「男女ブルゾン」というテーマ。よく「ACROSS」をご覧いただいている方にはおや、また?と思われたかもしれません。それもそのはず、「男女ブルゾン」は、つい2021年11月に取り上げたテーマと同じです。当時の考察レポートを見ると、さらに1年前の2020年11月の「男女フーディスタイル」に見られたスポーティなスタイルの流行が拡大。長かったビッグ&ワイドシルエットの流行がひと段落し、ブルゾンやニットカーディガンなどショート丈アウターが主流になりつつあると考察しました。
その背景にあるのは、路上(ストリート)の主役が新しい若者世代、(いわゆる)Z世代となったことで、その下のα世代を含め、ウィメンズのファッショントレンドはトップスもボトムスもショート丈が一般的で、トップスをボトムスにインして「ショート丈に見えるようにする(ショート丈見え)」など、新しいバランス感を牽引した、というストーリーでした。
一方、メンズファッションのトレンドを2021年の秋冬から振り返ると、「男女フーディスタイル」の後、モッズコートやレザーアウター、シャツスタイル、そして2022年1月のテーマとした中綿入りアウター、ベルテッドコートと、ミリタリーやアウトドア、スポーティなアイテムにみる機能性や素材感、デザインが支持されるようになる流れと、近年のヴィンテージブームを代表するようなエイジングを感じさせるレザー(含むエコレザー等)のブルゾンやコート、大人っぽいエレガントなベルテッドコートなど、いつになく冬のアウターがバラエティ豊かに混在したシーズンだったといえそうです。
また、いわゆるデニムのブルゾン=Gジャンも人気でしたが、サイズが大きめのものをドロップショルダーで着こなすスタイルへと進化していました。
「コートを含め、アウターを4、5枚持っています」と話してくれたのは、IT系の会社員の女性。この日着ていたのは、人気コレクションブランドのsacaiのMA-1で、12万円。「異素材が個性的なデザインのsacaiは好きなブランドです。今日は青色のワンピースを着用しているので、緑色のジャケットと合うかなと思って着ることにしました」とその日のコーディネートでアウターも着替えているようすが伺えました。
インタビューはこちら。
https://www.web-across.com/observe/p7l756000006us4f.html
何年か前からか、いわゆる「何よりもファッションが大好き」というグループとは別に、ITや金融といったファッションとは関係のない分野で働く30〜40代の中に、Sacaiやメゾンマルジェラ、プラダといった個性的なラグジュアリーブランドを好んで着用している人が目立ってきていることから、「ACROSS」編集室では「ニューリッチ族」として注目し、研究を深めています。
「メンズライクなアイテムが好き」と話してくれたのは、フーズフーチコのブルゾンを2枚重ねしていたアパレルのプレスの女性。メンズファッションのトレンドでもある、薄手のアウターをレイヤードするスタイルは、色や異なる素材のバランスでおしゃれ通の間で人気です。2000年代初頭に大ヒットしたエルメスの馬の餌入れをモチーフにしたバッグ「アリーヌ(Aline)」は古着屋で購入したのだそう。ラフな服装にハイブランドのヴィンテージものを合わせるスタイルが注目されます。
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https://www.web-across.com/observe/p7l756000006uszh.html
興味深かったのは、新宿地点で黒いシャツジャケットを着ていた男子大学生にインタビューさせてもらったところ、来街理由が、ちょうど数日前に始まったロシアのウクライナ侵攻に対する反戦デモイベント『全感覚祭 presents No War 0305』への参加だったことでした。同イベントについては、2、3日前よりSNSに流れてきていましたが、ロックバンドGEZANをはじめ、篠田ミル(yahyel)、カネコアヤノ、折坂悠太、七尾旅人、大友良英、踊ってばかりの国などのミュージシャンや、学者、ジャーナリスト、アクティビストなどがそれぞれの立場・スタイルで「NO WAR」を呼びかけ、集まった延べ約1万人の「NO WAR」を考える場と機会となっていました。
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https://www.web-across.com/observe/p7l756000006usup.html