Day 3、公式スケジュール5つ目は、表参道のスペースオーを会場に、「Children of the discordance(チルドレン オブ ザ ディコーダンス)」が新作を披露した。今でこそラグジュアリーブランドからもいくつものピースが提案されているが、実は“バンダナのパッチワーク“というアイデアのルーツは同ブランドから。今季もシャツはもちろんのころ、セットアップやショーツなど、ミリタリーアイテムともミックスされた独特のリメイクが目をひいた。
もともと90年代に大人気だったメンズストリート系の雑誌『Boon』にもよく登場していたデザイナーの志鎌英明さん。セレクトショップのバイヤー兼デザイナーというキャリアから、2011年に友人らと古着のリメイクやプリントを重ねた商品を1つのレーベルとして立ち上げたのが、同ブランドの始まりだ。その後、あれよあれよという間に海外を中心に大ヒット。逆輸入するかたちで近年日本でも注目されている。
「去年までは7:3の割合で海外が多かったのですが、2017年TOKYO FASHION AWARDを受賞してからは日本の取引先も増え、6:4になりました。海外は相変わらず伸びています」と志鎌さん。
他にも、フェアトレードとして、メキシコのサパティスタ(民族解放軍)のバンダナや、難民キャンプの女性たちに以来して、オリジナル刺繍を入れたパレスチナのショールなど、近年再び(ある意味)トレンド化しているフェアトレードをずいぶん前から継続して行なっている。しかも、無理矢理新しいものをつくるのではなく、あるもの、あったものに新しい価値をプラスし、おしゃれなものにする=ファッションの活動としているリアルが世界中の人に支持される理由だろう。
「ものすごい量産はできないのですが、2年ほどかけてメイドインUSAの素材やアソートでオーダーできるくらいの量が集まったので、プロダクトとして展開していきたい」(志鎌さん)。
会場入口には、YAMAHAのバイク「SR400」の燃料タンクやシート、フェンダーミラーなどが志鎌さんの服を着たスタイルで展示。実は同社も7:3で海外の売上が多く、シンパシーを感じたということからコラボレーションすることになったのだそう!
「ようやく1年を通じて自分たちがどんなブランドなのかを見てもらったという感じなので、今回もその延長線上にありながら、正直につくったコレクションです」というピースの中には、例えば、二層にして、片面をオリジナルのオパール加工にして一部を溶かすことによる新しい表現も登場。基本的にはメンズブランドだが、アイテムによっては女性も着用可能。今後の展開も楽しみだ。
ちなみに、会場に流れた音楽がクールで気になって配布された資料を見ると「18scott」のクレジットが。実は、彼の本名は楠本凌士さんというそうで、現役のシップス渋谷店のショップスタッフでありながら、昨年、音楽プロデューサー/ビートメーカーのSUNNOVAさんと『4GIVE4GET』というアルバムをリリースしていた。
第1回目となったRakuten Fashion Weekは、音楽の印象が際立つショーが多い。
・DIRECTOR:HIROMU SHIRASAKA
・STYLIST:TEPPEI
・HAIR:KOTARO
・MAKE UP:NAOMI T, DAKUZAKU
・MUSIC:18scott
・2019年10月17日(木)17:00/表参道ヒルズ スペースオー