今から約30年ほど前の1973年、渋谷・公園通りは渋谷パルコとともに誕生した。NHKに向かうその通りは、73年の「商業統計」のデータによると、小売店で69店舗、飲食店で197店舗と、道玄坂が297店舗(小売店)、500店舗(飲食店)だったのと比較しても、ずいぶんと小規模な商圏であったことが伺える。
そんな公園通り商圏は、約10年を経て道玄坂とほぼ同じ店舗数に、小売販売額では道玄坂を上回るほどにまで成長した。88年にはクラブクアトロが誕生。北は明治通りを介して原宿商圏と繋がり、南はロフト前〜センター街とも融合し、上品なアメカジファッション「渋カジ」を生むに至ったのである。その後90年に神南にビームス東京が誕生。公園通りと神南エリアを結ぶ「上渋(うえしぶ)」ゾーンの発展の起爆剤となったのはいうまでもない。
90年代に入ると、公園通り商圏は、次々と誕生したレコードショップが軒を連ねる宇田川町界隈とも密接に繋がり、同後半には、「公園通り〜神南方面(+男の子の原宿越境型)=カップル・女性連れ」と「センター街=女子高生&サラリーマン&ロン毛・茶髪の子」とに分化した。翌年にQフロントやマークシティといった駅前大型商業施設が完成を控えた99年、社会全体が混沌し、画一化された価値観をもつ「上質なフツー系」が台頭する一方で、カフェやスニーカー、オンガク、スローフードなどをキーワードとする、若い世代のオーナーによる新しい(価値観の)業態が次々と誕生。渋谷・公園通りのみならず、恵比寿や代官山・中目黒、原宿・キャットストリート・表参道・千駄ヶ谷などへと拡がっていったのはまだ記憶に新しい。「情報発信者の世代交代」と「渋谷・公園通りカルチャーの拡大化」である。
02年に入ると、再び公園通りの通行量が増加。実際に、自転車や二輪車などで来街する人も増え、公園通り全体の通行量が増えている。一次は拡散化した「渋谷・公園通りカルチャー」は再びその原点に回帰しつつあるようだ。
そんな02年秋、「公園通りオリエンテッド」ともいえる渋谷パルコ・パート1が開業30周年を機にリニューアルを実施した。昨年秋のレストランフロアにはじまり、今春の「ZERO GATE」、全60店舗、計1500坪をフロアテーマも含めて再構築。メインエントランスも大幅に刷新したパート1に続き、来秋に向け、パート2、クアトロなど段階的にリニューアルを図っていく。
なかでも、注目したいのはB1Fの「アート・ブック・カルチャー・デザイン」ゾーンだ。“音楽のあるライフスタイル”を具現化したともいえる、音楽ソフトやインテリア・雑貨からフード類までを扱う「アプレミディ・セレソン」をはじめ、ベルギー・ワロン地方限定のベルギービールの専門店「イドロパット」(深夜2時まで営業!もちろんランチも有)の他、「ウエストリーム」や「オイルbyジェネラルストア」などのインテリア・雑貨ショップ、再整理された「パルコブックセンター」や増床し、ロゴスギャラリーと並列となった「洋書ロゴス」、ステーショナリーショップの「デルフォニックス」(デルフォニックス・ギャラリーも併設)など、コンパクトで使い勝手のいい「新生・公園通りカルチャーゾーン」として仕上がったといえそうだ。
公園通り、今、昔。
レポート
2002.10.28
ファッション|FASHION
毎回、渋谷界隈のストリート情報を掲載している「today's shibuya?」。今回は、内輪のニュース、「渋谷パルコのリニューアル」を機とした特別編である。
右の写真は、パルコミュージアムのオープン記念写真展「篠山紀信/Tokyo Addict」にちなみ、渋谷・公園通りパルコのエントランスを撮影中の篠山紀信氏。
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