「旅行会社で働く20代の女性の目線で、同世代の女性にもっと楽しい旅を提案したいー」そんな想いから誕生した新しい旅行情報サイト『トラベリータ』。2007年の11月、近畿日本ツーリスト(株)の公式HP内に誕生したこのサイトは、20代の働く女性=OLがターゲットである。運営を担当しているのは、なんと全員が20代前半かつ入社1〜2年、それぞれ担当部署も異なるという、有志で集まった女性社員6名。“旅行のプロ”であると同時に、“旅行好きの女の子”でもある彼女達の、リアルな声が反映されたコンテンツ構成が最大の特徴だ。
「20代の女の子にオススメの旅行プランやWEBサイトはたくさんあって、どれが本当に良いのか分かりづらいのが現状。そこで、”私たちが実際に興味のあるもの、本当に行きたいもの”を提案してみたいと思ったんです」そう語るのは、『トラベリータ』の立ち上げから運営に携わり、ふだんはインターネット専用宿泊プランの企画を担当している伊藤礼さん(同社 マルチネットセンター)だ。そもそも『トラベリータ』立ち上げのきっかけとなったのは、07年7月に夏期限定で公式HPに企画された女性向けのコンテンツ。それは、おすすめの旅行プランをリスト化し並べただけのものだったという。その際「もっと商品の中身がわかるサイトがあったら良いのでは…」と考えた彼女達は、新企画の立ち上げを提案。見事採用された。「そこで現在のメンバーが集い、07年の9月後半より具体的なプランを立て、サイトのネーミングから意見を出し合い制作していきました」(伊藤さん)
例えば、1月後半にアップされた特集では、旬の「バレンタイン」がキーワード。「恋に効く”テーマパーク”」、「”露天風呂”で非日常体験…」など、複数のテーマを各1名のスタッフが担当し、カップル向けのおすすめ旅行プラン(商品)を厳選して紹介していく。そこには、彼女達が実際に体験した旅行のエピソードやワンポイントなどが添えられ、読み物としても楽しめるようになっている。その他にも、旅行の準備やマメ知識、周辺情報などを集めた「知って得する旅のコツ」、メンバーが感じたことを綴った「おしゃべリータ」のコーナーなど、様々な視点でセレクトした便利な旅行情報が詰まっている。
そんなサイト誕生の背景には、若い女性の旅行事情の変化も関係しているといえそうだ。「”仕事から離れてのんびりしたい”、”アクティブに遊びたい”など、旅行の希望やスタイルは様々。最近はその多様性が増していると感じます」。そう語るのは、公式HPの更新・管理も担当している宮田寛子さん(同社 Webトラベル事業部)。
「また、サイト内で実施しているアンケートによると、最近の若い女性の傾向として、気軽に出かけられる国内旅行に需要が高く、特に関東近郊の温泉地が人気です。目的として最も多いのがエステやスパなどの“自分磨き”や”癒し”の旅行で、その次が観光。海外ではバリ島などのリゾート地も支持されています。一人旅を選ぶ方が増えているのも特徴で、友人や彼氏と行く方よりも多くなっています」。 さらに宮田さんは、若い女性もただ”安い”だけでは満足できない時代であると分析。「だからこそ、『『トラベリータ』では、例えば専用露天風呂付きのプランなどプラスアルファの情報を入れ込みながら、もう一歩踏み込んだ旅行スタイルを提案したいと考えています」(宮田さん)。
また、『トラベリータ』はブログ形式を取っていることも特徴のひとつ。ラフな文体を使いながら、メンバー6名の異なる個性を表現した賑やかなコンテンツは、同世代の女性の共感を得る大きなポイントといえるだろう。さらにユーザーの反応を取り入れることで、より良いサイトへの発展を目指している。
「お客様の反応がダイレクトに分かるので、商品の企画にも反映することができます。今後はお客さまと一緒にトラベリータ用の旅行プランを作ってみたいですね」(伊藤さん) 。さらに宮田さんも、「旅行に行く前も後も、また行かないときでも気軽に楽しめる情報交換の場として、お客様の旅の可能性を広げるようなサイトにしていきたいと思います」と今後の展望を語ってくれた。
各地の旅行情報に詳しい彼女達は、ふだんも休暇を利用して国内外に出かける大の”旅行好き”でもある。「休日は友人と温泉に行ったり、冬はスノボを楽しみます」という伊藤さん、「ヨーロッパが好きで年に一度は訪れます。現在の興味は国内の温泉めぐり」という宮田さん。好きなものだからこそ、自分達の目を通してきちんと伝えるということ。従来の概念にとらわれず、より良いサービスの提供に挑戦すること。そんな熱意溢れる彼女達のアイディアは、サイトへと形を変え、日々着実に進化を続けているようだ。
[取材・文/渡辺満樹子(フリーライター/エディター)+『ACROSS』編集部]
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