2018AW/2019SS Indie Brand Fair in Seoul, Korea
レポート
2018.09.21
ファッション|FASHION

2018AW/2019SS Indie Brand Fair in Seoul, Korea

年1回に凝縮された、「インディーブランドフェア2018AW/2019SS in Seoul」を取材!

変化する、韓国のファッション&カルチャー・シーン!
今回のキーワードは「メディア戦略」と「インキュベーション・システム」!


世界で最も早く開催されるロンドンファッションウィーク・メンズから約10日後の6月21日と22日の会期に変更し開催された“Indie Brand Far 2018”。通算第11回目となる今回は、国ソウル市江南区のSETECへと会場を変え、合同展示会とランウェイショーが行なわれた。

参加ブランドはウィメンズ、メンズ、雑貨など合計200と前回よりも増え、またバイヤーだけでなく、ブロガーなどのインフルエンサーも積極的に誘致。前回よりも多い総合計約6,000人の来場者で賑わった。

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ドイツの大学で美術を先行したEun-Jung Leeさんがクリエイティブディレクターを務める「EJnolee」。詳細は以前の記事をどうぞ(http://web-across.com/todays/p7l756000000ay06.html?ra=1)(左)/クールなセクシーさが特徴の水着や下着、スポーツウエアブランド「SONGNARE BY」は自社とカカオトークなどのECが充実(中)/2016年にローンチし急成長している靴ブランド「Molibdeno」は、1人ひとりがパーソナルオーダーすることができるショールームを古くて新しい街として人気の聖水洞(ソンスドン)に設けている(右)。
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以前も取材させていただいたブランド「Sorry, Too Much Love」は、 (http://web-across.com/todays/p7l756000000ay06.html?ra=1)のデザイナー、Sasha Eun JunKimさんはNYのFIT出身。9月26日〜28日に東京ビッグサイトで開催される「IFFMAGIC」にも出展する予定だ。今年はファンに寄り添ったMDも多数手がけており、“コミュニティビジネス”に注力し、売上を伸ばしている。
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プレス関係者だけでなく、ライブ感ある写真・映像を撮ろうと観客席がアクティブだった。

「そもそもインキュベーションということで、政府(韓国産業通商資源部)の予算で運営しているのですが、参加資格であるスタートしてから7年未満のブランドの多くが、SSとAW年2回のコレクションをやるのがたいへん、ということや、小物や雑貨はSSとAWを区別していなかったりなど、無理矢理分けて年2回開催するよりも、シーズンを自由にして、年1回にまとめて開催にした方がいいのでは、ということになったのです」と韓国ファッション協会のディレクターPark Young-sooさん。

申込期間もたっぷり取り、240を越えるブランドのなかから200に厳選。結果的にクォリティアップに繋がり良かったと話す。

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ロンドンのセントマーチン出身のJihoon Chouさんが手がける「ブランド「ETCH」は、ソウルコレクションにも参加している(左)/やはりヨーロッパで学んできたデザイナーはコンセプチュアルなモード系ブランドが多い。写真真ん中は、ベルギーの芸術学校と、セントマーチンを修了し、ロンドンやパリ、バルセロナ、アムステルダム、サンフランシスコなどのファッションウィークなどにも参加していたHasesung Bongさんの「HASESUNG BONG」/以前も取材させていただいたパリで11年間キャリアを積んだ後自身のブランドをローンチしたブランド「CHAHIER」のKim-A-Ypungさんはエレガントなラインが特徴(右)。
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事務局が招聘したインフルエンサーも目立った今回のインディーブランドフェア。
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(左から順に)日本からは韓国ブランドを日本に積極的に紹介しているコンサルティング会社FGroundの野田さんが声をかけ、ワールドのデジタルマーケティングラボの松本千広さん、ウィゴーのバイヤー、そして、“韓国ツウブロガー”として人気のCOCO TAKAIこと高井香子さんが初参戦!
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ビジネスセミナーなどの影響か、今回はどちらかというと韓国国内からの来展者が目立った。
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韓国のブロガーさん(左、中)と、同イベントを主催する韓国ファッション協会のPark Young-sooさん(右の左)とJoyce Insuk Yoo(右の右)さん。モデルのような体型のJoyceさんのファッションスタイリングを披露するインスタグラムは大人気!

なかには、既にソウルファッションウィークに参加しているブランドもいくつかあり、ロンドンのセントマーチンを卒業した「ETCH」のデザイナーJihoon Chouさんは、「とにかく今はいろんな人に見せたいので参加しました。ミラノの“Fight”というショールームにも参加します」と話してくれた。

ベルギーの芸術学校と、セントマーチンを修了し、ロンドンやパリ、バルセロナ、アムステルダム、サンフランシスコなどのファッションウィークなどにも参加していた哲学的なコンセプトとシャープなデザインが特徴のブランド「HASESUNG BONG」のHasesung Bongさんは、前回より同協会からの支援もあって帰国・出展。韓国のオンラインショップにも参加することになり、「米国の百貨店ニーマンマーカスのバイヤーから連絡も来ました」と話す。

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「夢は大きく、アーバンアウトフィッターズです!」と話してくれたNa-Ru Kangさんは、NYのFITで出会った夫(左)といっしょににブランド「NARU」をローンチ。

素材感とラインがフェミニンなデザインが特徴のブランド「NARU」のデザイナー、Na-Ru Kangさんは、NYのFITでいっしょに学んだ韓国人男性と結婚し、卒業と同時に2人で起業。NYでの展示会を経て、上海コレクションや香港、そして今回インディーズブランドフェアに参加し、この後、パリの国際見本市の“Who’s Next”にも出展予定だと話してくれた。

以前の本誌の取材でも紹介したが、いわゆる“(ヨーロッパのファッションの学校からの)帰国組”を中心に、世界中の展示会に参加したり、複数のオンラインショップを行なっていたりと、チャレンジングなようすが感じられた。

「東洋的なものとNYっぽい都会的な感覚をミックスしたブランドとして、将来的には米国・アーバンアウトフィッターズ社のようになるのが目標です! 彼らも最初はフィラデルフィアで小さくスタートし、都会的な完成と自然とのミックスが特徴で、私たちの目指す方向性と合致しているんです」(Na-Ruさん)。

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大盛況だったセミナー。テーマは“Global Biz Model Strategy”!

また、今回新たに、両日朝10時からファッションビジネスに従事している韓国人向けにセミナーも開催。2020年にはディズニー社と並ぶドラマの企画・製作や配給などを行なっている韓国の総合エンターテインメント事業を展開するCJE&Mの子会社スタジオドラゴン社の代表が登壇した回では、テレビや映画などで俳優さんたちに着用されることによるブランディング効果をいくつかの事例をあげながらレクチャー。Q&Aのコーナーでは、具体的な相談に近い質問が相次ぎ、ランチタイムが過ぎても名刺交換の行列が尽きないほど、熱いセッションとなっていた。

日本からは今回、阪急百貨店やワールド、WEGOの他、個人オーナーのバイヤーらが来訪。韓国トレンドライターでインスタグラマー、YOUTUBERとしても有名な高井香子さんも招聘され、さっそく自身のウェブサイトで情報発信したところ、1,077件もの「いいね!」と獲得。メディア戦略をはじめ、参加ブランドのクォリティからショーのライティングやグラフィックなどの会場構成に至るまで、全体的に“オーガナイズされた”イベントへと進化していた。

次回は2019年6月開催予定だ。

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江南のサムソン(三成)洞にあるショッピングモール、「COEX(コエックス)」に今5月にオープンした巨大なライブラリー「Starfield Library」。地下1階から地上1階までの2フロア吹き抜けの巨大な空間はなんと約2,800平方メートル! 椅子はもちろんのこと、電源付きのデスクコーナーや、トークイベントスペースなども配備。とにかく“Wow!”な空間だ。
スタートアップ系に注力したファッションのコワーキングスペース「musinsa studio」。オープンしたてのところを取材させて頂いた。

また、毎回ソウル特別区のストリート(路上)をフィールドリサーチも行なっているが、今回は、インディーブランドフェアにもブースを設けていた韓国最大級のオンラインショッピングモール事業を展開するMUSINSA社の新規事業、「musinsa studio」を取材した。

いわゆるファッションに特化したコワーキングスペース兼ショールーム兼スタジオで、近隣に無数にあるホールセールブースが卸売りに特化しているのに対して、企画から製作・展示・折衝、配送まで、ファッションビジネスの全てを同じ場所で行なえることを目的とした新規事業だという。

場所は、韓国ファッションのホールセールの街、東大門市場にある、現代シティタワー内。ホテルも入った現代百貨店のビルの地下の2フロアと地上12階と13階で、なんと合計約7,000平方メートルはあるという。6月15日のグランドオープンからちょうど1週間後の21日、真新しい施設を案内してもらった。




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「ディシエルラウンド(DCL Round)」とは、「O2O(オン・オフライン)」バイヤーがリアルタイムで買付けが可能な“ライブシューマー(LIVE_SUMER)”のプラットフォームを導入したスペース。
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「musinsaは、現在年商約400億ドルの韓国最大級のオンラインモールを展開する大企業です。この新規事業のプロジェクトマネージャーということでヘッドハンティングされて来ました」と話すHan Munilさんは、ソウル大学を卒業後渡米し、MBAを持つエリートビジネスマンだ。

「これからのファッション業界は、テキスタイルやマテリアルはもちろんのこと、もっと他のいろいろな業界とマッシュアップし、イノベーションを起こしていかないといけないと思う」と、近年日本でも“ファッション×テック“がトピックとなっているのと同じような問題意識からの新規事業であることが分かった。

もともと、政府や自治体がファッションをひとつの産業として積極的にリードしてきた韓国。「ソウル・ファッションウーク」を運営するソウル市とソウルデザイン協会は、「ソウル・ファッション・クリエイティブ・スタジオ(SFCS)」というインキュベーション組織も運営しており、若手のデザイナーの企画からデザイン、生産、流通とトータルでサポートを行なっており定評がある。そういう背景からか、若手デザイナーをサポートする民間のサービスやビジネスも少なくない。

そんななか、今年2月に、卸売型SC「デザイナーズクラブ」の4Fと5Fに、「O2O(オン・オフライン)」バイヤーがリアルタイムで買付けが可能な“ライブシューマー(LIVE_SUMER)”のプラットフォームを導入した「ディシエルラウンド(DCL Round)」というスペースが登場し、(少し前まで)話題になっていたようだ。

なんでも、商品の仕入れから物流配送に至るまでワンストップで提供されるのはもちろんのこと、ゆくゆくは、商品の企画・設計から、生地の共同購入、共同生産、そして流通に至るまでのすべてができるようになるという。

もちろんターゲットは中国。今でも東大門の路上では「中国全域、香港、台湾に空輸します!」というサービスを行なう事業主が多数出店しているが、これまで分業化されていたファッションビジネスを一カ所にまとめることで、効率化も図ろうということのようだ。


 

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梨泰院(イテウォン)は新宿歌舞伎町または渋谷といったところだろうか。クラブやバー、飲食店が無数にあり、深夜遅くまで若者たちで賑わっていた。最近の東京ではあまり見られないような盛り上がり方!

そういえば、ロッテのショッピングモールFITINの上層階は、ライティングと音楽が特徴のハイパー系ボーリング場へと改装されており、また別の卸売り施設では、建物の老朽化から建替え計画があるのか、テナントが退店したまま放置されていて、がらんとしたフロアになっていたところも少なくなかった。ひょっとしたら、2018年現在、小売りと卸売りが共存しているのが特徴の東大門市場の在り方が変化していく課程にあるのかもしれない。

そういう意味では、「musinsa studio」や、「dcl Round」のような新しい試みは、アイデアとしては面白く、システマティックだと共感する部分もある一方、apmのすぐ側にあったアクセサリーの卸売り店「nyu nyu」では、ものすごく大勢の人で賑わっており、店内にブツ撮りの撮影ができるブースが設けられ、複数のスマホを用いて、その場でECにアップロード! リアルタイムでファッションビジネスをする中国語を話す人たちが目立った。

(日本もそうだが)IT業界からの“ファッション(業界)“への参入・融合・協業が軌道に乗るのには、まだ暫くかかりそうだ。

ちなみに、同施設のHPを見ると、(実は予想していた通り)オープンしてから約3ヵ月が過ぎたいまも、積極的に見学ツアーを行なっていたが、さて今後どうなっていくのかは、またフォローアップ取材してみたい。

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一方、訪問した日程は平日だったので開催されていなかったが、「DDT(東大門デザインプラザ)」のパルゴリまたはオウルリム広場で、今年から「DDPファーマーズマーケット」が毎月第2と第4土曜日に開催されるらしく、いわゆる週末のマルシェとして人気になっているという。

これは、ソウルデザイン財団と社団法人都農文化コンテンツ研究会が共同主催するもので、環境にやさしい有機農を志向する小規模生産者、スローフード農家、青年らが参加する“顔の見える”農産物、食品分野に関心のある若者が中心となって運営しているという。

ファッションウィークが(日本よりも)活気がある、といわれるソウルにおいても、“ファッション<ライフスタイル”という志向性が伸張しているようにも感じた。

ということで、ひきつづき、定期的にソウルのファッション&カルチャーのFR(フィールドルサーチ)を行なっていこうと思う。

[取材/文:高野公三子(本誌編集長)]

 


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