2013年6月9日、立教大学ウィリアムズ・ホールにて立教大学服飾デザイン研究会(以下:FDL)のファッション・ショーが行われた。ショーの取材に加え、総合大学の服飾サークルという特殊な位置づけの団体が持つ意義について、代表の西島駿(3年)、副代表の廣瀬友理(3年)の両名に話を伺った。
立教大学生が組織し、50年近い歴史を持つFDLが今回のファッション・ショーで掲げたテーマは、“糸”(いとへん)だ。この“糸”(いとへん)というテーマは、「祈り」というコンセプトから導かれたものであると代表の西島は説明する。
「祈りという行為を僕自身は愛に近い意味で解釈していますが、祈る対象はみなそれぞれです。そのそれぞれが持つ“祈る”という行為を紡ぐもの、その紐帯を表して “糸”(いとへん)というテーマを掲げました。」(代表/西島駿さん)
ショーでは、合計20体のルックが静謐な空間に白く敷かれたランウェイを闊歩した。1体1体に込められた“祈り”を紡いでいく様は、まるで人々の“祈り”そのものであり、華やかなファッション・ショーとは一線を画す、独特の緊張感が感じられた。
ルックはデザイナーたちが、“自然から感じる力”、“陽だまり”、“時間”などといったそれぞれの“祈り”の対象を表現しており、多様なデザインが並んだ。
FDLのデザインプロセスは、メンバー全体での会議を通じて、そのショーが掲げるテーマを決めることから始まる。その上で、デザイナーはテーマから連想されるイメージや、自分が表現したいものをプレゼンし、テーマとの整合性や、デザイナー間での解釈の足並みをそろえるためのディスカッションを通じて、全体を方向性づけていくのだという。
デザイナーのうちのひとりは、自らのデザインを次のように語った。
「私にとって、”糸”(いとへん)というものを想像したときに、まず連想するのが、陽だまりがあるような温かい空間なんです。その空間には、球体がたくさん浮遊していて、それが自分の身体にたくさんまとわりついてくるように、そしてその温かさを表現するために、淡い色を基調にした毛糸を巻き付けて表現してみました。」