「アドボカシー」とは、「擁護・代弁」や「支持表明」といった意味で、政治的、経済的、社会的なシステム・制度に対して何らかの影響を与えることを目的とした個人やグループによる活動の総称といわれている。
振り返ると、日本では、2005年前後に、世界の貧困問題に対して広がった「ホワイトバンドプロジェクト」や、イラク戦争への抗議から「NO WAR!」というメッセージをポスター、Tシャツ、ピンバッチなどが街を行き交う若者たちのあいだでも浸透したのだった。
前者は、もともとはイギリスのGCAPという貧困撲滅を目指そうと活動していた団体による「腕に白いものを巻き、貧困撲滅の意思を示そう」というキャンペーンが始まりで、先進国を中心に、PR会社がホワイトバンドプロジェクトを立ち上げ、それに賛同した複数のNGOが連携。「ほっとけない世界のまずしさキャンペーン」へと発展したのだった。おそらく、日本ではこれが政策提言した初めての「アドボカシー」活動といえるだろう。
*詳しくは、8月に上梓した書籍:『ストリートファッション1980-2020 定点観測40年の記録』(PARCO出版)の「ブーム解説27:カルチュラル・クリエイティブ」(P211)を参照ください。
一方、東日本大震災直後の節電への意識の高まりに、「Soup Stock Tokyo」の開発・運営を行っているスマイルズの代表遠山正道さんが、アートディレクターの森本千絵さんや大塚いちおさんらと制作した節電ポスター「わたしたちにできること。」というポスターが、あちらこちらの飲食店等で貼られていたことも思い出す。
こういった動きに対して、売名行為ではないか、プロモーションだ、といった声は、当時も今回もある。しかし、先に紹介した「#voteposter」のプロジェクトに賛同し、実際に貼っているお店の人たちのコメントを見ると、そんなことより、「なんとかしないと!」「選挙行こうよ!」という突き抜けるような思い、強いモチベーションからの1人ひとりのピュアなアクションがネットワークされ、広まっていることがわかる。