Copenhagen Fashion Week SS18

パリやロンドン、NY、ミラノだけじゃない、世界各地のファッションウィークを紹介。ところ変わればファッションのトレンドも変わるはず！　ショーや展示会、ストリートを横断的にレポートしていきます。

第１回目は、2017年8月8日〜10日、コペンハーゲンで開催されたコペンハーゲンファッションウィークをレポートします。

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“スカンジナビア“といいえば、家具や街並みのデザインの素晴らしさを思い浮かべる人も多いだろう。家具インテリアやデザインに関しては、既に日本でも浸透しているが、ファッションではどうだろうか。

H&Mや、ACNE（アクネ）、CHEAP MONDAY（チープマンデー）など、スウェーデンのブランドは比較的馴染みがあるが、デンマークのブランドとなると、Henrik Vibskov（ヘンリックヴィヴスコフ）や、Wood Wood（ウッドウッド）、Samsøe & Samsøe（サムソサムソ）、RAINS（レインズ）など、ヨーロッパでは知名度はあっても、意外にもまだ日本にはまだあまり浸透していないブランドが少なくない。

ということで、しかし、今回ご縁あって、Copenhagen Fashion Week（コペンハーゲン・ファッションウィーク）に潜入し、いくつかのランウェイや展示会、見本市、ストリートファッションを取材した。

Ivan Grundahl（イワン・グランダル）

コペンハーゲン・ファッションウィークは毎年2月と8月に開催されている。毎回約30〜40のランウェイが披露され、同時期に、各ブランドや企業がイベントを開催。「CIFF」と「Revolver（リボルバー）」という2つの大型トレードショーも開催されている。

おおよそ2,000を超えるデンマークのファッションブランドを発表している。今回日本からは「CIFF」にBEAMSが参加していた。会期は8月8日〜10日の３日間。参加ブランドは合計32ブランドと、日本に比べてかなり短い期間にぎゅっと凝縮されたレベルの高いファッションウィークだった。

初めて観たコペンハーゲンファッションウィークのランウェイのいちばんの特徴は、スカンジナビアンモダンといわれるような、スポーティーでスタイリッシュなデザインが多かったことだ。ドレスなども自然素材を活かしたシンプルな色使い、美しいシルエットを描きながらも、実用性の高い日常で着られるようなデザインになっているのも確認された。残念ながら、すべてのショーを観ることはできなかったが、気になったブランドをいくつか紹介したい。

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Designers Remix（左）、Holzweiler（右）

Henrik Vibskov：8月5日〜11月５日まで、金沢21世紀美術館で開催されている「日本・デンマーク外交関係樹立150周年記念展〜日々の生活　気づきのしるし（Everyday Life ~Signs of Awareness）」でも招聘され、ライブパフォーマンスも開催される予定だ。

Ivan Grundahl（イワン・グランラル）

昨年他界したデンマークのアヴァンギャルドなクリエーターIvan Grundahl（イワン・グランラル）の遺志を継ぎデザイナーに就任したRoy Krejberg（ロイ・クレバーグ）によるコレクションは、同ブランドの特徴である細かく設計された美しいシルエットとレイヤードが引き立つ白と黒のモノトーンを中心に表現。幻想的なコレクションを披露していた。

http://www.ivangrundahl.dk/

Designers Remix（シャロット・エスキルドセン）

2002年、Charlotte Eskildsen（シャーロット・エスキルドセン）がパートナーのNiels Eskildsen（ニールズ・エスキルドセン）とともにスタートしたDesigners Remixは、現在世界約600店舗以上で取り扱われている実力派のブランドだ。日本でも全国各地のセレクトショップで取り扱われており、安定した人気を誇っている。

今回は運河沿いの屋外デッキを会場にスポーティーな雰囲気の中に王国デンマークらしいお嬢様テイストをミックスした上品なガーリースタイルを披露。同ブランドの特徴でもある“あいまいな雰囲気を作り出す女性らしさと日常“感が日本のマーケットにも受けそうな印象を受けた。
https://www.designersremix.com/

Holzweiler（ホルスウィラー）

2012年に最高級カシミアとシルクのスカーフコレクションを発表したノルウェーのブランドHolzweiler（ホルスウィラー）。日本では伊勢丹や高島屋などの百貨店やトゥモローランド、エディフィスなどのセレクトショップなどで“ハンガー”のマークの高級ストールブランドとしてのイメージが強いが、そのカラフルで独特な柄のニットなどは、FARFETCHやnet-a-porterなどのECを通して、ウィメンズ、メンズともにファンが少なくない。

今シーズンは、チェック柄や決して甘過ぎないフラワープリント、ピンク、赤のフーディやワイドパンツやロングスカートなど、“今の気分”がダイレクトにデザインされており、“LOVE ME LOVE ME NOT”というキャッチフレーズが配されたフーディやTシャツは今回のファッションウィーク限定品ということで、どうやら公式HP上で“See now-Buy now”になっていたよう。

ベーシックなデザインに遊び心のあるプリントモティーフは、まさにスカンジナビアン・ブランドの特徴を表しているといえそうだ。
https://www.holzweiler.no/

Henrik Vibskov（ヘンリックヴィブスコフ）

日本でも、渋谷区神南の「ニド」や新宿の「ヴット」をはじめ、全国のオーナー型セレクトショップでも取り扱いのあるHenrik Vibskov（ヘンリック・ヴィヴスコフ）は、セントマーチンを卒業したデンマーク人デザイナーのブランドだ。ユニセックスが特徴で、今季は、上質なパジャマルックのアレンジやギンガムチェックのシャツドレス、わざとラフに仕上げた織り柄など、同ブランドらしいユルさ溢れる世界観が、服やソックス、メガネ、バッグなど小物類はもちろんのこと、ヘアメイクに至るまで表現されていた。

http://www.henrikvibskov.com/

ファッションブロガー@idatallerud（左）と、@bettykrag（右）

左から順に、@hildasandstrom　＠byrosemaria　エディターの＠victoriasaceanu

コペンハーゲンのストリートファッションは？

駆け足で巡ったコペンハーゲンのファッションウィーク。会期中の街のファッション＝ストリートファッションも観察した。スカンジナビアン・ファッションの特徴として筆者がイメージしていたのは、モノトーンにブロンドヘアのスレンダースタイルだった（かなりステレオタイプだが、、）が、実際は、差し色のレベルではなく、想像以上に柄もの＆カラフルなファッションを楽しむ人たちが多かった。

もちろん、色や柄など、グローバルトレンドの影響もあるだろう。しかし、興味深かったのは、ウィメンズのトレンドが、メンズにもシームレスに影響を与えていて、逆にウィメンズにマニッシュなルックが目立っているなど、ジェンダーフリーな感覚がストリートにも浸透していた点かもしれない。

また、会場に集まるいわゆる“ファッションピープル”に注力してみると、いわゆる世界3大コレクションに見られるような若者に限らず、けっこうな人数の大人が多いのも特徴。年齢や世代を越えて、まるで南イタリアにきたような、大人のバカンスファッションを披露していた。

とはいえ、ここはコペンハーゲン。8月といっても最高気温が25度までいく日はほとんどないので、ジャケットやボンバージャケット、デニムなど羽織りものを重ねる人も目立った。そういう意味では、シーズン感覚も他の都市とは異なる独特のミックスファッションとなっていた。

最後に、会場を彩っていたファッションブロガーやエディターなど、インフルエンサーたちを紹介したい。

[取材／Yoon Sumi（在ベルリンファッション・ディレクター）＋「ACROSS」編集部]

＊筆者が注目したブロガーやエディターたち（上から順に）
ファッションブロガー@idatallerud（左）と、@bettykrag（右）
下の段左から@hildasandstrom　＠byrosemaria　エディターの＠victoriasaceanu