『ela ela ela ela opa!(エラ・エラ・エラ・エラ・オパ)』は04年9月に創刊のビジュアルフリーマガジン。写真やイラストなどを得意とするメンバーが集まり、「ひとつのものを作って世の中に訴えられれば」という目的で、この表現方法を選んだ。各号ごとに隠しテーマを設け、メンバーそれぞれが自由な発想でページを制作し編集した。06年7月発行の#12までは隔月で毎号800部を発行。ファッションレーベル「LIMI feu(リミフウ)」(#6)、ドイツの音楽レーベル「compost records(コンポストレコーズ)」(#7)とのコラボページなども盛り込まれ、都内のギャラリーやカフェなどで配布すると、約1ヵ月でなくなるほどの人気を博した。
06年3月発行の#10から、メンバーが写真家の鈴木さんと藤本さんのふたりだけになったことを機に、知り合いや、過去の号を読んで一緒にやりたいという申し出があったアーティストとより積極的にコラボレートすることに。#11では写真家の鈴木心さん、村松賢さん、#12ではアーティストの飯田竜太さんらと共に1冊を作り上げた。
「アート全般に言えることですが、それが何であるかということよりも、それについてどう感じるかということが大切だと思うんです。読者がページをめくりながら自由に想像を膨らまして、新しいものを創り出すための発想の源にしてくれればいいなと。また、アートは完全に理解されてしまうものではなくて、感じるための余白がどのように提供されているかということだと思います。何人かの作品を繋ぎ合わせる事で、また新たなかたちで、その余白が提供できるのではないかと思って制作してます」(鈴木さん)。
本の体裁をとっているが、遊び道具のようなひとつの物質としての面を重視。そこを強調する意味でも、ボタン、チョーク、カプセル、風船など各号の隠しテーマに沿った“おまけ”を添付した。また、世の中の主な媒体がインターネットに移行しているのに対し、ざらついた紙を使用することで手に紙の感触を残し、ページをめくっていく感覚を大事にしてほしいというメッセージも表現。
そんな折、鈴木さんはファッション関係の勉強会で、ロンドン留学から戻ったばかりのファッションデザイナー・山縣良和さんに出会う。早速、同書の話を持ちかけて口説き落とし、山縣さんが同じくデザイナーの玉井健太郎さんと新たに立ち上げたレーベル「writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)」とコラボレートすることになった。
こうして07年9月に発行されたアートブック『ela ela ela ela opa!#13』は、これまで発行してきたようなフリーマガジンではなく、鈴木さんらが創刊当初から興味があったという出版物として販売する形となった。絵本のスタイルをとり、親子でのコミュニケーションツールであるというテーマを明確に提示している。家庭や親子間での事件が多発し、社会のバランスが崩れていると感じていた鈴木さんたちと、子供の純粋さを表現の源泉としていた山縣さんたちがコラボレートすることで、親と子の温かなコミュニケーションを取り戻し、「家庭内で遊ぶツール=絵本」を作るというコンセプトが生まれたという。
「今までの表現とは違う、新たな提案したかったんです。僕らにしかできない、面白いものをやりたいと思っていました。絵本という媒体にしたのは、ずっととっておけるものだから。絵本を見ながら親子で話した物語を空きスペースに書き込んだりして、子どもが大きくなった時にそれが残っているありがたさを感じてほしいんです。」(鈴木さん)
準備・制作期間は約1年に及んだ。同書は07年6月に日本に先駆けて、オランダで開催された世界で唯一のファッションビエンナーレ、「Arnhem Mode Biennale(アーネム・モード・ビエンナーレ)」で展示・販売された。同書には、山縣さんとニットアーティストのmafuyu(マフユ)さんとのコラボレーション作品、「“MY TOWN IN MY HOME“ yoshikazu yamagata to mafuyu」が掲載されている。この作品は家の形をモチーフとしたホームウェアで、家庭内でのコミュニケーションツールとして提案したもの。アーネム・モード・ビエンナーレで展示され、日本では国立新美術館の「SFT GALLERY」にて展示された。プロダクトデザインや遊び道具としての洋服を提案している。他にも、玉井さんが幼稚園の頃に描いたという絵本を撮影したページが目を引く。保母さんが話した物語を子どもたちが絵で表現し、家で絵を見せながら自分の親にストーリーを話す。親はそれを文章に書き起こし、1冊の絵本が完成するというものだ。どちらも同書のコンセプトにぴったりのコンテンツとなっている。
『ela ela ela ela opa!』は07年9〜10月に渋谷のセレクトショップ「DESPERADO(デスペラード)」で、親子や家族のコミュニケーションをテーマにしたエキシビションを開催し、いよいよ日本で#13が発売となった。他に販売しているのは、フリーマガジン創刊時からの付き合いという中目黒にあるブックショップ「ユトレヒト」や青山ブックセンター、タワーレコード渋谷店など。東京以外では、大阪の心斎橋アセンス、名古屋の「Yebis Art Labo(エビスアートラボ)」にも。本というツール、遊び道具というコンセプトがあるため、インテリアショップなどでの販売も進めているという。
「今後は、ユースカルチャーにとどまらず、医学や環境をテーマにすることもあるかもしれないです。さまざまなジャンルの人とコラボレートして本を制作し、ひとつの本棚をつくることを夢見ています」(鈴木さん)。
[取材・文/笠原桐子+『WEBアクロス』編集室]
「今までの表現とは違う、新たな提案したかったんです。僕らにしかできない、面白いものをやりたいと思っていました。絵本という媒体にしたのは、ずっととっておけるものだから。絵本を見ながら親子で話した物語を空きスペースに書き込んだりして、子どもが大きくなった時にそれが残っているありがたさを感じてほしいんです。」(鈴木さん)
準備・制作期間は約1年に及んだ。同書は07年6月に日本に先駆けて、オランダで開催された世界で唯一のファッションビエンナーレ、「Arnhem Mode Biennale(アーネム・モード・ビエンナーレ)」で展示・販売された。同書には、山縣さんとニットアーティストのmafuyu(マフユ)さんとのコラボレーション作品、「“MY TOWN IN MY HOME“ yoshikazu yamagata to mafuyu」が掲載されている。この作品は家の形をモチーフとしたホームウェアで、家庭内でのコミュニケーションツールとして提案したもの。アーネム・モード・ビエンナーレで展示され、日本では国立新美術館の「SFT GALLERY」にて展示された。プロダクトデザインや遊び道具としての洋服を提案している。他にも、玉井さんが幼稚園の頃に描いたという絵本を撮影したページが目を引く。保母さんが話した物語を子どもたちが絵で表現し、家で絵を見せながら自分の親にストーリーを話す。親はそれを文章に書き起こし、1冊の絵本が完成するというものだ。どちらも同書のコンセプトにぴったりのコンテンツとなっている。
『ela ela ela ela opa!』は07年9〜10月に渋谷のセレクトショップ「DESPERADO(デスペラード)」で、親子や家族のコミュニケーションをテーマにしたエキシビションを開催し、いよいよ日本で#13が発売となった。他に販売しているのは、フリーマガジン創刊時からの付き合いという中目黒にあるブックショップ「ユトレヒト」や青山ブックセンター、タワーレコード渋谷店など。東京以外では、大阪の心斎橋アセンス、名古屋の「Yebis Art Labo(エビスアートラボ)」にも。本というツール、遊び道具というコンセプトがあるため、インテリアショップなどでの販売も進めているという。
「今後は、ユースカルチャーにとどまらず、医学や環境をテーマにすることもあるかもしれないです。さまざまなジャンルの人とコラボレートして本を制作し、ひとつの本棚をつくることを夢見ています」(鈴木さん)。
[取材・文/笠原桐子+『WEBアクロス』編集室]