あっという間に今年も半分! 6月4日(土)に実施した第426回目となる定点観測。紫外線が強いながらも梅雨直前爽やかな季節(関東地方は6月5日に梅雨入り!)。他の仕事の関係もあって前日まで、渋谷や原宿、新宿以外に、銀座・日比谷、丸の内、六本木などもプレサーベイをした結果、ここ数年の大きなトレンドの流れを振り返りつつ、全体的にみて、トップスもボトムスも大きめでゆったりとしたシルエット、ビッグシルエットがすっかり幅広いトライブに浸透していることが確認された。
ビッグなシルエットといっても、90sのように、ルーズでだらしのない感じではなく、また2000年代前半のデザイントップスやワイドパンツにみられたサイズ感よりも大きめ。先月(5月)のカウントアイテムとした「白トップス」に代表されるような、クリーンで上質、でもリラックス感があるのが今春夏の特徴だ。クリーンな印象を受けるのは、トップスが圧倒的に白が多く、ボトムスが白以外でもヌーディーカラーやペールトーン、または黒、紺など無地でモノトーン調のシンプルなコーディネートが多いからかもしれない。
ということで、先月は大流行を通り越してすっかり定番となっていた「白トップス」を取り上げたが、今月はそのボトムスが、すっかりゆったりめの太パンツ(幅広パンツ、ワイドパンツ、ガウチョパンツ、スカンツなどの別称も含む)に注目し、なかでも超ベーシックに支持されている黒い太パンツをカウントすることにした。
定点観測を振り返ると、昨年大ブレイクしたGUの黒のガウチョパンツが、今年になり丈が長くなってスカンツ(スカートのようなパンツの意味)、またはスカンチョ(同じ意味の今年の造語)となり、体系カバー力があることから、昨年よりも幅広い層、トライブに浸透し、量的に太パンツが増えている、ということだろう。
以下は今春の女子のパンツルック。全体的に太めが定番になっているようすが伺える。また、3月に「Gジャン」を取り上げ、デニムが急浮上したようすを記録したが、今春夏は太めが主流。今月もひき続き目立っていた。また、ティーンズにはパジャマのようなサテン地のカラフルな太パンツも少なくなかった。
◎各地点別の着用率は以下の通り。カウント時間は各地点13:30~14:30の1時間。定義は以下の通り。
・女性太パンツ:太もも〜脚部分が泳ぐほど幅がゆったりとしたパンツを着用している女性すべて。色や柄、素材は問わない。丈はヒザ下以上とする。
・うち、黒太パンツ:色が黒の無地の太パンツを着用している女性すべて。素材は問わない。
各地点のカウント結果は以下の通り。
5月は通行量が増加した(≒来街者数が増加)渋谷や原宿が6月は減少。一方の新宿地点の女性の数は増えていた。「女性太パンツ率」は、渋谷地点の13.9%がもっとも多く、次いで新宿地点が10.4%、原宿は9.3%という結果に。浸透率の数値以外に、各地点で撮影した約400カットの写真を見比べてみると、やはり渋谷が標準で、新宿がそのフォロアー、原宿はさらに先を行くエッジーな若者が多い場所という3地点の意味性が感じられた。
●渋谷:n=1,856人/5月比81.3%
男性通行人 54.8%(1,081人)5月比75.7%
女性通行人 45.2%(838人)5月比55.9%
うち、スカート着用 31.3%(262人)
女性太パンツ 13.9%(209人)
うち、黒太パンツ 5.5%(46人)
●原宿:n=4,132人/5月比92.3%
男性通行人 41.1%(1,698人)5月比92.6%
女性通行人 58.9%(2,434人)5月比92.2%
うち、スカート着用 25.3%(616人)
女性太パンツ 9.3%(226人)
うち、黒太パンツ 2.6%(64人)
●新宿:n=2.637人/5月比99.0%
男性通行人 48.8%(1,287人)5月比95.6%
女性通行人 51.2%(1,350人)5月比104.9%
うち、スカート着用 28.5%(385人)
女性太パンツ 10.4%(141人)
うち、黒太パンツ 5.0%(67人)
ズームアップ1:インパクト・プリントTシャツ(含ロックT)
プレサーベイでは、白い丸首のTシャツが量的に見て目立っていたが、渋谷を中心に、総柄のトップスや、前身頃の部分にイラストやフォトプリント、ブランドやバンドなどのロゴモチーフがアレンジされたものなど、インパクトのある絵柄が前面に施された“シンプルじゃないTシャツ”を着ている若者が増えているので、今回取り上げた。
プレサーベイでは、白い丸首のTシャツが量的に見て目立っていたが、渋谷を中心に、総柄のトップスや、前身頃の部分にイラストやフォトプリント、ブランドやバンドなどのロゴモチーフがアレンジされたものなど、インパクトのある絵柄が前面に施された“シンプルじゃないTシャツ”を着ている若者が増えているので、今回取り上げた。
ちょうど実査当日、Aikoのライブがあったり、大原櫻子のラジオ出演があったことから、アーティストTシャツを着ているファンの姿も目立った。たしかに、近年、ミュージシャングッズはインディーズ系に至るまでかなり浸透しており、ライブの後にCDといっしょにミュージシャン自らが販売するケースも目立つ。そのファッションセンスもなかなかのもの。小ロットでも発注ができる業者やサービスも増え、DIYやFab的なセンスも相まって、アーティストグッズのファッション化は今後ますます盛んになりそうだ。
いずれにしても、先月(5月)に取り上げた「柄シャツ」同様、そろそろシンプル&ベーシックに飽き、じわじわと“脱・シンプル”な装いが進行しているようすが伺えた。
★各地点の「インパクトTシャツ」はこちらをどうぞ
ズームアップ2:キャミソール(おキャミさん、キャミ子ちゃん)
肩ヒモが細く肩部分を露出する袖なしのトップス=キャミソールが増えてきたので今月(6月)取り上げた。
オフショルダーのブラウスがギャル系に人気浮上中なように、一枚で肩を露出して着こなすセクシーなスタイルも増えているが(上にカーディガンやGジャン類を肩掛けしたりしている)、一方では、下にTシャツやカットソーなどを重ねたレイヤードスタイルも少なくない。
オフショルダーのブラウスがギャル系に人気浮上中なように、一枚で肩を露出して着こなすセクシーなスタイルも増えているが(上にカーディガンやGジャン類を肩掛けしたりしている)、一方では、下にTシャツやカットソーなどを重ねたレイヤードスタイルも少なくない。
肩ヒモ/ストラップ部分が下着っぽい雰囲気もあり、「ランジェリー/レース類のアウター化」というトレンドがストリートに降りてきている、という見方もできそうだが、一部の男子にサスペンダーが人気というボーイッシュな流れや、昨年から人気のオールインワンの肩部分がキャミソール風ストラップになっているなど、トップスにちょっとしたデザインのアクセントをプラスしたい、という気分が出てきているようだ。ポイントは、「セクシー系キャミ」と「ユニセックス感(セクシー過ぎない)」の両方あること。
今初夏は、カッティングやデザインなどがちょっと変わっている(工夫されている?)「デザイントップス」も一般化しそうな兆しも感じられ、どうやら秋冬は確実に「脱・ノームコア」へとシフトチェンジしそうだ。
★各地点の「キャミソール」ルックはこちらからどうぞ。