このところ、DIY（Do It Yourself）の動きが拡大中だ。「進化するDIYファッション＆カルチャー」（＊過去記事）などでもお伝えしてきたように、定点観測でも自ら洋服やアクセサリーを手作りしたり、既製品をカスタマイズするなど自分らしいDIYファッションを楽しむ人が増加。雑誌などのメディアでは度々DIYをテーマにした特集が取り上げられている。その動きは衣・食・住の全般に及び、ジャンルも手芸やリトルプレスといったローテクなものから話題の3Dプリンターなどデジタル機器を使ったハイテクなDIYまでと幅広い。
私たちに身近な”住”（暮らし）に関しては、ここ数年で「リノベーション」という言葉も浸透。ここ数年、ホームセンターでも工具やスペース貸出のサービスがあったり、商業施設や専門店でも様々なワークショップやイベントが開催されている。都内でもレーザーカッターなど最新のデジタル機器を揃える「Makers’ Base(メーカーズ・ベース)」（目黒）、「&Fab」を共同運営する「FabLab」など共同ファブリケーションスペースも登場している。
そんな中、昨年6月に中目黒に時間貸で使えるレンタルDIYスペース「DIY STUDIO（ディーアイワイスタジオ）」がオープンした。場所は中目黒駅のほど近く。中目黒銀座商店街を入ってすぐの住宅地の一角にある。
事務所物件の納屋を改装した「DIY STUDIO」。その名の通り、スタジオ自体ももちろんDIYした
スタジオは、手作りの看板を掲げた7畳程度のアットホームな空間。棚一面には塗装缶や工具入れが並び、のこぎりや電動ドライバーのほか卓上丸のこぎり、ジグソーなどプロ仕様の工具も揃う。多くの工具類は、最初に10分程度の安全講習を受けたのち自由に使えるシステム。さらに専門のDIYアドバイザーによるサポートサービスもある（全日：18,000円）。材料はユーザーが持ち込むか、相談すれば事前に木材など材料を配達しておいてもらうことも可能。このようにDIY初心者でも気軽に利用できるのが魅力だ。
運営はリノベーションを専門とする設計事務所「フィールドガレージ」。代表の原直樹さん（44）が1人で同社を立ち上げた頃は、まだリノベーションという言葉も浸透していなかった2004年。同じくリノベーション会社「ブルースタジオ」が注目され始めた頃で、その後10年あまりで急速にニーズが広がり、一般に広く認知されるようになったのはここ1～2年ほどだという。3年前に移転したという現事務所はもと歯科医院兼住居だった約50年の建物を改装したもの。隣接するガレージ奥の物置スペースを改装し、新たにスタジオを開設した。
運営はリノベーションを専門とする設計事務所「フィールドガレージ」。代表の原直樹さん（44）が1人で同社を立ち上げた頃は、まだリノベーションという言葉も浸透していなかった2004年。同じくリノベーション会社「ブルースタジオ」が注目され始めた頃で、その後10年あまりで急速にニーズが広がり、一般に広く認知されるようになったのはここ1～2年ほどだという。3年前に移転したという現事務所はもと歯科医院兼住居だった約50年の建物を改装したもの。隣接するガレージ奥の物置スペースを改装し、新たにスタジオを開設した。
生ごみをミミズの力で堆肥に変えるコンポストや、雨水を再利用するための雨水タンクが設置されている
「都心では特に、いざ自宅でDIYをしようとしても、スペースや機材、音などの問題があったりとハードルが高い。家は暮らしの基本。身の回りのものを自分でつくることでもっと楽しくなるし、見え方や感じ方も変わる。暮らすことに興味を持って、より愛着を持つことができます。どんどん活用してもらって、”つくる暮らし”の魅力を感じてほしいですね」と話すのは、フィールドガレージのPRを担当するゴレイコさん。
リノベーションの利用客は都内近郊の30〜40代が中心。若い夫婦や家族のほか、20代や1人暮らしの顧客も少なくない。一人一人に合った住まいを設計・施工してきた同社だが、ここ数年ほどでリノベーションやDIYを通して”自分らしい暮らしをしたい”という若者が増えているという。
「若い人たちの間で、新しいものを与えられるだけでなく、古き良き暮らしに価値を見出す人が増えているように感じます。DIYはおしゃれで、しかも手頃なものとして肯定的に捉えているのでは」（ゴさん）。
一方、リノベーションやDIY型の賃貸物件は社会問題化する「空き家問題」の対策という視点からも注目を集めている。平成25年総務省発表全国の「空き家率」は総住宅数に占める割合が13・5％と過去最高を更新。今後この割合はさらに増えると予測されている。
リノベーションの利用客は都内近郊の30〜40代が中心。若い夫婦や家族のほか、20代や1人暮らしの顧客も少なくない。一人一人に合った住まいを設計・施工してきた同社だが、ここ数年ほどでリノベーションやDIYを通して”自分らしい暮らしをしたい”という若者が増えているという。
「若い人たちの間で、新しいものを与えられるだけでなく、古き良き暮らしに価値を見出す人が増えているように感じます。DIYはおしゃれで、しかも手頃なものとして肯定的に捉えているのでは」（ゴさん）。
一方、リノベーションやDIY型の賃貸物件は社会問題化する「空き家問題」の対策という視点からも注目を集めている。平成25年総務省発表全国の「空き家率」は総住宅数に占める割合が13・5％と過去最高を更新。今後この割合はさらに増えると予測されている。
道具類は無料でレンタルが可能。DIYアドバイザーによるサポートサービス（有料）もあるため初心者でも利用しやすい
「リノベーションで大切にしているのは、お客様に素材選びや設計、塗装など“参加してもらう”こと。長くおつきあいをして、住みながら手を加えたり家を作っていってほしいので、弊社では施工後のフォローやアドバイスも行っています。引渡しが終わった後もものづくりを身近なものにしてほしい、いつでも来てもらえる場所を作りたい。そう思いスタジオをオープンしました」（ゴさん）。
昨年、そういったニーズの高まりからDIY物件を紹介する不動産事業「みのむし不動産」をスタート。中古住宅探しからリノベーションまでをひとつにした「ワンストップリノベーション」を提案する。「不動産屋さんは建物の構造を良く知らないし、リノベーションを前提にした物件を探す際にミスマッチが起こることもある」とゴさん。同社は不動産部門のスタッフも建築士の資格を持っているため、建築や設計の両面から提案できるのが大きな強みとなっている。
昨年、そういったニーズの高まりからDIY物件を紹介する不動産事業「みのむし不動産」をスタート。中古住宅探しからリノベーションまでをひとつにした「ワンストップリノベーション」を提案する。「不動産屋さんは建物の構造を良く知らないし、リノベーションを前提にした物件を探す際にミスマッチが起こることもある」とゴさん。同社は不動産部門のスタッフも建築士の資格を持っているため、建築や設計の両面から提案できるのが大きな強みとなっている。
フィールドガレージ事務所内の打ち合わせスペースには、リノベーションのイメージが沸くよう多様な素材が用いられている
さらにユニークなのが、社内に「パーマカルチャー」部があること。スタジオ前にある手作りの雨水タンク、コンポストボックスなどもその一環。
「弊社の社員は月1で神奈川県の藤野町にパーマカルチャーの講座に通い、暮らしを循環する知恵を学んでいるんです。それらの考えはリノベーションや暮らし方の提案に自然とつながっていると感じます」（ゴさん）。
スタジオのユーザーは20〜30代が中心。雑誌やインターネットなどで探して訪れる人が多数で、リノベーションの顧客も目立つ。3名程度のグループでも利用 できるため、学生のグループや家族・子ども連れの利用も多く、製作アイテムもデスクやベンチ、学校の工作、看板まで様々。また定期的にDIYや暮らしにま つわるワークショップも開催しており、過去にはブリックタイル貼り、木材のエイジング加工講座、ウェルカムボード作りなどが開催されている。
「現在オーダー家具のデザインと販売を行っていますが、夏までにはパーツや家具の通販をスタートする予定です。今後はパーマカルチャー部やワークショップにも力を入れていきたいですね」（ゴさん）。
このように建物と設計、家具など様々な視点から、人と家とモノと長くつきあえるサステナブルな暮らしをサポートしてくれるのが同社の魅力といえるだろう。
「弊社の社員は月1で神奈川県の藤野町にパーマカルチャーの講座に通い、暮らしを循環する知恵を学んでいるんです。それらの考えはリノベーションや暮らし方の提案に自然とつながっていると感じます」（ゴさん）。
スタジオのユーザーは20〜30代が中心。雑誌やインターネットなどで探して訪れる人が多数で、リノベーションの顧客も目立つ。3名程度のグループでも利用 できるため、学生のグループや家族・子ども連れの利用も多く、製作アイテムもデスクやベンチ、学校の工作、看板まで様々。また定期的にDIYや暮らしにま つわるワークショップも開催しており、過去にはブリックタイル貼り、木材のエイジング加工講座、ウェルカムボード作りなどが開催されている。
「現在オーダー家具のデザインと販売を行っていますが、夏までにはパーツや家具の通販をスタートする予定です。今後はパーマカルチャー部やワークショップにも力を入れていきたいですね」（ゴさん）。
このように建物と設計、家具など様々な視点から、人と家とモノと長くつきあえるサステナブルな暮らしをサポートしてくれるのが同社の魅力といえるだろう。
右：代表の原直樹さん、左：PR担当のゴレイコさん
世界的に広がるDIYやものづくりの動きは、様々な繋がりとコミュニケーションを生み出し、自らの手でオリジナルを手にする豊かさを教えてくれる。ライフスタイルへの関心が加速している今、DIY人気はさらに定着していきそうだ。
【取材・文／渡辺満樹子】
【取材・文／渡辺満樹子】
