アメカジをベースにした代々木上原のセレクトショップ「Color at Against(カラーアットアゲインスト)」、スケーターカルチャーを背景にしたストリートウェアブランドを扱う「EAZE(イーズ)」、オールドスクールBMXなどの自転車も揃える池ノ上「MIN-NANO(ミンナノ)」など、ここ数年、スケートボード/自転車カルチャーを背景とした個人オーナー系セレクトショップが増えている。2014年11月、富ヶ谷にオープンした「SEE YOU SOON(シーユースーン)」もそのひとつ。大手企業のショップとは一線を画すインディペンデントなセレクトショップだ。
「SEE YOU SOON」は、フリーのグラフィックデザイナーとして活躍する山本直樹さん(36歳)とWEBディレクターの森田涼平さん(35歳)が運営。2人は2007年頃に、趣味のピストバイクを通じて世田谷公園で出会い、その後2010年頃からグラフィックレーベル「SAYHELLO」(セイハロー)をスタート。現在ではビームスT 原宿や、アレキサンダー・リー・チャン率いるSHOP2[Ni](ショップ ニ)などで展開している。
山本さんと森田さんは、富ヶ谷で事務所をシェアしており、ある日、事務所のから徒歩1分の場所に空き物件を発見。角地にあって2面入口の約9坪の物件に惹かれ、「ありきたりなクリーニング店などになってしまってはつまらない、それなら何かやってみよう」と衝動的に物件を借りたという。
2人とも店を出すビジョンは全く持っていなかったが、せっかくならSAYHELLOらしい店を作ろうと構想を練っていった。ほぼTシャツにグラフィックを載せただけのラインナップなのでオンリーショップは難しい。そこで、大手の企業が絶対にやらないフォーマットで、いわゆる売れ筋とは異なる、自分たちが好きなファッションアイテムや雑貨などをセレクトしたという。
商品は、アパレルと雑貨、菓子、飲料などで構成。アパレルはメンズが中心で、「SAYHELLO」のほか、元HECTIC(ヘクティック)代表で、プロスケーターの江川“YOPPI”芳文さんと関正史さんが手掛ける「Hombre Nino(オンブレ・ニーニョ)」や帽子ブランド「CHANNEL CAP(チャンネルキャップ)」、ロンドンのスケートブランド「Slam City Skates(スラムシティースケート)」など、親交のある仲間が手がけるインディーズブランドがほとんど。また、アメリカで買い付けた雑貨は「ギャグっぽくて面白いけれど買うまでには至らなそう」なものを敢えてセレクト。「私物に値札をつけている」ような感覚を大切にしており、大手のような売れ筋を集めたセレクトとは一線を画す面白さがある。
オープンは水・木・金・土の週4日。デザインの仕事と並行して山本さんと森田さんが交代で店に立っている。
「僕らはずっと自分たちが好きなスケーター・自転車のカルチャーをベースに創作活動をしてきました。僕らが影響を受けた今4〜50代の先輩はまだまだ活躍しているけれど、今ハタチくらいの若い世代とは断絶しているから、自分たちが、世代間の架け橋になれたらと思います。同時に、自分たちが好きなことをやることの重要性を伝えたい。次は白が流行るから白をセレクトして…というようなトレンドのルールとは全く違うことをやっているので、それでOKなんだというメッセージを感じてもらえればと思います」(山本さん)
長い目で見てSAYHELLOのセンスや雰囲気がわかってもらえるようなショールームにしていくと同時に、まるで先輩の家に遊びに行って「こんな音楽を聴いて、こんな部屋着を着て過ごしているんだ」と感じるような、そんなアットホームな店にしていきたい、と山本さんは語る。
定点観測を振り返ってみても、ここ数年90s風ファッションの人気が再燃しており、Supreme(シュプリーム)などのストリートブランドをきっかけに、スケートボードや自転車など、その背景にある文化に憧れる新人類ジュニア世代は少なくないようだ。ブームの背景には、90年代に青春時代を過ごした団塊ジュニア世代が、デザイナーやディレクター、そしてショップオーナーなどの仕掛け手側になった事が関係しているようだが、そんななかで同店のように、オーナーのこだわりや背景にあるコミュニティをダイレクトに感じられるショップが存在感を表していきそうだ。
取材・文 緒方麻希子(フリーライター・エディター)
取材日/2015年5月22日
取材日/2015年5月22日
SEE YOU SOON
東京都渋谷区富ヶ谷2丁目19−12
TEL:03-5738-8039
営業:14:00〜19:00(水・木・金・土)
休み:日・月・火
TEL:03-5738-8039
営業:14:00〜19:00(水・木・金・土)
休み:日・月・火