定点観測
report : 2019 | 
06 / 01

#462 | 実施日 : 2019 / 06 / 01 | 最高気温 : 25.7 | 最低気温 : 18.6 | 天候 : 曇

フレンドリーでお茶目な“シャツ男子”が台頭。

爽やかな初夏の気候となった6月1日、メンズ発の大人っぽいトレンドが席巻中。

2019年6月1日(土)、第462回「定点観測」は、「男性シャツ・スタイル、うち、ロングスリーブ」、「スカーフ」、「サロペット/オールインワン/ジャンプスーツ」の3つ。

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毎月第1土曜日に実施している「定点観測」。第462回めは6月最初の日となった。

最高気温は27℃と朝の天気予報ではいわれていたが、朝11時の時点では22℃と爽やか。後から確認したところ、東京は25.7℃と予報よりも低く、今月のメインテーマである“シャツ男子”日和となった。

テン年代後半は、シティボーイノームコアスポーツミックスなど、メンズ発のファッショントレンドが女性をも巻き込み、男女差なく広がっていく傾向が目立つ。詳しくは以下に解説するとして、2019年6月の「定点観測」のテーマは、カウントアイテム(メイン・トレンド)は、「男性シャツ・スタイル、うちロングスリーブ」、ズームアップアイテム①は、「スカーフ(使い)」、ズームアップアイテム③は、「サロペット/オールインワン/ジャンプスーツ」に注目した。

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デザイナーズスニーカー・ブームの次は、
品良くお茶目な“フレンドリー・シック“シャツ!


メインのテーマである「カウント・アイテム」は、男女いっしょに比較することはしばしばあるが、男性にだけ絞って観察を行なうのは、2015年2月の「男性スニーカー、うち白ソールスニーカー」以来のこと。当時は「シティボーイ」〜「ノームコア」〜「ポスト・ノームコア」として浮上した、スポーツブランド/ストリート系ブランドとラグジュアリーブランドをミックスしたスタイル≒「ラグジュアリー・ストリート(ラグスト)」のブームの最初のころで、それ以外のトライブを巻き込み、一気に消費された“ブランド・スニ—カー“を共通アイコンとして考察した。

超定番モデルとしての“スタンスミス”の復刻をはじめ、ラグジュアリーブランドとスポーツブランドのコラボモデルも多数リリースされ(ドメブラもデザインを真似たスニーカーが多数登場した)、その後、90sのモデルの復刻も相次ぎ、そのアンバランス感が若い世代にとっては新しい、と支持され、“バレンシアガのトリプルS”をはじめとする、一大デザイイナーズスニーカー・ブームへと発展していったのは記憶に新しい。

あれから4年、ストリートにおける“若者”は90年代生まれから2000年代生まれへと緩やかかに移行。ポスト・ノームコアの一連の流れを、過去のヒットアイテムやスタイルをオールフラットに捉え、自由にリミックスしていたのが2010年代前半だとすると、後半〜末は、それぞれのスタイルのルールやデザイン・ディテールの意味性などを無視し、日常着とラグジュアリーを逆転させるような価値観の提案から、“何でもあり(スポンテニウス)“のスーパーミックスが主流になり、それ自体がファッショントレンドとして若者たち(女性にも)に取り入れられているようだ。

(前置きが長くなってしまいました!)そんなスニーカーを軸としたアンバランス感がポイントの“ラグスト”からトレンドが少しずつ変化。その次のスタイルとして、“ちゃんとした感”、“大人っぽさ”、“きちんと感”を象徴する、「シャツ(襟と袖があってボタンがある)」を1枚そのままで着たり、上にJKのように羽織ったり、さらに、機能面からの、季節の変わり目のアウターも兼ねるアイテムとして着用者が増えていたので注目した。

直近では、2018年6月、ちょうど1年前に「柄シャツを男女で取り上げたが(写真左から3点)、右から2番目の文化の入学式でインタビューさせてもらった3人組のように、2000年代生まれの若者たちにとっては、セットアップ〜デフォルメされた大人っぽさ〜オジサンっぽさ〜70年代っぽい野暮ったいニュアンスが強めに出ている印象も受けた。

もっとも多かったのはベージュ×黒の組み合せ。サファリ・ポケットや、身幅が広めのワークっぽいシルエット(カッティング)の他、一見変わったグラフィック柄や、バレンシアガのような小さな文字(ロゴ)が連続した柄シャツも目立った。

渋谷、原宿、新宿の各地点における“シャツ男子”の違いも散見されたので、詳細は7日(金)未明にアップ予定の速報をおたのしみに!

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いちばん左は、2011年3月。グリモワールなどレトロ〜ヴィンテージ感あるスタイリングを構成する要素の1つとして人気だったが、右2点はスーパーミックスにするための“ちょい足しアイテム”として取り入れれたスカーフルック。
左から、019年4月の新宿地点。文化服装学院の入学式と重なり、パンチのあるファッションをする若者が目立ちました。/2019年5月「ウエストマーク」がテーマの時。ベルト代わりにスカーフを巻いた女性。/1988年5月でテーマは今月と同じ「スカーフ」。/1988年8月に実施した「定点観測」から。

80年代後半のようなパンチのある大人っぽさが浮上。
エルメスやシャネル風のロココな色・柄がポイント。

1つ目のズームアップアイテムは「男女スカーフ(使い)」だ。実は数年前からじわじわ増えているものの、量的に「トレンドだ!」とまでは確認されず、そのままになっていたアイテムを満を持して取り上げることにした。

いちばん左は2011年3月の「定点観測」の時の写真。当時は、グリモワールなどの“古着らしい”古着を扱う古着屋が大人気で、60年代〜70年代風のレトロ〜ヴィンテージ感あるスタイリングでまとめるのが主流だったが、近年〜今月注目したいのは、真ん中の写真の女性(2018年11月)のように、“スーパーミックス”のスタリングを構成する要素として色や柄をプラスしていたり、いちばん右の女性(2019年3月)のように、「ベージュのコートと中に着たカーディガンのオレンジが反対色で強かったので(繋ぐような)色柄のスカーフを足した」という、ブリッジ・アイテムとしての“色・柄をちょい足しする”感覚だ。

もっと長い年月、過去の「定点観測」を振り返ると、80年代、90年代、00年代、10年代と何度となく取り上げてきたアイテムだが、色・柄や素材感、大きさ、巻き方、組み合わせる他のアイテム、“身につける気持ち”や仕上がり感などは微妙に異なることがわかる。

写真の左から、2019年4月の新宿地点でインタビューさせてもらった彼女。文化服装学院の入学式と重なり、パンチのあるファッションをする若者が目立つなか、“きちんと感×個性”と高円寺の古着屋「リトルトリップトゥーへブン」で購入したスカーフを身に付けていた。

続いて、ベルト代わりにウエストにスカーフを巻いていた女性(2019年5月)シンプルな装いにちょっとだけリュクスな感覚をプラスした(アパレル業界の人らしい、プロっぽい)大人のカジュアルなスタイルに仕上げていた。

そして、右から2番目は1988年5月、テーマは今月と同じ「スカーフ」。(ちょっと有名な写真)のいちばん右は、1989年8月に実施した「定点観測」で、「ルイヴィトン/シャネのバッグ」がテーマだった時にインタビューさせて頂いた方で、エルメスのスカーフをベルト代わりにリーバイスのデニムに巻いていた。

このように、2019年春のスカーフの着こなしにみられる“ちょい足し感覚”は、80年代後半の「定点観測」で見られたような“若干パンチのある大人っぽいスタイル”に通じる心意気を感じるが、さて。。

速報は7日(金)未明、各地点のスカーフを着用していた方の詳しいインタビューは14日(金)未明に公開予定。お楽しみに!

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この日も明治神宮前原宿の交差点は3時を過ぎるとすごい人に! 渋谷地点との来街者数の差にも驚く。
左2点は、2015年6月に「オールインワン/コンビネゾン」というテーマでインタビューさせて頂いた方たち。/右2点は今月(2019年6月)新宿(左)と原宿(右)。このところ大人化が進む渋谷地点ではあまり見かけず苦戦した。

ファッショントレンドはメンズ発が主流。
スポーツミックスの次はミリタリールックやワークウエアがポイント!


2つ目のズームアップアイテムはこちら。

プレサーベイでも散見され、先月の「定点観測」スタッフの「考察シート(毎月「定点観測」が終了した後に振り返って気づいたことを記述する用紙)」にも2人が記載していた、サロペット、またはオールインワン、ジャンプスーツなど、トップスとパンツが繋がっているアイテムが増えているので注目することにした。

過去の「定点観測」を振り返ると、2015年6月に「オールインワン/コンビネゾン」(当時はそういう名称が主流だった)として取り上げたのが左の2人。

いちばん左の大人の彼女は、バナナリパブリックのもので、軽井沢プリンスショッピングプラザでセールで3,000円だったそう。「旅行の時に着るような、ゆったりとしていてカジュアルで、ヒールを履くときちんと感もある」点が気に入って購入したと話してくれた。左から2番目の彼女は、KBFのもので、8,000〜9,000円。「らくちんだけど大人っぽく見える」点が気に入ったそうで、いずれも、女性らしい、テロっとした素材やフレア系のシルエットが主流。一見セットアップのように見える初心者向けのデザインのものが目立ったのが印象的だった。

当時と比較すると、2019年初夏は、コンビネゾンというよりはジャンプスーツ。オールインワンというよりは、サロペットというように、コットンだったり、Vネックだったり、ポケットなどのディテールのデザインがフラットだったり、ステッチが入っているなどカジュアルなのものが多く、“ワークっぽいデザイン”のものも目立った。

テン年代以降、メンズ発のファッショントレンドが主流ななか、スーパーミックスするファクターとして、スポーツの次に、ミリタリールックやワークファッションが今秋冬に続く重要なポイントになっているといえそうだ。


ということで、各地点のようすは速報は7日(金)、各地点の詳しいインタビューは14日(金)にアップの予定です。お楽しみに!

[文責:高野公三子]

 


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