野外フェスも春から秋の文化としてすっかり定着した。古くは1969年の『ウッドストック・フェスティバル』(米)や『全日本フォークジャンボリー』(岐阜)などからはじまった野外フェスの歴史は、1990年代にはアンダーグラウンドなレイブパーティが日本各地で密かに開かれつつ、『FUJI ROCK FESTIVAL』(1997年)などの大型フェスの時代に突入し現在に至る。
2020年以降のコロナ禍では野外フェスは縮小を余儀なくされたが、あけて今年は各地で花盛り。ロックはもとより『Rainbow Disco Club』や『FFKT』などダンス・ミュージックのフェスも規模を拡大し、毎年秋開催で世界的にも評価の高いテクノフェス『The Labyrinth』、アコースティックの演奏と唄をテーマにした『New Acoustic Camp』、アンビエントの野外フェス『CAMP Off-Tone』など、バリエーションが多様化して新しい野外の遊びが行われている。
今年3回目を迎え、9月30日・10月1日に長野・五光牧場オートキャンプ場にて開催される『EACH STORY〜THE CAMP〜(イーチ・ストーリー)』(以下、『EACH STORY』)もそんな新しい野外フェスのひとつ。“リスニング型”とひとまずはカテゴライズしつつ、ジャズやアンビエント、ポストクラシカル、ワールドミュージックの音楽を美しく広大な山の中で楽しむフェスである。