2024年10月回の定点観測・考察レポート
定点観測
report : 2024 | 
10 / 12

#523 | 実施日 : 2024 / 10 / 12 | 最高気温 : 25.8 | 最低気温 : 16.4 | 天候 : 晴

2024年10月回の定点観測・考察レポート

ヘアスタイルのトレンドもやはり発信源は韓国?
気がつけば増えていたフェミニンかつクールなロングヘアに注目。

気温の乱高下やなんとなく曇り空の続く重苦しい天候に左右され、ややアイテム選びが難航した2024年10月の定点観測。ストリートでは半袖長袖が入りまじり、ライトアウターのバリエーションも分散化。そこで今月のメインテーマ=カウントアイテムとして浮かび上がってきたのは「女性ロングヘアうちストレートヘア」。実は大きなトレンドの変化は洋服ではなくヘアスタイルにあったという発見に至りました。さらにズームアップアイテムはテック文脈あるいはミリタリーパンツの人気を背景にマス化している「ナイロン素材パンツ」と、春先にも浮上したチェック柄をシャツのみに絞って再度取り上げた「チェック柄シャツ」としました。

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カウントアイテム:女性ロングヘアうちストレートヘア
NewJeansを彷彿させるピュアなロングヘアが台頭。

ハイトーンカラーや男性のパーマやロングヘアなど、過去の定点観測ではヘアスタイルも定期的に記録してきましたが、ヘアスタイルをカウントアイテムとしたのは2011年4月「女性バングス(前髪)のあるヘアスタイル」以来、実に約13年ぶりのこと。さらにロングヘアに注目したのは2007年10月「女性ロングヘアうちゆるふわロングヘア」、その前は1990年3月「女性ロングヘアうちロングソバージュ」にまで遡ります。
W浅野、特に浅野ゆう子のようなソバージュヘアがトレンディだった1990年、梨花のようなエアリーなウェーブ感のロングヘアが主流だった2007年。2024年のロングヘア人気を牽引するのは、やはり韓国の女性アイドルたちと言えそうです。2022年にデビューしたNewJeansは当時全員がロングヘア。定点観測でもたびたびその名が上がるBLACKPINKのジェニーもロングヘアがトレードマークです。なかでもピュアさと強さを感じさせる前髪のないストレートのロングヘアが今年は台頭。基本的には艶のある黒髪ですが、パキッと明るい金髪なども散見されます。三つ編みやハーフアップなどのアレンジ、あるいは先月(2024年9月)の定点観測で注目したヘッドアクセサリーをプラスしたスタイルも少なくありません。ロングヘアは黒やグレーを中心としたモードな装いとも好相性で、クールでミニマルな装いも目につきました。またインタビューでは「ダンスをするときロングヘアのほうがきれいに見える」という意見もあがり、ダンスが日常に浸透した世代ならではのマインドも垣間見えました。

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(左)「ダンスを踊る時にストレートの方がきれいに見える」と話してくださった24歳の女性(ダンサー)。マニッシュなオールブラックコーディネートにマッチしたワンレングスのロングヘアがクールだった。 (中)「ロングヘアにいいところはヘアアレンジの幅があること」と話してくださった21歳の女性。アメカジスタイルのときは巻き髪、韓国スタイルのときはストレートや“カチモリヘアー”など、その日のファッションに応じてスタイリングを分けているそう。 (右)今秋急浮上している薄手のニットキャップなど、多様なロングヘア+ヘッドアクセサリーのスタイルも見られた。

ズームアップアイテム①:ナイロン素材パンツ
デザインパンツの増加とともに素材感も変化しマストレンドに。

ナイロン素材のトップスは過去にも何度が定点観測で取り上げてきましたが、ボトムスを取り上げるのは実は初めてのこと。テック系のモードな男性たち、あるいはアウトドア/ゴープコア文脈で着用されていたアイテムでしたが、2022年9月にカーゴデザインパンツを取り上げたあたりからストリートで増加しはじめ、ジャージやスウェットパンツに代わってマストレンドに。今春大流行したユニクロのパラシュートパンツをはじめさまざまなデザインのものが見られますが、シルエットの巨大化やデザインの過剰化はジーンズのトレンドとも共通しています。実際に観察してみると、プラダが提案しているようなマルチポケットのカーゴパンツや、パイピングの効いたフューチャリスティックなデザインのパンツなど、さまざまなデザインのナイロン素材パンツが発見できました。黒や白に加えてグレー系のカラーが増加しているのも今年の傾向と言えそうです。

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(左)「今日のパンツはドローコードでシルエットを変えることができて、ショートパンツにもできます。変化、アレンジができるので買いました」と話してくださった26歳の女性。パンツはLITMUSで購入したKISHIDAMIKIのもの。
(中)ミリタリーディテールのナイロンパンツが目立つ今シーズン。裾にベルクロやドローコード、ゴムなどで自由にシルエットを調整できるのが人気のポイント。
(右)この日新宿で非常に多くみられたのが、パイピングデザインのナイロンパンツ。フードかぶりやタビシューズでアンニュイなモード感をまとったスタイル。

ズームアップ・アイテム②:チェック柄シャツ
90sグランジテイストの人気は春先から継続。腰巻きスタイルもリバイバル!

2024年6月にも取り上げた「チェック柄」。秋になり、気候的にもちょうどいいシャツで取り入れる人が引き続き多いため、「チェック柄シャツ」の名称で再度記録することにしました。背景のムードは基本的に春先と変わらず、古着感/グランジ感がそのベース。Y2Kっぽいパンク感のタータンチェックスカート等が減少し、90sっぽいシャツのみがストリートに残っているのがポイントです。アメカジ感強めのオンブレチェックシャツをモードな着こなしに取り入れる男性も増加。やはり黒やグレーといったダークな色合いのオンブレチェックが圧倒的に目立ちました。また、ここ数年はシャツのたすき掛けが新潮流となっていましたが、ここにきて腰巻きスタイルが復活。コンパクトなトップス+ボリューミーなボトムスのシルエットが一般化したことで、下半身にポイントができる腰巻きがマッチしたと考えられます。これは男性のスカートレイヤードスタイルが急増していることとも相関性がありそうです。

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【文責:大西智裕】

(左)20214年6月に「チェック柄アイテム」を取り上げた際にも人気だったオンブレチェックのシャツが秋を迎えてさらに着用者層拡大。なかでも黒やネイビーなどダークトーンのものが人気。
(中)男性のスカートレイヤードスタイルがじわじわ増えているなか、シャツの腰巻もボトムスのレイヤード感覚で取り入れられているようだ。
(右)春から人気のグレー系のパンツ。色落ちブラックデニムも加わり人気継続中。合わせるトップスもグレー系のチェックで全身をワントーンにまとめるスタイルが今秋風。


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