上げているように、05年末からはハイヒールやドレス、エディターズバッグなど、より一層高級感のある「リュクス」なアイテムの人気が高まっており、雨具も高級感のあるものに移行していったのは自然の流れといえるだろう。さらに、ビニール傘並の安価なおしゃれ傘が増えたことも、“脱ビニール傘”トレンドを促進。10代〜20代の若者にも浸透したことで、ストリートでおしゃれ雨具がボリューム化したようだ。

[取材・文/『WEBアクロス』編集室]

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