OTO(オト)
〜ユーザーのライフスタイルの変化に合わせて老舗クラブが移転リニューアル
1995年9月に新宿歌舞伎町にオープンして以来、良質のサウンドと業界を牽引するDJが多くプレイすることでコアな人気を獲得していた老舗クラブ「OTO(オト)」。2014年1月10日、18年間にわたり営業を続けてきた新宿から、装いも新たに渋谷に移転オープンした。オーナーの落合一哉さん(46歳)に、その経緯を伺った。
「2003年に始まった歌舞伎町の浄化作戦の影響からか、2000年代の半ばあたりから近隣のクラブやライブハウスの移転や閉店が相次ぎ、かつての活気が薄れてきていると感じていました。そんなとき、昔から付き合いのあるDJやお客さんから、渋谷に移転しないかと強く薦められたこともあり決意しました」(落合さん)。
移転先は再開発が進む渋谷駅東口から、明治通沿いを恵比寿方面に4分ほど歩いたところにあるビルの5階。20坪の店内は、バーカウンターを挟んでダンスフロアとラウンジフロアに分かれており、両方に窓があるため実際よりも広く感じる。
「イベントは企画力が重要」と語る落合さんは、自身が担当するイベントのDJ陣には自ら足を運んで直接ブッキングするという。一対一の繋がりを大事にすることで、単純に仕事の枠を越えた濃い人間関係を築いていくことも珍しくないそうだ。そんな、コンテンツを重視する姿勢とヒューマンリレーションズが、多くのファンに長く愛される要因といえる。
営業時間はイベントによって異なるが、基本は18:00〜23:00、または22:00〜5:00。客層は20〜40代までと幅広く、オープン時から長年通い続けている人もいるというが、渋谷に移転したことで20代の新規客が増えたほか、足が遠のいていた馴染みの客が久しぶりに来店するなど、店の活性化に繋がったそうだ。
「驚いたのは、『渋谷に移転して来やすくなった』という反響が多かったこと。20代の新規客だけでなく、移転をきっかけに約10年ぶりに再び来て下さるようになった方も少なくありません。若い頃に渋谷でレコードを買ったりクラブに行ったりしていた30〜40代は、やっぱり渋谷がホームという感覚があるみたいで、今でも渋谷近辺で働いたり、遊んでいる人たちが多いようです」(落合さん)。