去る2017年6月4日(土)、第1回目となる「渋谷おとなりサンデー」が開催された。
現在、渋谷区には合計105(!)の町会・自治会があるが、かねてから住民どうし、または働く人と住む人たちの交流をどのように図るか、また各組織の高齢化も進み、今後どう次世代と繋がっていくか、といった課題を抱えていたのだそうだ。そんな課題解決に向け、アクションしていこうと立ち上がったのが「おとなりサンデー」である。
(※1)隣人祭り・・・フランス語でla Fête des Voisins(ラ・フェット・デ・ヴォワザン)。パリのとあるアパルトマンで高齢者の孤独死が起きたことをきっかけに、住人たちが自発的に始めた持ち寄りパーティーのこと。1999年にスタートし、現在では、ヨーロッパを中心に世界約34都市で開催されている。
企画・運営は、NPO法人シブヤ大学を中心に結成された渋谷おとなりサンデー運営事務局が担当。特設HPは誰もが自由に投稿できるようになっており、地域のためにイベントを行いたい人や団体を募り、事務局がサポート。投稿と連携して渋谷区は、区内の施設や公園などの使用許可を出すなどの対応を行うというしくみになっている。
午前10:30、SHIBUYA CAST.(キャスト)ガーデンで行われた開会式では、長谷部健区長による開会宣言が行われた。
「今年は0回目として2〜3の見本ができたらと考えていましたが、思いのほか多くの方に手を挙げて頂く事ができました。それぞれの地域でそれぞれのおとなりサンデーが開催され、世代を超えて渋谷に関わる人、区民や働いている人、遊びに来る人が交わる日になれば」と挨拶を行った。
また、渋谷のラジオ理事長の箭内道彦さん、東京理科大学教授/シビックプライド研究会代表の伊藤香織さん、事務局の青木優莉さんらを交えて4名によるトークショーも開催。地域コミュニティの重要性を訴えた。
メイン会場には周辺の町会の会員らが集まり、設置されたパラソルの下で持ち寄ったフードやドリンクをシェアしながら、なごやかに交流を楽しんでいた。
「町会ではふだんから様々な活動を行っていますが、そういったことに参加するのはハードルが高いと思っている方や、ご近所付き合いを煩わしく思ってマンションなどに住んでいる方も少なくないでしょう。でも、ちょっとでも参加してみようかな、という人たちのきっかけとしてはいい企画なのではないでしょうか。渋谷区は新しく引っ越して来る方も多いので、マンション単位での交流会が増えればいいですね」(宮益町会会長 小林幹育さん)。
「町会ではふだんから様々な活動を行っていますが、そういったことに参加するのはハードルが高いと思っている方や、ご近所付き合いを煩わしく思ってマンションなどに住んでいる方も少なくないでしょう。でも、ちょっとでも参加してみようかな、という人たちのきっかけとしてはいい企画なのではないでしょうか。渋谷区は新しく引っ越して来る方も多いので、マンション単位での交流会が増えればいいですね」(宮益町会会長 小林幹育さん)。
また、渋谷区で生まれ育った60代の女性は、「お店をやっていた頃はいろんな交流がありましたが、みなさんビルオーナーになってしまった今では顔を合わせる機会も減ってしまって。こういった企画は貴重でありがたい」と語っていた。
第1回目の今回、事務局の呼びかけや住民の発案により37ヶ所で大小様々なイベントやワークショップが開催された。
今回、発信拠点のSHIBUYA CAST.で開催されたのが、「BtoCベンチャープレゼンイベントsprout#18 -sunday-」だ。これは(株)co-ba(株式会社ツクルバ)とIBM BlueHub、トーマツベンチャーサポートの共催で開催するスタートアップのプレゼンイベントで、過去計17回にわたり、朝日新聞メディアラボや田中千代ファッションカレッジ、クラブcircus tokyoなどで開催されてきたが、今回はSHIBUYA CAST.ガーデン奥の階段部分のオープンスペースを会場としてジョイント開催となった。
今回、発信拠点のSHIBUYA CAST.で開催されたのが、「BtoCベンチャープレゼンイベントsprout#18 -sunday-」だ。これは(株)co-ba(株式会社ツクルバ)とIBM BlueHub、トーマツベンチャーサポートの共催で開催するスタートアップのプレゼンイベントで、過去計17回にわたり、朝日新聞メディアラボや田中千代ファッションカレッジ、クラブcircus tokyoなどで開催されてきたが、今回はSHIBUYA CAST.ガーデン奥の階段部分のオープンスペースを会場としてジョイント開催となった。
「渋谷からベンチャー・スタートアップを応援する」をコンセプトに、6組の若い起業家がプレゼンテーション。オーディエンスの投票により、荷物一時預かりシェアリングサービスecbo cloak(エクボクローク)のプレゼンを行ったecbo(株)代表取締役社長 の工藤慎一さんが最優秀賞・渋谷賞を受賞。なんとも渋谷の日常らしい“ご近所さん”のイベントといえそうだ。
一方、「恵比寿ビール坂商店会」は、毎年10月に開催されている「恵比寿ビール坂祭り」の春版としてジョイント開催となった。約400mに渡って加盟店による露店が並び、大変な賑わいをみせていた。
一方、「恵比寿ビール坂商店会」は、毎年10月に開催されている「恵比寿ビール坂祭り」の春版としてジョイント開催となった。約400mに渡って加盟店による露店が並び、大変な賑わいをみせていた。
さらに「恵比寿新聞」は、ビール坂上に約15mに渡ってテーブルと椅子に設置し、「持ち寄りサンデー」と題した持ち寄りパーティーを開催。近隣に住む20家族が自慢の家庭料理を持ち寄って、食事を楽しんでいた。さらにそのレシピを、恵比寿に本拠地を構えるクックパッドが特設ページでレシピ公開するなど、拡張性のあるイベントとなっていた。
また、商業施設の「アトレ恵比寿」は、屋上のグリーンガーデンを会場に「みんなのASOBIBA〜世界の遊びを体験しよう」と題したキッズ向けのワークショップを開催。
英語保育を行うSOMOS English Academyの講師らによる、英語でのダンスレッスンや工作、塗り絵、(株)ワールドライブラリーによる巨大絵本での読み聞かせなどを行い、小さなお子さん連れのファミリーがバギーで訪れていた。
神宮前2丁目、キラー通りにオフィスを構える(株)BAUM(バウム)では、「外苑西空中ピクニック」を開催。おむすび まるさんかくのおにぎりBOXとONIBUS COFFEE(オニバスコーヒー)のハンドドリップコーヒーを販売し、約2〜30名がランチを楽しんでいた。
神宮前2丁目、キラー通りにオフィスを構える(株)BAUM(バウム)では、「外苑西空中ピクニック」を開催。おむすび まるさんかくのおにぎりBOXとONIBUS COFFEE(オニバスコーヒー)のハンドドリップコーヒーを販売し、約2〜30名がランチを楽しんでいた。
他にも、シダックスと(株)東急百貨店による「渋谷クリーンウォーク大作戦〜成功すればビアガーデン1杯無料」やAir bnb東京ホームシェアリングクラブによる、「外国人ゲストと一緒に、広尾商店街をマーチャントウォーク」、代々木上原にあるイスラム教の礼拝堂「東京ジャーミィ」の見学ツアーなど、主催者や地域の特徴を活かした交流イベントが開催され、それぞれ賑わっていた。なかには2つ、3つのイベントを掛け持ちして参加する人も見られた。
また、千駄ヶ谷2丁目の某マンションでは、「311の震災以降、毎年2回隣人祭りを行っている」という意見が寄せられ、おとなりサンデー当日にマンション住民を対象とした隣人祭りが行われたそうだ。その他にも、幡ヶ谷で小さな子どもを持つママが、一緒にヨガ教室に行く仲間が欲しいと立ち上げたものや、障がいを持つ子どもたちと家族をサポートする団体が新たなボランティアを募るものなど、日常生活やふだんの活動の中での身近な要望やニーズからイベントが生まれていた。
ほぼ1日かけて、いくつかの開催場所をまわったが、昔ながらの商店街のお祭りのような雰囲気のものもあれば、親子を対象にしたアットホームなものもあったり、またクリエイティブ系の企業のオープンオフィスのような雰囲気のものもあったりと、主催者やプログラムよって規模も雰囲気も実に様々。参加者の属性や年齢、性別も幅広く、いち参加者としては、自分の関心によって参加プログラムが選べる点がとても魅力的に感じた。
イベントに参加者していたファミリーにインタビューすると、
「地区の掲示板に貼ってあるチラシを見て、おとなりサンデーを知りました。ママ友たちと子ども連れで集まる予定です。チラシのロゴデザインがかわいくて、さすが渋谷区!という感じ」。
「渋谷CAST.からビール坂をはしごする予定。午後から親戚やおばあちゃんも合流します。近所の皆さんと集まれる機会がなかなかないし、子どもとおじいちゃん、おばあちゃんが一緒に楽しめるイベントって少ないので有り難い」という意見が聞かれた。
また、渋谷区在住の30代男性は、「共通の趣味を持ったご近所さんとつながれて充実した1日になった」など、各々の関心によって、自由なスタイルで交流を楽しんでいるようすが感じられた。
「6月第1日曜日をきっかけに渋谷らしい『おとなりと交流する日』になっていくことを目指した取り組みです。渋谷おとなりサンデーを通じた人との出会いが、街への思いを作っていくと信じています。誰もが主催者になれるので、これからもっとみんなのおとなりサンデーをつくる人を増やしていきたいと思います」(青木さん)。
今年“参加”した方々が来年はイベントを“企画”し、さらに新たな参加者が集まる、というように“ご近所”の和が緩やかに広がり、ゆくゆくは「おとなりサンデー」に関係なく、日常的にご近所付き合いが行われるようになると、大規模再開発が進む渋谷の街ももっと身近なものになるのかもしれない。
取材・文 ACROSS編集部