今年7月11日、東京・千駄ヶ谷に、ダンスを始めとする、“ストリートカルチャーをルーツに持つ大人”に向けたファッションを提案するセレクトショップ「CONTE-NU(コンテニュー)」がオープンした。いわゆるダンサーファッションとしてイメージされるような派手でルーズなアイテムではなく、誰でも着られるTシャツやジャケット、革靴、ワンピースなど、カジュアルながらもシンプルで洗練されたアイテムが中心だ。ディレクター・渡邊咲さん(25歳)は、「ストリートダンスがもっとカルチャー色の強かった90年代の影響を受けた世代が大人になった今、そういった人たちにも今っぽく楽しんでもらえるようなファッションを自分たちなりに提案しています」と話す。
90年代といえば、MCハマー「U Can't Touch This」やZOO「Choo Choo TRAIN」の大ヒットに、TV番組企画「高校生制服対抗ダンス甲子園」の盛り上がりが起きた空前のストリートダンスブームの時代。その他、DJやスケーターといったカルチャーの全盛期だった。渡邊さんにとって当時のダンスシーンは、「今よりもストリートっぽさがあるかっこいい時代」という。
「コンテニュー」を運営するのは有限会社ワークル。東京・代々木を中心にダンス&音楽スペース「ANCE(アンス)」、バー「shirokuma(シロクマ)」、音楽レーベル「yygrec(ワイワイジーレック」などを展開しているが、今回初めてアパレル事業に乗り出した。代表の平塚拓也さん(38歳)
ダンスの周辺にあるファッションや音楽にも敏感に反応してきたという平塚さんと渡邊さん。アパレルへの進出、出店のきっかけは、平塚さんが今後ダンサーとして海外での活動も増えていくなかで、海外のファッションやカルチャーも自分達の感性を活かして紹介したいという思いがあったからだそうだ。
(TAKUYA / SYMBOL-ISM)
も現役のダンサーで、DJ、アーティストの振り付け、ダンススペースの運営などあらゆる角度からダンスシーンに関わっている。ダンスの周辺にあるファッションや音楽にも敏感に反応してきたという平塚さんと渡邊さん。アパレルへの進出、出店のきっかけは、平塚さんが今後ダンサーとして海外での活動も増えていくなかで、海外のファッションやカルチャーも自分達の感性を活かして紹介したいという思いがあったからだそうだ。
「ダンスと一緒にあるファッションや音楽というカルチャーを大切にしたくて、踊るだけでなく音楽やファッションを語り合えるバーや、大人が仕事帰りにダンス出来るスペースをつくってきました。ダンサーはもちろんですが、DJ、ビートメイカー、アーティスト、企業にお勤めしている方と、いろいろな方が集まってくれています。そうした背景もあって、ダンサー向けではなく、“ストリートカルチャーをルーツに持つ大人”が普通に着られるものを揃えるお店にしたかったんです。3,000円のTシャツもあれば5万円のジャケットも揃うので、そういうものを組み合わせて楽しんでほしいという思いでセレクトしています」(渡邊さん)。
商品構成は国内、海外とオリジナルで、メンズとレディースは7:3。海外ブランドが約6割を占め、9月現在ではパリのブランドが特に多いそうだ。商品はシンプルな中にもデザインや素材に個性が光るもので、バイイングはメンズを平塚さん、レディースを渡邊さんが担当。セレクトの基準は、背景やカルチャーが感じられて、ストリートの要素を持つブランド。例えば、ダンサー出身のデザイナーが手掛ける「VIM+BOP(ヴィムプラスバップ)」、音楽シーンにも精通したデザイナーが手掛けるパリのブランド「APRIL 77(エイプリルセブンティセブン)」など。また、ブルックリンのハウス系レーベル「Mister Saturday Night(ミスターサタデーナイト)」、ドイツ・ハンブルグのレーベル「SMALLVILLE(スモールヴィレ)」といった海外レーベルのTシャツも揃う。他にもニュージーランド発で日本未上陸の「I LOVE UGLLY(アイラブアグリー)」、パリの「LES PRAIRIES DE PARIS(レ プレリード パリ)」、洋服以外では「MAISON EUREKA(メゾンエウレカ)」の靴や、フランス買い付けのアンティークを含むアクセサリー類なども扱う。
また、平塚さんが発案するオリジナルの「shirokuma(シロクマ)」はデザインに遊び心を感じるTシャツが中心。チャンピオンのボディにハウスミュージックの3大ジャンル「JACK」「BEATDOWN」「RAWHOUSE」のロゴを入れたTシャツ(5,400円)は、それぞれのジャンルを知らない人が店頭で曲を試聴し、気に入ったジャンルのロゴを選んで買ったこともあったというから面白い。価格帯は3,000~4万円台程度で、秋冬は単価がもう少し上がる予定。
また、平塚さんが発案するオリジナルの「shirokuma(シロクマ)」はデザインに遊び心を感じるTシャツが中心。チャンピオンのボディにハウスミュージックの3大ジャンル「JACK」「BEATDOWN」「RAWHOUSE」のロゴを入れたTシャツ(5,400円)は、それぞれのジャンルを知らない人が店頭で曲を試聴し、気に入ったジャンルのロゴを選んで買ったこともあったというから面白い。価格帯は3,000~4万円台程度で、秋冬は単価がもう少し上がる予定。
「大手が置いてない、インディペンデントで少しマニアックなブランドが多いと思います。小さい店舗なので“売れればいい”というのでは意味がない。面白いことをしたくて始めた店ですから」(渡邊さん)。
場所は千駄ヶ谷駅や原宿駅から徒歩10分ほどで、「Ron Herman(ロンハーマン)」のすぐ隣。本社や自社施設が近い馴染みの場所で、落ち着いた雰囲気でターゲットとなる大人の行き来があり、約40平米というサイズもちょうど良かったそうだ。元テーラーだったという店内は、当時の重厚感ある棚が左右両壁面に備え付けられたままだったため、内装はその棚を半分活用。残り半分は白を基調にリノベーションした。その中央を石膏ボードが仕切っていて、行き来するたびに異なる雰囲気を感じられる。店舗のイメージは、店名でもある「CONTENU」から発想。フランス語で中身を表す「contenu」、英語で現代を意味する「contemporary」、フランス語で裸の「nu」といろいろな意味を混ぜた店名にもあるように、新しい要素と受け継がれる要素が融合する店舗が作りたかったという。内装デザインは建築家ユニット「assisant(アシスタント)」の有山宙さん。
場所は千駄ヶ谷駅や原宿駅から徒歩10分ほどで、「Ron Herman(ロンハーマン)」のすぐ隣。本社や自社施設が近い馴染みの場所で、落ち着いた雰囲気でターゲットとなる大人の行き来があり、約40平米というサイズもちょうど良かったそうだ。元テーラーだったという店内は、当時の重厚感ある棚が左右両壁面に備え付けられたままだったため、内装はその棚を半分活用。残り半分は白を基調にリノベーションした。その中央を石膏ボードが仕切っていて、行き来するたびに異なる雰囲気を感じられる。店舗のイメージは、店名でもある「CONTENU」から発想。フランス語で中身を表す「contenu」、英語で現代を意味する「contemporary」、フランス語で裸の「nu」といろいろな意味を混ぜた店名にもあるように、新しい要素と受け継がれる要素が融合する店舗が作りたかったという。内装デザインは建築家ユニット「assisant(アシスタント)」の有山宙さん。
メインターゲットは、90年代にストリートカルチャーで育った30代(後半)。実際には10代後半から50代までが来店しているが、やはり30代が一番共感してくれるという。男女比は半々。雑誌で言うと男性は『POPYE(ポパイ)』のような旬のきれいめストリート系、女性は『GINZA(ギンザ)』のようなカジュアルモード系で、カルチャーへのアンテナが高い人が多いそう。隣が「ロンハーマン」という立地や、アパレル会社が密集する地域であるため、こなれたファッションの業界人がふらっと来店することが多いというのも特徴だそうだ。
「ダンサーの印象を世間的にも、もっとかっこいいものにしていけたらとも思っています。また、私たちはカルチャー的な背景にこだわってセレクトしていますが、何も知らない人がフラットな目で見ても良いと思ってくれるとうれしいですね」(渡邊さん)。
「ダンサーの印象を世間的にも、もっとかっこいいものにしていけたらとも思っています。また、私たちはカルチャー的な背景にこだわってセレクトしていますが、何も知らない人がフラットな目で見ても良いと思ってくれるとうれしいですね」(渡邊さん)。
中学校でのダンス必修化や、アイドルグループ・ダンスグループの影響を受け、ストリートダンスはすっかり習い事のひとつになって久しい。さらに近年は、キッズダンスも大ブーム。「ストリートダンス」の低年齢化・大衆化はますます進んでいる。しかし、その一方で90年代に開花した日本のストリートダンスカルチャーは、シーンと共に成長してきた大人の手によって洗練され、成熟しつつあるタイミングであるといえるだろう。
取材・文 緒方麻希子(フリーライター+エディター)
CONTE-NU(コンテニュー)
東京都渋谷区千駄ヶ谷2-6-1 不二ビル 1F
電話番号:03-6447-0365
営業時間:12:00~19:00(木曜定休)
電話番号:03-6447-0365
営業時間:12:00~19:00(木曜定休)