“新たなファッション・クリエイションの可能性を提示すること”をテーマとする本展。その最大の特徴は、それぞれのブースのコンセプトが極めて自由であるだけでなく、そこに生身の人間が生きるマネキンとなっているという展示手法に現れている。単発のショウやイベントではなく、展覧会としては初めての試みではないだろうか。
実はその前史(と思われる現象)があった。昨年(2012年)、旧東京電気大学校舎(神田錦町)で「神田エリアでアートと人を結ぼう」というテーマのもと、千代田区と東京藝術大学主催のアートイベント「TRANS ART TOKYO」が開催されたが、そこで行われた「ここのがっこう」の展示を観た人であれば、本展はそれがバージョンバップ(更新)したものであることに気づくだろう。
今回この「絶命展」に参加しているのは、新進デザイナーや若いクリエイターばかりだ。シュエ・ジェンファンさん(Jenny Fax)、佐藤友浩さん、大草桃子さんがそれぞれ考える最先端のファッションが、インスタレーションのような形で展示。さらに福嶋麻衣子(もふくちゃん)さんや村上隆さん率いるKaikai Kiki所属アーティストのmebaeさんなど、ファッションの外側で活動するクリエイターの参加も注目されるところだ。
また、会期中、常に展示内容が変化していくのも特徴。スタート時の「黎明編」から「絶望編」へ、そして一度生きたモデルが会場から姿を消す“死の4日間”「大地編」を経て「復活編」「宇宙編」へとストーリーを展開し、変化していく構成になっている。
前期となる10月4日〜9日にはTomohiro Sato、RYOTA MURAKAMI、河原諒などのブランドが、後期の10月10日〜14日には大月壮士/大草桃子、木村康人、Hikaru Kodama、BOKUTOなどがそれぞれ参加する。会場内では連日、参加クリエイター/ブランドのフロアショーが、不定期で開催されるというから、一度ハマった人はきっと何度も足を運びたくなるだろう。
期間内にはトークイベントも開催。山縣さんと坂部さんの2人が編集者・菅付雅信さん、モデル・歌手のUnaさん、独立研究者の森田真生さん、アイドル/美術家の夢眠ねむさん(でんぱ組inc.)と、多彩な領域のゲストを招き、<いまどきのファッションとクリエーション>についての本音を語りあう。