メインのトレンドアイテムとして取り上げたのは「ミニバッグ」。1、2年前ごろから話題にもぼり、今年に入ってからも何度となく取り上げようかと検討したテーマだが、量的にもデザイン的にも日によって着用率にばらつきが見られ、ずっとペンディングになっていた。しかし、6月〜7月に入り、かなり一般化してきたので、今月記録しておこうということになった。
過去の定点観測を振り返ってみると、2018年1月のカウントアイテムで「女性クロス・バッグスタイル/斜め掛けバッグ、うち、ショートストラップ」として取り上げているのが、今回の“トレンド曲線/普及曲線”の最初のポイントといえるだろう。1年半ほど前のことになる。
毎月、渋谷、原宿、新宿で同時に13:30〜14:30の1時間それぞれの規定の場所で通行人数と当該テーマの着用者数をカウントし、そのトレンドの浸透率を数値化しているが、当月の「女性ななめがけバッグ」の着用率は3地点平均約15%。「ショートストラップ・バッグ」は約3.2%という結果だった。
その特徴は、ウエストポーチを身体の前の上の方にぴったり添わせて持つボディバッグスタイルや、ブランド系のレザーバッグで持ち手が短いのと長いものが両方付いている2wayバッグに二分。前者のカジュアル/スポーティなトレンドは、そのさらに半年前の2017年8月に取り上げた「サコッシュ」のトレンドからだろう。
その後、2018年7月、いまからちょうど1年前には「PVC/ビニールバッグ」として取り上げているが、バッグのトレンドが、カジュアル、スポーティっぽさ、雑貨感覚、ボディバッグときて、今年はコンパクトなサイズ感や遊び心のあるデザイン=“プレイフル”なものへと進化し、アクセサリー感覚のアイテムとして進化しているようすが伺えた。
「ミニバッグ」の定義は、正面から見た時のサイズがA5以下のもの。近年、ニワトリ卵だが、女性のサイフが小さくなっているという現状もあり、さらに電子マネーの普及(含させたいという市場の圧力!)で、何も入らないくらい小さいサイズのもの=アクセサリー感覚のものも登場。実際に、スイカとクレカの入るパスケースのような薄いもののみで“サイフなし”という「ACROSS」編集部のアルバイトさんもリアルに登場するなど、サイフやバッグをめぐる価値観やスタイルがずいぶんと変化していることが露呈した。
そういえば、パリコレブランドの「ジャックムス(JACQUEMUS)」のコインケースペンダントや、東京のデザイナーブランド「ヒダカ(HIDAKA)」のほとんど何も入らないストラップ付きのコインケース(=ミニバッグ)や、今回インタビューさせて頂いた人にも着用されていたが、ポケットがいっぱいついた服=手ぶらなど、人びとの移動する服装・スタイルがその機能性を持って大きく変化しているのが面白い。
『VOGUE RUNWAY』を見ると、2019AWのミュウミュウのブーツにはミニミニバッグのようなものがあしらわれているものも登場。ちょっと未来を予知する“ウエアラブル”ファッションの予兆では?! という見方をすると、(基本的に)ファッションに関心がない、という方もタッチポイントになるかもしれない。
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