ここ1、2年、ご縁あって韓国ファッションについて継続的に取材をしているが、2018年10月22日(月)〜24日(水)の3日間開催された日本最大規模のファッション総合展示会「ファッションワールド東京・秋」に、ソウルコレクションを主催するソウルデザイン財団が運営する「DDM Square SEOUL(以下、DDMスクエアソウル)」が、東大門に拠点を持つ優秀ブランドを引き連れて、その名も「DDMスクエアソウル」という専用ブースで出展するというので、取材に訪れた。
ここ1、2年、ご縁あって韓国ファッションについて継続的に取材をしているが、2018年10月22日(月)〜24日(水)の3日間開催された日本最大規模のファッション総合展示会「ファッションワールド東京・秋」に、ソウルコレクションを主催するソウルデザイン財団が運営する「DDM Square SEOUL(以下、DDMスクエアソウル)」が、東大門に拠点を持つ優秀ブランドを引き連れて、その名も「DDMスクエアソウル」という専用ブースで出展するというので、取材に訪れた。
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「ファッションワールド東京」は、噂は聞いていたものの、実は訪れたのは今回が初めて。大型合同展示会としては、昨年アメリカの最大規模の「MAGIC」を誘致し、「IFF MAGIC Japan」という名称でリニューアルを図った展示会も有名だった(残念ながら2018年で終了とのニュース)が、アパレルだけでなく、バッグやアクセサリー、さらに生地や服資材などの展示会との合同開催と年々規模を拡大している点や、ファッション業界で活躍する著名人が登壇するトークイベントも人気だ。
9回目となる今回は、合計40カ国から約1,030社が出展。トークイベントには、スペシャルゲストとして、あの高田賢三氏が登壇されたことでも話題となった。
来場者数は主催するリードエグジビションジャパンの発表によると約25,000人というから、文字通り日本最大規模の展示会といえそうだ。
来場者数は主催するリードエグジビションジャパンの発表によると約25,000人というから、文字通り日本最大規模の展示会といえそうだ。
会場は東京ビッグサイト。今回取材した「DDMスクエアソウル」のブースは、会場の入口からほど近い比較的見つけやすい場所にあった。ウェアが11、バッグが3、ジュエリーが1、シューズが1の合計16ブランドだ。
「応募者を書類専攻し、残った24ブランドの中から、韓国のファッションメディアの方やバイヤーなど6名を交えて選びました」と言うのは、本プロジェクトを主催するデザイン財団のプロジェクトマネージャーのリー・ヒュンジさん。
審査基準は、デザインの独創性が30点、市場性(価格、量産化の能力など)30点、商品性(品質)30点、経営能力およびマインドが10点、そして東大門ファッションタウン内での販売店舗実績が5点の加算点だったそうだ。
審査基準は、デザインの独創性が30点、市場性(価格、量産化の能力など)30点、商品性(品質)30点、経営能力およびマインドが10点、そして東大門ファッションタウン内での販売店舗実績が5点の加算点だったそうだ。
個々のブランドについてはこの後紹介するとして、そもそも「DDMスクエアソウル」とは何なのかについて、少し説明しておきたい。
「DDMスクエアソウル」とは、既に東大門を基盤に活動する優れたファッションブランドを選抜してつくった共同ブランドの総称で、運営するのは、ソウルコレクションを主催するソウルデザイン財団。2015年、“東大門ブランド”として海外のファッション展示会への参加やマーケティングをサポートし、海外販路の開拓および輸出増大の機会を提供しようとスタートし、ソウル特別市も共同で運営しているという点もとても興味深い。
「ブランドによっては既に日本市場に進出しているところも多数あるのですが、“東大門ブランド”を通して“Mad in Korea”というイメージも高めていこうと出展することにしました」(リー・ヒュンジさん)。
これまで中国と香港などの展示会には出展してきたが、実は日本は今回が初めてだという。今回の出展にあたっていろいろリサーチしたところ、若い人たちを中心に再び韓国人気が高まっていることを確信し、決断したのだそうだ。
「今回の出展で、参加16ブランドの大半が日本のファッション市場へのアプローチは初めてだったのにもかかわらず、予想を上回る合計約250件、約1億6千万円以上の受注相談があり、たいへん喜んでいます。今後も海外進出のサポートは積極的に行なっていきたいと思います」(リー・ヒュンジさん)と言うように、実際に複数の百貨店や小売店のバイヤーとは、「DDMスクエアソウル」のポップアップストアのイベントの企画が進行した他、個別のポップアップの企画や、日本のオンラインストアとの契約、小物類のオーダーの契約が成立したりなど、かなりの成果があったようだ。
ということで、具体的に今回出展していたブランドを紹介しよう。
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ここ数年、日本でもファッションにおける若手育成、インキュベーションがある種のブームになっているが、韓国ソウルデザイン財団は、幅広いマーケティングのトレーニングをはじめ、コレクションの支援(会場の提供や照明などのサポートなど)や、今回のような海外の展示会への出展のサポートなどデザイナーサイドの支援の他、東大門のビルの上層階に、「DDP(DDP(Dongdaemun Design Plaza)) DREAM LAB」という、縫製教育共同作業室を設け、縫製産業の向上や、各種職人の教育や育成など、ファッション産業を取り巻くさまざまなプレイヤーを対象に、ベテランの人たちの組織化と教育プログラムの運営なども行なっているという。
一方、東大門にある商業卸売りモール「DOOTA MALL(ドゥータモール)」では、「SURVILL FASHION K」というプロジェクトを進めており、“CEO型新進デザイナー”を選抜し、養成しようというプロジェクトも始動。優勝者にはドゥータモールの売場無償出店や、冒頭で紹介した「SFCS(SEOUL FASHION CREATIVE STUDIO)」への入居、さらにSEOUL FASHION WEEKでのショーを披露する機会も提供されるインキュベーション・プログラムもあるというから、日本も、ファッション業界はもちろんのこと、各自治体もいろいろ参考にしてみてはどうだろうか。
ということで、編集部では継続して多方面から“K Fashion”を取材していきたい。
ということで、編集部では継続して多方面から“K Fashion”を取材していきたい。
取材・文/高野公三子(本誌編集長)