「経営」の視点からファッションへ
「いつか自分のウェブメディアを立ち上げたいと思ってました。漠然とお店をオープンすることにも興味がありましたが、具体的には“危機感”がお店を立ち上げる刺激になったように思います」と言うのは、オーナーの近藤弘一さん。
「僕がデザイナーズブランドを好きになった00年代以降、マーケットは縮小するばかり。なんとか、もう一度盛り上げるために、彼らの世界観が見せられる“場“を作る機会として今がラストチャンスだと思ったんです」(近藤さん)。
近藤さんは、故郷・愛知県で自営業を営む両親から影響を受け、上京後大学では経営学部で会計を学ぶ。古着屋が盛んな愛知県・大須で服を着ることの楽しみを覚え、強い探究心からデザイナーズブランドへの興味も広がったのだそうだ。デザイナーズブランドに感銘を受けた自身の初期体験は、Yohji Yamamotoのパンツ。友人と物々交換する際にもらった品だというが、履き心地とデザイナーの考え方に感動を覚えたと話す。
その後、経営とファッションへの興味を繋ぐ実践的なツールとして思い付かんだのがウェブ。「アパレルウェブ」に3年間勤め、自らいくつも新企画を立ち上げ、「コレクションレポート」の取材などを通してデザイナーとの関係を育んだ後に、「DEED FASHION」というメディアと、セレクトショップ「R for D」を立ち上げたのである。
「R FOR D = Room For Designer という名前の通り、“デザイナーがその世界観を表現するための空間“を意識しました。主役はデザイナーなのですが、実は、来店してくださるお客様も“デザイナー”だと捉えています。つまり、これだけ世の中に服や情報が溢れる中、“服を選ぶ感覚自体も、何かを表現しているといえるのではないか“と思うんです」(近藤さん)。
来店者は、ファッションに関心のある若い人はもちろんのこと、近隣に住むファッション好き(または関連業界に従事していそう)な40〜50代も少なくなく、センスの良さに加え、服のクオリティに目が肥えている大人の人たちとのコミュニケーションが図れるのは想定外だったという。