“スタイルエディトリアルブランド”として衣料品だけでなく雑貨や家具、飲食などを展開する「niko and ...(ニコアンド)」。今回、ブランド初の音楽イベント「niko and ... UNI9UE PARK(ユニークパーク) ‘18」が開催された。同ブランドは<衣 食 住 遊 知 健 旅 音 TOKYO>をテーマとする「uni9ue SENSES」を提案しており、今回のイベントはそれを体感できる場として企画された。
2018年10月13日(土)と14日(日)の2日間構成で、合計11組のアーティストが出演する他、「niko and ... COFFEE」や「AND THE FRIET」などの飲食店5店舗やRIP SLYMEのPES氏の書き下ろしデザインを使用したフレグランスブランド「PADROL(パドロール)」などの雑貨・衣料品店舗も出店。その他にスラックラインやボルダリングなどのアクティビティも設置された。
会場は2017年にグッドデザイン賞を受賞した「品川シーズンテラス」。JR品川駅から徒歩6分に位置し、22の店舗とオフィスが入る地上32階、地下1階のビルで、今回のイベントが行われた広場では「ナイトヨガ」や「野外上映会」など周辺オフィスワーカーやファミリーなど幅広いターゲットへ向けたイベントが定期的に開催されている。
「niko and ...」のメインターゲットは20〜30代の男女。特にライフスタイルに対して関心の高い20代後半〜がコアターゲットだ。今回のイベントにも子ども連れで訪れた若いファミリーが非常に多かった。
子どもが思いっきり走り回れて、大人はお酒や食べ物を楽しみながら芝生に座ってライブを観ることができる。イベントは再入場が可能で、椅子に座ってゆっくり休憩したければシーズンテラス館内のカフェの利用も可能だ。野外イベントで懸念されがちなトイレも館内で利用でき、乳幼児連れも安心して参加できる。
そんななか、今回の目玉の1つだったのが「アダストリア チャリティーストア」だ。「niko and ...」、「LOWRYS FARM(ローリーズファーム)」、「GLOBAL WORK(グローバルワーク)」、「studio CLIP(スタディオクリップ)」の過去の商品が最大90%OFFで購入でき、売り上げは西日本で発生した「平成30年7月豪雨」および「平成30年北海道胆振東部地震」の被災者へ寄付される。やはり価格が手頃ということもあり、ブランドのファンと思われる10〜30代の若い層から、上は50代までが商品を両手いっぱいに抱えてレジに向かっていた。1日目は入場料が1,800円(前売料金)と音楽イベントとしては安価だったこともあり(2日目は前売で3,800円)、チャリティーストア目当てに来訪した人もいたと思われる。
「チャリティーストアに関しては特に1日目から好評で、約1万点の在庫を用意していたのにも関わらず、2日目に販売するものが残るのかと心配するほどでした。2日間でほぼほぼ売り切る結果となりました」と言うのはニコアンド営業部ブランドプレスの大塚健太郎さん。1日目も2日目もテントの前に人だかりができるほどの盛り上がりを見せていた。
イベントのオフィシャルグッズも人気で、「niko and ...」のロゴ入りサコッシュはカラーによっては売り切れになったものも。「niko and ...」のブースでも買い物を楽しむ人達が多く、パンパンに詰められたブランドロゴ入りの大きなショッパーを持っている姿が印象的だった。
驚いたのは、ほとんどの人がイベント開始時間の10時から終了時間まで飽きる様子がなく過ごしていたことだった。買い物や食事、そしてライブなど、要素は色々とあるものの規模としては決して大きくなく、朝から晩まで過ごすには退屈するのではないかと、取材開始時には考えていた。しかし、実際に取材を進め参加者の声なども聞いていると、参加者がそれぞれの楽しみ方で、非常にリラックスしてイベントを楽しんでいるのを感じた。実際に1人での参加者も多く、ライブの合間には買い物を楽しんだり、芝生でドリンクを飲みながらイベント風景をSNSにアップしているといった姿が見られた。
確かに、芝生に座って会場を見渡すと、芝生のすぐ向こう側には高層ビルが並ぶ都会的な風景が見え、それがなんとも贅沢な気持ちで居心地が良い。また、品川というアクセスの良さから、日曜日の夜でもすぐに帰ることができるのも安心感がある。翌日の月曜日から出勤を控える若い会社員だけでなく、子連れにもこのアクセスの良さは好評だった。当日券の売れ行きも好調だったという。
今回のイベントは、ブランドや出演アーティストのSNSでの告知がきっかけで訪れた人が多かったようだ。ブランドと出演者の親和性が高かったのか、片方だけが目的というよりは「両方好きで来ました!」という声が多いのも特徴的だった。またアパレル関係者と思われる参加者も多く、「あの人おしゃれだね」などと友達同士で話す声も聞こえ、来場者のファッションを楽しんでいる様子も見られた。
ブランドプレスの大塚さんに今回のイベントについて伺ったところ、「アーティストのパフォーマンスはもちろん、協賛のブースやワークショップ、アクティビティやチャリティーストアなど、それぞれのコンテンツでお客様が思い思いに楽しく過ごされていたのが印象的でした。また、イベントを開催したことで色々な発見があり、お客様とブランドを繋ぐ貴重な場になるのではないかと思っています」とのこと。
「niko and ...」の母体である株式会社アダストリアは、昨年2017年にも「RAGEBLUE(レイジブルー)」主催の音楽イベントを開催。また、サッカーチームや飲食店とのコラボレーション、大学でのイベント開催、地方のローカルイベントや施設への協賛など、ファッションを軸に幅広い角度からライフスタイルの提案を行っている。コーポレート・スローガンに「Play fashion!」を掲げているように、お客様がどうすればファッションを楽しみ、ブランドのファンになってくれるかということを、会社も一体となって楽しみながら模索しているように感じる。
芝生に座って音楽や飲食を楽しみながらゆったりと過ごす。大都会にいながらにして体験できるそんな贅沢さが大きな魅力だと感じたイベントだった。
【取材・文:堀坂有紀(『ACROSS』編集部)】
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