中古住宅を改装するリノベーションがブームになって久しいが、近年、ラブホテルをリノベーションして業態転換する例が目立ってきた。賃貸マンション「シャンティアパートメント(墨田区・2012年オープン)」「お針子プロデュース(台東区・2013年オープン)」や、アーティスト・イン・レジデンス「パラダイスAIR(千葉県松戸市・2013年オープン)」などに加えて、2013年11月22日にオープンした「カオサンワールド浅草 旅館&ホステル」もその一つ。つくばエクスプレス「浅草駅」から徒歩3分の場所にある元ラブホテルを活用したゲストハウスで、海外からの旅行客でにぎわっているというので取材を行った。
運営元は(有)万両。創業者である植田さんは上野出身で、2002年の日韓ワールドカップの際に、山谷地区に外国人旅行客が集まっている事を知り、せっかくなら是非浅草に泊まって欲しいという思いから、ビジネスをスタート。前職でタイに駐在した時に、バンコクのカオサンロードに魅了され、世界中の人が集まるゲストハウスというビジネスモデルに将来性を感じたのも大きなきっかけだそうだ。2004年に1号店となる「カオサン東京オリジナル店」(台東区雷門2丁目)をオープンし、2014年3月現在で東京・京都・博多・別府・札幌に全12店を展開している。
その中でも「カオサンワールド浅草 旅館&ホステル」は、最大規模で、敷地面積549平方メートル、6階建て36部屋。もともと1982年頃に建設された当時、浅草で最も大規模でゴージャスなラブホテルだった物件である。
「ラブホテルをリノベーションするメリットは、なんといっても効率。宿泊施設として造られた物件なので営業許可を取りやすいんです。防音がしっかりしていて隣の部屋を気にしないで済むと宿泊客からも好評。アジアの方々は共同トイレ・バスに抵抗がある方が多いので、各部屋にトイレ・バス・洗面台が設置されている点も好まれているようです」(ゼネラルマネージャー/馬込 将日児さん)