少し前の本誌のレポート記事(ビジュアルブック専門書店「flotsambooks(フロットサムブックス)」)でも伝えたが、出版不況を受け、日本全国の「リアル書店」は年々減少傾向にある。一方、新型コロナの影響で、「本回帰」「まちの書店回帰」の声も囁かれてはいるものの、都心店は相変わらず売り上げ縮小。さらにネット書店や電子書籍へのシフト、書籍の内容を朗読する音声サービス・オーディオブックの台頭など、書店をめぐる状況はなかなか厳しい。
その裏で、地道に店舗数を伸ばしているのが、個人や少人数で運営する個性溢れる「独立系書店」だ。2021年1月にオープンしたフェミニズムに関する本を手がける出版社の実店舗「エトセトラブックス」(新代田)、元書店員とミュージシャン2人組が店主を務める「百年の二度寝」(江古田)のほか、批評家や編集者など本のプロが選書する「双子のライオン堂」(赤坂)、棚貸し式の書店「BOOKSHOP TRAVELLER(ブックショップトラベラー)」(下北沢)など、旧来の流通システムに頼らない、店主のこだわりがつまった書店が存在感を増している。