FRANK BLACK(フランクブラック)
レポート
2014.03.06
ファッション|FASHION

FRANK BLACK(フランクブラック)

昨今主流になっている作り込んだ内装の古着店とは対局の、すっきりとした店内。
Happy Socks(ハッピーソックス)、メンズのドメスティックブランドAVAなど新品も扱う。ヴィンテージの生地をリメイクした同店オリジナルのバッグラインSPENT(スペント)も。
スラックスやセットアップなどトラッドなアイテムを豊富に揃える。
下北沢北口から徒歩4分。スターバックス隣に、古着店「FRANK BLACK(フランクブラック)」がオープンした。

トレンド重視のkinsella(キンセラ)とは全く違う、自分たちと同世代の30代に向けた提案をする店をやりたかったんです。ファッションで“目立ちたい”のではなく“こだわりたい”という人に来て欲しい」(山上さん)。

同店は、原宿とんちゃん通りの古着店「kinsella(キンセラ)」の2号店。2008年のオープン以来、アメカジからヴィンテージ、ブランド古着まで、ジャンルレスな品揃えが人気の古着店で、数年前から新人類ジュニア世代(90年代生まれ)の若者たちの定番となっている、コスプレ感覚いっぱいの80’s古着ミックススタイルの立役者でもある。

運営は、山上達生さん、副島佑一郎さんによるkinsella tokyo合同会社。

ティーンズや20代前半の若者をターゲットに、奇抜な古着を扱うKinsella(キンセラ)とは異なり、同店はメンズに特化し、シンプルでシルエットにこだわった古着を取り扱う。ターゲットは主に20後半~30代の男性。

今回、まったく異なるスタイルの店を出店した背景には、山上さん自身が感じている現在の古着屋への倦怠感があるという。

ここ数年の傾向として、空間を作り込んだ雰囲気重視の古着屋が人気ですが、商品自体はあまりおもしろくないというか…。かつてのようにレアなものや掘り出し物が隠れていそうな店が少なくなってしまった。それが残念だったので、そういう店を作ろうと思ったんです」(山上さん)
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同店がある下北沢北口周辺は古くからの人気古着店が林立するエリア。
ここ数年で新規出店が増え、改編が進んだ事で新たに「新人類ジュニア世代」も来街するようになっている。
気軽に試着できるように、商品の多くをハンガーに吊るしてディスプレイ。
オーナーが偏愛する90’sのオルタナティブ系バンドTシャツも充実。
LAのミクスチャー・ロック バンド「fishbone」のバンドTシャツ。
スニーカーはNew Balance、addidasなどの新品も販売。日本未入荷のカラーも扱う。
希少価値の高いearly 90sデッドストックのVANS ERAとAUTHENTIC。すべてUSA製。
テーマはALTERNATIVE(オルタナティブ)。流行を追う一辺倒の昨今の古着店とは一線を引き、時代の流れにとらわれない店にしたい、という思いを込めたそうだ。店名はオーナーが大ファンというオルタナティブロックバンドのpixies(ピクシーズ)のボーカルの人名から名付けたそうだ。

内装デザインは、ポストロックバンドtoeのフロントマンで、中目黒VENDOR(ベンダー)や池袋Ciaopanic(チャオパニック)などの内装を手がける(株)メトロノームの山嵜廣和さんに一任。「古着屋に見えない店」を目指したという店内は、白とグレー、ナチュラルウッドで統一されており、すっきりとクリーンな印象だ。原宿の店よりもターゲットの年齢層が高いことから落ち着いた内装に仕上げた。気軽に体に当ててみたり、試着できるようにほとんどの商品をハンガーにかけてディスプレイしているのも特徴である。

店舗面積は約12坪。商品はアメリカ西海岸を中心に買い付けたものが中心で、9割がメンズ、1割がユニセックス。バーバリーのコートやシャツ、ネクタイなどトラッドなアイテムが揃う。また、「ルーツである音楽の要素が感じられる店にしたい」という思いから、バンドTシャツも充実している。日本ではスニーカーは新品を扱い、海外限定カラーの商品も取り扱う。



同店が出店した場所は、下北沢駅北口のレディスショップが林立する通り。HAIGHT&ASHBURY(ヘイトアンドアシュバリー)FLAMINGO(フラミンゴ)など人気古着店も多く、新規出店も多いエリアである。原宿や渋谷区神南なども候補に考えていたが、知り合いのアパレル関係者らから「最近、下北沢が盛り上がっている」という声が多く、リサーチを行ったところ、ファッション好きが来街している手応えを感じて出店に踏み切ったという。

定点観測のインタビューでも、近年好きな街・よく行く街として下北沢をあげる若者が増えている。駅ビル/商業施設が飽和となり、反動から街を歩きながら個店をめぐってショッピングを楽しみたいという心理が再び高まっているのである。

特に、ファストファッションからスタートした一部の新人類ジュニア世代の男性の間では、ここのところのトラッド/プレッピーブームで初めてオーセンティックなファッションに出会い、ブランドやアイテムのルーツや成り立ちを勉強したいという欲求が高まっているようだ。同店は、そんな消費者心理の変化を反映したショップといえるだろう。

取材・文 菅原 三知代(ACROSS編集部)

FRANK BLACK(フランクブラック)

東京都世田谷区下北沢2-30-7
営業時間:12:00ー21:00
TEL/FAX: 03-6407-9996


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