新型コロナウィルスの影響は書店・出版業にも及び、緊急事態宣言の発令を受けて、全国の書店は800店以上が休業(2020年4月時点)、雑誌や書籍も延期や中止が続いている。
街中にある「リアル書店」はそもそも減少傾向が続いていたが、書店調査会社アルメディアによると、2019年5月時点での日本の書店数は1万1446店で、20年前の2万2296店に比べるとほぼ半減。背景の一環には、「Amazon」をはじめとするネット書店の浸透、電子出版市場の拡大が挙げられる。洋書店だけを見ても、2011年に閉店したデザイン専門洋書店「hacknet(ハックネット)」(代官山)に続き、「嶋田洋書」(青山)、「パルコブックセンター」(渋谷パルコ内・旧ロゴス)も施設建て替えに伴い惜しまれつつも閉店。2018年には「青山ブックセンター」(六本木)や、大阪の名店「心斎橋アセンス」が閉店したことも記憶に新しい。
そんな逆境のなか、写真集やファッション、アート系を中心に、エッジの効いたビジュアルブックのセレクトで人気のオンライン書店「flotsam books(フロットサムブックス)」が2020年1月、実店舗をオープンした。2010年のスタート以来、国内外の新しい本やアーティストを先駆けて紹介し、若手アーティストや業界にも支持者が多い同店。現在の月間ページビューは20万PV以上。近年は、オンラインでの書籍販売だけでなく、写真集のブックフェア「写真集飲み会」や「Photobook JP」などのユニークなイベントを開催し、ギャラリーや店舗でのポップアップも多数行ってきた。実店舗をオープンした背景と、10年続くお店の歩みについて、店主の小林孝行さんにお話を聞いた。
**取材に伺ったのは2020年3月。新型コロナ過で状況が刻々と変わる4月後半に現状について再度インタビューを行った。