2011年末にオープンした代官山T-SITEをきっかけに、飲食からアパレルまで幅広いジャンルの新規出店が相次ぎ、00年代後半はある意味閑散とした雰囲気だった代官山。その後、2013年春の東京メトロ副都心線と東急東横線の相互直通運転で、乗降客数が大幅に増加し、再び活気が戻って来ている。そんな代官山に“石垣島”をコンセプトにしたショップ「石垣島商店」がオープンした。取り扱う商品は石垣島産のフードからコスメ、アパレルまでと幅広く、一見すると地域アンテナショップのようなのだが、実は全く異なるビジネスモデルを打ち出した店だ。
「石垣島の産業を国内でアクティブに拡大していくための中継基地としてオープンしました」と語るのは、店主の山本 聖さん。2010年まで、株式会社小田急百貨店にて商品統括部マーチャンダイザーとして自主編集の売り場の再開発を中心に担当し、地域に特化した商品開発などを手掛けていた。現在は、前職より兼務していた独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)の経営支援部プロジェクトマネージャーとして地方都市再生事業に携わる他、同店のディレクションを手掛ける市場開拓民間事業体株式会社ISM(石垣島スパイスマーケット)で取締役を務めるなど、半官半民の立場で活動を行っている。
「地域産業を活性化させる為には、官と民の両者の役割を活かした “半官半民”の仕組みをつくる必要があると考えていました。アンテナショップは実は表の顔で、本当の目的は出店企業やブランドの販路開拓を支援するシステムの構築です」(山本さん)。
もともと、中小機構で地域活性化を目指した中小企業支援プロジェクト「NIPPON MONO ICHI(ニッポン モノ イチ)」を展開していた山本さん。「NIPPON MONO ICHI(ニッポン モノ イチ)」とは、商品・サービスの市場化プロセスを支援し、地域の活性化・ブランド化を促進するためのプロジェクトで、専門家による相談会や出張ワークショップ、商品開発などのノウハウを提供するほか、同時に提携企業とのマッチングを手掛け販路拡大までのプロセスを提供し、日本の新しいモノづくりを応援するというものだ。そのプログラムのノウハウとネットワークを活用することで、石垣島の市場活性化を目指したのが「石垣島商店」なのである。
「地域産業を活性化させる為には、官と民の両者の役割を活かした “半官半民”の仕組みをつくる必要があると考えていました。アンテナショップは実は表の顔で、本当の目的は出店企業やブランドの販路開拓を支援するシステムの構築です」(山本さん)。
もともと、中小機構で地域活性化を目指した中小企業支援プロジェクト「NIPPON MONO ICHI(ニッポン モノ イチ)」を展開していた山本さん。「NIPPON MONO ICHI(ニッポン モノ イチ)」とは、商品・サービスの市場化プロセスを支援し、地域の活性化・ブランド化を促進するためのプロジェクトで、専門家による相談会や出張ワークショップ、商品開発などのノウハウを提供するほか、同時に提携企業とのマッチングを手掛け販路拡大までのプロセスを提供し、日本の新しいモノづくりを応援するというものだ。そのプログラムのノウハウとネットワークを活用することで、石垣島の市場活性化を目指したのが「石垣島商店」なのである。
運営するのは、株式会社ISM。石垣市が石垣経済振興公社に事業委託というかたちで、石垣島市役所の観光課と物流課が連携し、島内の「物流改革プロジェクト」の一貫としてスタートした。
山本さんが石垣島でセミナーを行ったことをきっかけに、現在のプロジェクトの主要メンバーでもあるアクセサリーブランドのTilla・Earth(ティラ・アース)や食べるラー油で有名な辺銀食堂などが参加し、新宿・小田急百貨店で開催した物産展「石垣島スパイスマーケット」が、現在の「石垣島商店」の前身となっているそうだ。
山本さんが石垣島でセミナーを行ったことをきっかけに、現在のプロジェクトの主要メンバーでもあるアクセサリーブランドのTilla・Earth(ティラ・アース)や食べるラー油で有名な辺銀食堂などが参加し、新宿・小田急百貨店で開催した物産展「石垣島スパイスマーケット」が、現在の「石垣島商店」の前身となっているそうだ。
「国内で一番運送料が嵩むのが石垣島なんです。島外へ流通させるためには、一度沖縄本島を経由しなければならず、他県の倍。個人や中小企業にとっては現実的ではありませんでした。そんな状況をなんとか打破しようと、島外のお客様との“情報・もの・物流の総合的なハブ”として設置したのが、「石垣島商店」というシステムです」(山本さん)。
東京に固定型の”ハブ“として店舗を構えることで余計な運送費を削減するとともに、島内に安定した収益をもたらし経済の活性化を促進する。更に、石垣島と東京間だけではなく、東京を介して他県へ商圏拡大していくことも大きな狙いだそうだ。
東京に固定型の”ハブ“として店舗を構えることで余計な運送費を削減するとともに、島内に安定した収益をもたらし経済の活性化を促進する。更に、石垣島と東京間だけではなく、東京を介して他県へ商圏拡大していくことも大きな狙いだそうだ。
「クリエーターや職人、クラフト系には強いのですが、製造業がないという点が石垣島の特徴です。そのため、観光地特有のニーズをいかした“ライフスタイル”を高感度の人に向けて売っていく必要があると考えています。また、沖縄自体のブランド力は強いのですが、催事などに出店すると“調味料”や“お酒”などのモノごとに解体されてしまうので、“石垣島産”モノは埋もれてしまうのです。島の産業を流通させる為には、ひとつの集合体としてみせるような新しい仕組みが必要でした」(山本さん)。
店舗機能だけではなく、生産者と企業を結び付ける“マッチング”の場も担う同店。なかでも特に注力しているのが、催事や大型フェアへの参加だ。現在まで、オーガニック製品の合同展示会「オーガニックEXPO」や「rooms(ルームス)」やファッションを中心としたビジネスフェア「IFW-IFF(インターナショナル・ファッション・フェア)」といった様々なジャンルのイベントに出店している。
石垣島から単体で催事や大型フェアに出店するのには、莫大な時間と費用がかかるほか、ネームバリューもないとなるとクライアントを確保し新しいビジネスを始めるのは至難の業。島内の事業・生産者は企業とのビジネスチャンスを得る機会が大変少ないのが現状だ。プロジェクベースでの企画、また、地域をブランド化し一つの媒体とすることで、多くの地域産業を一度にアピールし、新たな市場開拓の機会創出に繋げていくという。
店舗機能だけではなく、生産者と企業を結び付ける“マッチング”の場も担う同店。なかでも特に注力しているのが、催事や大型フェアへの参加だ。現在まで、オーガニック製品の合同展示会「オーガニックEXPO」や「rooms(ルームス)」やファッションを中心としたビジネスフェア「IFW-IFF(インターナショナル・ファッション・フェア)」といった様々なジャンルのイベントに出店している。
石垣島から単体で催事や大型フェアに出店するのには、莫大な時間と費用がかかるほか、ネームバリューもないとなるとクライアントを確保し新しいビジネスを始めるのは至難の業。島内の事業・生産者は企業とのビジネスチャンスを得る機会が大変少ないのが現状だ。プロジェクベースでの企画、また、地域をブランド化し一つの媒体とすることで、多くの地域産業を一度にアピールし、新たな市場開拓の機会創出に繋げていくという。
これまでは、主要都市に出店しても、小売り目的の地域アンテナショップのような店舗で販売をするのがほとんどで、運送費や人件費などで純利益が見込めなかった石垣島の実情を、“ハブ”となる場所を確保することで、運送費や人件費の削減、在庫の調整や常時消費者への発信・販売、更にB to Bのビジネス構築を可能にしていくというわけだ。
「地域独自の創意を生かした産業と企業のマッチングの機会を創出するという店の仕組みが成功すれば、石垣島以外の地域復興にも採用できると考えています。それを念頭において綿密なプランを組み立てています」(山本さん)。
地元の市役所や経済振興公社に勤める主要メンバーが強力なタッグを組み、地域内循環と外貨を得る具体的な施策を立案。都内マーケティングチームと地元チーム、そして官民が協力して進めることで、スムーズな運営となった。
「島民の理解を得るのに最初は大変苦労しました。出店希望者も多くいる中で、順序立ててかつ公平に運営していくのには地元メンバーの協力なしでは不可能だったと思います」(山本さん)。
「地域独自の創意を生かした産業と企業のマッチングの機会を創出するという店の仕組みが成功すれば、石垣島以外の地域復興にも採用できると考えています。それを念頭において綿密なプランを組み立てています」(山本さん)。
地元の市役所や経済振興公社に勤める主要メンバーが強力なタッグを組み、地域内循環と外貨を得る具体的な施策を立案。都内マーケティングチームと地元チーム、そして官民が協力して進めることで、スムーズな運営となった。
「島民の理解を得るのに最初は大変苦労しました。出店希望者も多くいる中で、順序立ててかつ公平に運営していくのには地元メンバーの協力なしでは不可能だったと思います」(山本さん)。
代官山に出店した理由を伺ったところ「代官山の在勤者や在住者は高感度のインフルエンサーが多く、そういった人たちのSNSなどのコミュニケーションツールを多用した情報拡散効果も狙いました。また、全国的に地域に対する注目度も高いので取材などの依頼も多いなど、自然発生的に効率よくアピールの狙いもあります」とのこと。さらに、“代官山”という地名は地方において“トレンドを発信する最先端の街”ということで、催事出店の際などのイメージアップにも繋がっているそうだ。
1階のカフェスペースと2階のショップスペースの2フロアで構成される同店。1階は辺銀食堂のオーナーである辺銀愛理さんがプロデュースを担当。石垣島で作られた野菜やハーブなどの農作物や、調味料などの加工食品を販売する。セレクトは「石垣島スパイスマーケット」のチームが担当しており、ここでしか手に入らない貴重な商品も多数取り扱う。また、牛乳から米、卵まで全て石垣島産の素材にこだわった、ジャージャン丼、炊きたてのこーじゅーしー(炊き込みご飯)、石垣島ハーブティーなどの、辺銀愛理さんが監修する石垣島ならでは飲食メニューをテイクアウトで提供しており、近隣のショップで働く人にも人気だそうだ。
1階のカフェスペースと2階のショップスペースの2フロアで構成される同店。1階は辺銀食堂のオーナーである辺銀愛理さんがプロデュースを担当。石垣島で作られた野菜やハーブなどの農作物や、調味料などの加工食品を販売する。セレクトは「石垣島スパイスマーケット」のチームが担当しており、ここでしか手に入らない貴重な商品も多数取り扱う。また、牛乳から米、卵まで全て石垣島産の素材にこだわった、ジャージャン丼、炊きたてのこーじゅーしー(炊き込みご飯)、石垣島ハーブティーなどの、辺銀愛理さんが監修する石垣島ならでは飲食メニューをテイクアウトで提供しており、近隣のショップで働く人にも人気だそうだ。
2階では、アパレルやコスメ関係のアイテムを販売。琉球衣装に発想を得たアパレルブランド「CHI MU NO(チムノ)」のガウンや、天然石や珊瑚、ビーズを使ったアクセサリーブランド「BRANCHES by TILLA EARTH」、石垣島原産の夜香木を原料にしたフレグランスブランドの「NUCHIGAFU(ぬちがふぅ)」等が並んでいるが、今後は企業とのマッチングスペースとして活用していく計画だそうだ。
「支援機関としての成果は、支援地域に“お金が落ちる”ということだと思います。半官半民、小企業と大企業、地方と東京という相互関係にあるものを、きちんと機能させ利益を生むという仕組みを成立させたいと考えています」(山本さん)。
現在、都内にある自治体アンテナショップは55店舗(一般財団法人地域活性化センター調べ/2014年4月現在)で、その開設数は年々増加傾向にある。また、2014年秋には、鳥取県と岡山県の共同ショップ「とっとり・おかやま新橋館」や、長野県の「銀座NAGANO ~しあわせ信州シェアスペース~」といった、デザインに注力し、ワーキングスペースのような設備でトレンド感を盛り込んだ複合業態も登場するなど、従来のアンテナショップからバージョンアップが進んでおり、今後ますます多様化していきそうだ。
取材・文 生田目恭子+ACROSS編集部
現在、都内にある自治体アンテナショップは55店舗(一般財団法人地域活性化センター調べ/2014年4月現在)で、その開設数は年々増加傾向にある。また、2014年秋には、鳥取県と岡山県の共同ショップ「とっとり・おかやま新橋館」や、長野県の「銀座NAGANO ~しあわせ信州シェアスペース~」といった、デザインに注力し、ワーキングスペースのような設備でトレンド感を盛り込んだ複合業態も登場するなど、従来のアンテナショップからバージョンアップが進んでおり、今後ますます多様化していきそうだ。
取材・文 生田目恭子+ACROSS編集部
「石垣島商店」
〒150-0034 東京都渋谷区代官山町10−10 代官山トゥエルブ1-A,2-A
営業時間:11時30分~17時
定休日:月・火(祝祭日除く)
営業時間:11時30分~17時
定休日:月・火(祝祭日除く)