そうステートメントを掲げて企画された本展覧会は、「団地団」というグループ活動も主宰し、団地マニア、団地研究者としても有名な写真家・ライターで批評家の大山顕さんが監修・総監督。協力として、ライター・編集者で批評家の速水健朗さん、建築家/アーティストの座二郎さん、天本みのりさんというインテリアデザイナー、いわゆる在野の批評家という点も注目される。
「1年ちょっと前くらいからでしょうか。百貨店展の続編としてのショッピングモールにまつわる展覧会を企画したいな、ということで大山さんにお声がけしたのが始まりです」と海老名さん。
以前より大山さんの写真集や書籍などを読み、ぜひ大山さんにお願いしたいとオファーをしたのが2022年1月のことだったという。もともと哲学者の東浩紀さんが主宰するゲンロンカフェにて開催されたトークイベント「ショッピングモールから考える」をまとめた書籍『ショッピングモールから考える~ユートピア バックヤード・未来都市』の共著者でもある大山さん。モールの展覧会を百貨店で開催する、ということ自体も面白い!と賛同。さっそく打ち合わせが始まった。
「モールというと、これまで文化批評的・社会学的な文脈では、社会を均質化し、古くからある商店街を虐げる存在として批判の対象とされてきたことが多かったと思うんですね。でも、私たちは、今日のモールとは、むしろカルチャーを育む土壌であり、文化的な象徴ともいえるのではないか、とポジティブに捉えることにしました」(海老名さん)。
ちなみに、先述したトークイベント「ショッピングモールから考える」にはランドスケープアーキテクトの石川初さんや建築家の三井祐介さんも参加しており、本展覧会には彼らの「創造力」も盛り込まれているという。