小田急線の一部地下化に伴い、大きく姿を変えつつある下北沢駅周辺。再開発に向けて線路跡地や踏切、さらに駅前市場の撤去が進む現在、その行方には多くの人が関心を寄せている。地元自治体である世田谷区にとっても、下北沢駅前の再開発問題は長年に渡る大きな課題である。
世田谷区長の保坂展人さんは、自身のツイッターフォロワーを集めてさまざまなテーマのもとで市民と語り合う“オフ会”イベントを行ってきた。下北沢の未来をテーマとして2013年4月に開催された「新しい下北沢から発信するアートルネッサンス 保坂展人ツイッター3周年記念オフ会」を取材した。
会場は下北沢駅南口のダイニングレストラン/ライブハウス「風知空知(フーチークーチー)」で、区長やパネラーがステージ上から話すのではなく、観客と同じ目線で語るカジュアルな会だ。5回目の開催となったこの回は、下北沢駅の再開発問題についてシングルイシューで話し合うのがテーマである。参加者は約40人で、30~50代の男女が中心。そのうち約7割がツイッターフォロワーで、残りが下北沢の地元のつながりで集まったという。
下北沢を拠点のひとつとして活躍するシンガー・ソングライター・宍戸留美さんが司会を務め、保坂さんと下平さんを中心に、前半/後半に分けてトークを行うという構成。第1部では下北沢の情報サイトと街づくりイベントを手がける『I LOVE 下北沢』を運営する西山友則さんと、不動産店「Will Stage」を経営し下北沢の店舗事情に精通する志村晃芳さんを迎えてのトーク。いま、下北沢ではどんなことが起こっているか、という街場の最新事情が紹介された。
第2部は、下北沢の老舗小劇場「ザ・スズナリ」などでも主宰する劇団で公演を行う日本劇作家協会会長の坂手洋二さんをゲストスピーカーに迎え、演劇や音楽をリソースとする“世田谷区の文化発信基地”としての下北沢の未来像をどう描くか、というビジョンがテーマだ。
イベントの世話人は、下北沢で33年の歴史を持つ沖縄居酒屋「Never Never Land(ネバーネバーランド)」を経営する下平憲治さんだ。2013年版のミシュラン旅行ガイド『Michelin Green Guide Japon』(ミシュラングリーンガイド:日本編)では下北沢が訪れるべき場所として一つ星を獲得、初登場した中で紹介されている店舗でもある。
2011年に区長として立候補する前に、2010年からツイッターをスタートした保坂さん。フォロワーが2万人を越えたことを記念してオフ会を開催し、ネットで盛り上がった議題を即時即応でオフ会や勉強会の中で取り上げてきた。告知はもちろんツイッター経由。受付などのスタッフも全てツイッターで集まったボランティアだという。
「これまで開催した4回のうち2回は土曜の朝10時に開催して、お母さんたちが子どもをお父さんに任せて参加できるようにしました。今回は下北沢の再開発について語る“スペシャルイシュー”ですが、いつものオフ会は騒音がうるさいとか、学校でこんなイジメがあるなど、身近な問題について区長を交えて話をしています」(下平さん)