3地点平均して着用率が12.8%となった女性の白いアイテム。うち、白いアウターは約8.0%でしたが、実は男性の白いアウターも少なくなく、2022年12月冬は全体的に白がトレンドカラーといえそうです。
「定点観測」では、「白」といえば、COVID-19のパンデミックの最初の緊急事態宣言が明けた2020年6月に、街に一気に広がった「男女白Tシャツ」が思い出されます。その後、シャツやブーツ、スニーカーへと広がり、ハイトーンのヘアカラーなど、「白っぽい装い・ファッション」に、先の見えないCOVID-19に対して、クリーンな装いを取り入れることで、気分転換したい!クリーンな気分にしたい!気分を上げたい、といった心理が表れていたと考察しました。そのトレンドは冬まで継続。2020年12月には「冬の白・オフホワイト」として取り上げ、2021年4月には「男女オフホワイト/白」としたところ、女性は約23.8%、おおよそ女性の5人に1人が「白い装い・ファッション」と浸透していることがわかりました。
もともと定番ともいえる「白」ですが、その後黒やモスグリーン、ネイビーなどのベーシックカラーとの組み合わせが一定数見られる一方、ジャケットやロマンティックワンピース、など、デザインは多様に広がり、2022年2月には安定した人気のカーゴパンツを中心に、コンサバ系だけではないストリートモードな「白パンツ」も登場。黒やなどとのバイカラーのコーディネートも散見されました。
そんな中、今月観察したのは、トップスまたはボトムスが白・アイボリー・オフホワイトの女性。ボトムスよりもアウターが多いことから、白っぽいアウターの女性をフォーカスしたいと思います。もっとも多いのは白いボアのアウター。これは、COVID-19以前の2018年12月に「女性ボア・アウター、うちショート丈ボア・アウター」として取り上げたのですが、ティーンズから大学生、大人の女性にまで広がっており、ロング丈のものも増加。ある意味ポスト・ダウンジャケットのような存在になっているようです。
他には、ウール系のテーラードコートも白っぽいものが増えており、ビッグメゾンからも定番のテーラードコートにここツーシーズンは白・オフホワイトが加わり、黒に次いであっという間に売り切れていると聞きました。
定番のトレンチコートやミリタリーアウターなどもベージュ系やナチュラルカラーがどんどん白っぽくなっており、2021年に博報堂生活総合研究所と共同研究した時にも明らかになったように、30年単位で見ると、私たちの装い・ファッションはどんどん白っぽくなっていた、ということとも重なります。
「ずっと白いコートが欲しかったんです」と言うのは、広告代理店に勤務する25歳の女性。毎朝、服を選ぶときにコーディネートに迷うので、ベーシックカラーを選ぶことが多いものの、アウターの白は持っていなかったのだそう。膨張色として敬遠されがちな白いアウターですが、「これはストンと落ちる感じでスッキリ見えるので選びました」。
また、ふだんからインナーにカラフルなものを着ることが多いという編集の仕事をしている女性(26歳)は、何色でも合わせやすいので白いアウターはまあまあ持っているとのこと。
「白と合わせると野暮ったくなく、ぎりモードにまとまると信じています(笑)」と話してくれました。
先述したように、実は白いアウターの男性も多いことが確認された実査当日。ズームアップアイテムとしてフィーチャーした「ロングコート」も白が少なくありませんでした。インタビューをすると、
「普段はスーツで会社に行っているので、白を着るとリラックスして、休日感があります」とゼネコンで働いている24歳の男性。この日は、神南の「吾亦紅」での買いものとその後友だちとの用事があるそうですが、実は「レコードの日」ということで、タワレコにも行ってきたのだそう。
「音楽が好きで、家でレコードをかけています。レコードを買うようになったのは大学生からです。父も音楽好きで古いレコードを集めています。特にブラックミュージックが好きです」と話してくれました。
実は何色でも柄物でも合わせやすい白。ベーシックカラーなのにも関わらず、ふだんとはちょっと違う気分にシフトチェンジできるのもポイントのようです。このあと解説するズームアップ2として取り上げた帽子も白が多く、また冬休みになったからか、大学生らのヘアもブライトカラーが増えているようです。
ということで、各地点の「白・白いアウター」のようすはこちらからご覧ください。キャプションも必読です!