JR中央線/西武多摩川線・武蔵境駅前の「武蔵野プレイス」は、図書館を軸とした武蔵野市の複合文化施設。曲線や吹き抜けを取り入れた柔らかな施設デザイン、子供や親子連れが利用しやすい運営方法など随所に新しい試みが盛り込まれており、2011年7月のオープンから多くの市民が集まる人気スポットとなっている。
正式名称は「武蔵野市立『ひと・まち・情報 創造館武蔵野プレイス』(以下『武蔵野プレイス』)」。JR中央線・武蔵境駅南口のロータリーに面する好立地にあり、建物は地上4階・地下3階、延床面積は9809平方メートル。「図書館機能」「生涯学習支援」「市民活動支援」「青少年活動支援」という4つの機能を担っている。図書館機能を軸として全館の「ブラウジング(回遊性)」を促進するようにデザインされたフロア構成が特徴である。
施設の中心となる図書館の蔵書数は図書が約15万5000冊、2階から地下2階までのフロアを占めている。1階エントランスを入ると、まず目に入るのがフロア中央の大きな「新着・返却資料」のオープンラックで、「今読まれている本/新しい本」が利用者の目に入ってくる仕掛けだ。マガジンラウンジには雑誌約560誌/新聞約30紙を揃えており、大型の図書館でもあまり見かけない洋雑誌や専門誌も充実している。
メインライブラリーを地下1階に配置。壁面書架を用いたフロアは、周囲を本で囲まれていながら、自然光が入る吹き抜けがあるため程よい開放感がある魅力的な空間だ。視覚障害者向けの録音資料を作成できる録音室も設置されている。
芸術書や青少年向け書籍・雑誌を約1万5000冊を配置する「アート&ティーンズライブラリー」(地下2階)、生活関連図書をテーマごとにまとめた「テーマライブラリー」(2階)などをフィーチャーしたコーナーを配置。2階には乳幼児~小学校高学年までを対象とする児童図書を揃え、さらに子供たちが靴を脱いで本を読み、遊ぶこともできる「おはなしのへや」、さらに授乳スペースや幼児用トイレも併設し、親子や家族で一緒に読書を楽しめるよう配慮している。
図書館というイメージを前面に出さず、多様な使い方を促したい、というのが施設側の狙いだ。1階中央にカフェを設置しているのもその現れである。カフェには小さい音量でBGMが流れ、吹き抜けがあるため図書館フロアにも人のざわめきが聞こえてくる。静かな図書館ではかえってちょっとした物音がうるさく感じられてしまうものだが、音があるためむしろ気にならない。
「来館者が本について友達と気軽に話ができるような場所にしたいと考えています。図書館スペースでもBGMのほかさまざまな音が聞こえますが、これは“暗騒音”といって、一定の音があることでノイズを打ち消す作用があるんです。2Fにも”おはなしのへや”からお子さんたちの声も聞こえてきますし、一般的な図書館よりも音が大きいと思いますが、特に来館者からの不満は寄せられていません。子供を連れてきやすいということで、地域のお母さんたちからは好評なんです」
と武蔵野プレイス館長の三澤和宏さんは語る。