●ズームアップアイテム②: ジャージ/トラックパンツ
●ズームアップアイテム②: ジャージ/トラックパンツ
カウントアイテム:女性ベージュ系アウター、うち、ドロップショルダー/オーバーサイズ
さて、温暖化といわれている割には案外寒い日が多い今シーズン。実査当日も最高気温は12度とか13度とかいわれていましたが、案外風が冷たく、また、各地点3月と比べると人が少なく(女性が少なかったようです)、なかなか厳しい1日となりました。
プレサーベイを経て決定したメインのトレンドテーマは、「女性ベージュ系アウター、うちオーバーサイズ」です。近年の定点観測を振り返ると、2019年4月に「女性ベージュ系アウター」と大きなテーマを定めたときまで遡ります。当時は、「うち、ロング丈」にフォーカス。2017年2月に「ビッグシルエット」として注目した肩幅も身幅も大きくなり、多くの人の装いが「新しいサイズ感」へと変化していったことは、多くの人が肌感覚で実感していることでしょう。
少し振り返ってみてみましょう。新型コロナウィルス感染症のパンデミックの影響が「ストリートファッション」として表れたのは、色からでした。緊急事態宣言が明けた時に台頭した「クリーンな白」は、白いTシャツ、ブリーチヘア、白いブーツ、白いアウターなどと広がり、街全体が白っぽくなったことは、既に何ヶ月か前の考察レポートにも記しました。
一方、大きなトレンドの流れでもあるレトロブーム・古着・ヴィンテージの影響も大きく(先日公開したヴィンテージに特化したECサイト「VCM」の記事もご覧ください)、「女性茶ベージュ系アイテム、うちアウター」(2019年11月)と甘めの茶系が台頭。ミリタリーアウターのモスグリーンや、アウトドアブランドに多用されるネイチャー系の中間色、古着・ヴィンテージ人気によるレザーやエコレザーの醸し出す黒や色落ちデニムなどが増加していきました。
2021年になると急にリセット感のある黒が増加。同年2月に「男女黒アウター」として急浮上したモードっぽいスタイルを取り上げましたが、その後、再び古着・ヴィンテージっぽいベージュ・ネイチャー系、オフホワイトなど、リラックス感ある色やスタイルへと変化していきました。同年11月にフォーカスした「ブルゾン」のときにも言及したように、アウターのデザインが混在。トレンドが見えにくくなっていきました。
そして、2022年4月。眩しくなった太陽の光や気持ち・気分の切り替えなどに合わせて、明るめの色をまといたい、ということからか、量的に共通項として表れたトレンドが、「ベージュ系」のアウターとなったのかもしれません。とはいえ、かつて流行したトレンチコートのようなジャストサイズ、カチッとしたデザインではなく、デザインのディテールが多様になっており、なかでも袖付け部分が実際の肩の位置よりも落ちた=ドロップした「ドロップショルダー」のものが多いことから、フォーカスすることにしました。
12時ごろから17時ごろまで各地点で観察・撮影・インタビューを続けて、17時過ぎに編集室スタッフのみ事務所に戻って振り返り。以下のようなコメントが出ました。
・3月の風景と比べると、3地点とも人が少なめで街の活気も落ち着いていた。
・女性のベージュ系アウターの多くがロング丈コートで、「新東京人」が多いからか、若干トレンドが戻ったような印象を受けた。
・女性よりも男性のベージュ系コートの方がデザインディテールに個性が感じられる人が多かった。「男女ベージュ系アウター」とすればよかったかも。
「ヴィンテージをディグっていくうちに、結局ベージュというか生成り色に行き着いたというか。後染めとかももちろん好きは好きですけど。ちなみにこれは紅茶染めです」と話してくれたのは、26歳の革職人でした。独特のくたっとした雰囲気のあるコートは、Andrew Driftwood(アンドリュードリフトウッド)という日本のブランドのもので、西荻窪にある「poef(ポエフ)」というお店で購入していました。同店は他にも「無相想(ブアイソウ)」とお店や設計施工などの事業も展開しているそう。
ズームアップアイテム①: ニットカーディガン
ズームアップ・アイテム②: ジャージ/トラックパンツ