“いま流行しているアイテムやスタイル”を、通行人中に占める割合を測定することからそのような名称としている「カウントアイテム」。前回(4月)は、「女性ベージュ系アウター、うちロング丈」としたところ、ベージュ丈アウターの着用率は約17%(3地点平均)、ロング丈のベージュ系アウターは約6.2%となったが、この数値は、だいたい毎回、大きな観察テーマが13〜15%、さらに絞り込んだテーマは約3〜5%となることが多い。
そんな4月には約6人に1人が着用していたベージュ系(ロング)アウターが、GW後の数日間の初夏っぽい気候の影響もあってか激減。それどころか、アウター自体を着用しているひと自体が減り(特に若者たち)、半袖がぐっと増え、なんとヘソ出しルックも見られたのだった。
そんななか、プレサーベイをしていて最初に気になったのは、日本流行色協会が発表していた「令和 慶祝カラー」ともいえるくすんだピンク〜ラベンダーの色合いのアイテム。実は、5月8日(水)〜9日(木)とソウルに出張したのだが、繁華街である漢南洞(ハンナムドン)や江南(カンナム)などの街中を移動していると、もやっとしたピンクのジャケット&パンツのスーチングスタイルが若い女性たちに流行。今回の取材先である合同展示会「K FASHION AUDITION」の出展者にも同様のモスピンクのスーチングルックが見られ、「ああ、ファストファッションが先攻する時代、トレンドカラーは万国共通になるのだなあ」という確認にもなった。
テン年(2010)代以降、常にある一定数はいる優しいピンクは、日本のコンサバ系女子の定番色。このところ人気だったピンクベージュから青み系、パープル系ピンク〜薄いラベンダーへと変化した、ともいえそうだ。
そういう“ストリートファッション”の背景を踏まえ、「ACROSS」編集部が今月注目したのは、ウエストの位置がどんどんジャストウエスト〜高めになっている点だ。
気がついたらすっかりトップスはインするのが一般的になり、さらにベルトでキュッと締めたり、トップスやジャケット、アウターの上からもベルトを締めるなど、つい先月までは大流行していた“ビッグ&ビッグシルエット”のアンバランス感から、トップスとボトムスが分離されたシャープな装いへと変化しつつあるようだ。
ローライズやリラックス、ビッグシルエットなどに表徴されていた“リラックス&ルーズ感”、または極端にビッグなシルエットだったりゴツめの小物などによる“アンバランス感”から、トップスに視線のいく、“きちんと感”、“ちゃんと感”、“シャキッと感”へ。着用する人びとのマインドも変化しつつあるのだろうか、という辺りは、再来週(24日)のインタビュー公開日に再度本誌をチェックして欲しい。
ちなみに、直近の「定点観測」では、2018年10月に「ハイライズデニム/ハイウエスト」という名称でズームアップアイテムとして取り上げている(下の写真左2点)。右から2番目は1990年9月、いちばん右は1987年5月の「定点観測」の時に撮影&インタビューさせていただいた写真で、いわゆるバブル期、“アラウンド90年”のストリートファッション(街場の流行)が、リバイバル〜アレンジが入ったリミックススタイルであることがわかる。
数は少なかったものの、ショート丈のアウターも増えており、ハイウエストと相まって、今秋冬は「肩パット」の入ったジャケットやボレロ、さらには「ボディコンルック」が流行しそう! 2019年5月はトレンドの転換期だったといえそうだ。