4月は新入生や新社会人、そして「新東京人」も増える季節。2017年度最初の定点観測は、第1土曜日、1日に実施した。注目したテーマは、カウントアイテムが「女性ショルダーバッグ、うち、ミニバッグ」、ズームアップアイテムが、「フラットシューズ(ぺったんこ靴)」、「フードかぶり」とした。では、順番にテーマ決定の背景と、実際のストリートのようすを解説したい。
■カウントアイテム:女性ショルダーバッグ、うち、ミニバッグ
街を観察していると、いまでも相変わらず量ではバックパック、リュックが多いのは誰も異論はないだろう。幅広い年齢層の女性に爆発的にヒットしている「アネーロ」の勢いはまだ収まらず(色・柄バリエーションが増えている)、利便性からか「カンケン」の人気も復活。形状のトートバッグ×バックパックの四角い2ウェイも目立つ一方、男性には、スポーツブランドや、コレクションブランドとのコラボものなどもチラホラ。いずれも“今どきの都市生活者の日常ツール“としての意味合いが強い。
一方、雑誌のスナップや、NYやパリ、ミラノ、ロンドンなどで開催されているファッションウィークでのスナップ、また、先日「ACROSS」編集部も連日撮影とインタビューをさせて頂いて記事として掲載したが、東京ファッションウィークに来場していたプレスや関係者のあいだでは圧倒的に「ミニバッグ」が多かった。
具体的には、「マルニ(MARUNI)」や「ステラ・マッカートニー(
もちろん、アウターやボトムスなど全体的にビッグシルエットになっているので、バッグで軽さを、または物理的にバックパックは難しい、というようなこともあるだろう。
Stella McCartney
)」、「セリーヌ(CELINE)」、そして王道の「シャネル(CHANEL)」など久しぶりにハイブランドのものが目立ち、B5よりも小さく、マチはあるものの、やや短めのストラップで服と一体化したような、まるでアクセサリーの1つのような印象を受けるスタイリングにまとまっていて、バックパックのような日常というよりは、“非日常”または“おしゃれ感”が感じられつつ、実は両手があいて便利、というのが特徴だ。もちろん、アウターやボトムスなど全体的にビッグシルエットになっているので、バッグで軽さを、または物理的にバックパックは難しい、というようなこともあるだろう。
実際に街を観察してみると、「ケイトスペード(kate spade)」や「コーチ(COACH)」、「マイケルコース(MICHAEL KORS)」といったブランドもかなり増えている他、お母さんやおばあちゃんからの借りたりもらったりしたのか、古着屋さんやネットでで購入したのか、「ルイヴィトン」の昔のデザインのものや「オールドコーチ(昔のレザー製のものの総称)」など、“ヴィンテージ感”のあるミニバッグも多かった。
この、「ヴィンテージ感」、「昔懐かしいデザイン」、「レトロ感」、「経年変化したディテールやもの」などは、今シーズンのファッションやカルチャーのトレンドキーワードでもあり、カウント結果(通行人中に占める女性のミニバッグ保持率)をみると、渋谷が4.4%、原宿が5.7%と一桁だったのに対して、新宿地点では14.2%と、「ミニバッグ自体はかなり幅広い層に広がっている」ことも確認された。
ちなみに、過去の定点観測を振り返ってみると、2015年11月に「バッグのだらりがけスタイル」として取り上げたが(下の写真左2点)、その後ナナメがけが増え、さらにストラップが短くなり、脇腹くらいに収めて身体と一体化した「ボディバッグ」のような持ち方、服や身体と一体化するように変化しているという見方もできる。
また、一部のカルチャー系のグループのあいだでは、「ビルディングブロック」や「メゾンエウレカ」などひとひねりしたブランドや、「ビームス」や「コーエン」などセレクトショップや、「and wander」や「山と道」などのアウトドアブランドのサコッシュなどをファッションのコーディネートのハズし感覚でナナメがけするスタイルも。軽くて丈夫、収納力もあって便利という機能性からか、サコッシュは、バギーを押す若いファミリーのママにも人気だった。
つまり、「ミニバッグ」が流行している理由は、実はバックパックにも共通する“両手があく=手ぶら感覚でらくちん“という実利からくるものも大きそうだ。
ミニバッグの人気で財布も小型化に
ところで、皮革小物業界では、ミニバッグの流行を背景に、ここ数年、財布の小型化が進んでおり、なかには、財布にストラップが付いていてバッグと一体化しているものも増えてきた。また、IOTの発展・推進もあり、“意識が高い人たち”を中心に、お財布携帯や、アップルペイ、グーグルペイ、楽天ペイといった“(いわゆる)お財布レス”も増えているという。
さすがに今回の定点観測のインタビューでは出会わなかったが、財布とバッグ、身体がいっしょになっていく、または車やバイクといった乗りものと一体化していく? など、今回の「ミニバッグ」は、“少し先のミライのライフスタイル”を創造させるテーマとなった。機会があったら、“ミレニアム世代のお財布感覚“というか、具体的なお財布の使い方や支払い方法、消費行動などをリサーチしてみたい。
さすがに今回の定点観測のインタビューでは出会わなかったが、財布とバッグ、身体がいっしょになっていく、または車やバイクといった乗りものと一体化していく? など、今回の「ミニバッグ」は、“少し先のミライのライフスタイル”を創造させるテーマとなった。機会があったら、“ミレニアム世代のお財布感覚“というか、具体的なお財布の使い方や支払い方法、消費行動などをリサーチしてみたい。
詳細は、スナップは今週末の7日〜8日、インタビューは来週末の14〜15日に公開する予定。