あっという間に今年も今月を含め、残すところ4カ月という9月の定点観測。その解説レポートを掲載する前に、渋谷地点においては、37年目に入り、初めて“パルコのない公園通り上”での観測となることから、ということで、いつも通り「公園通り(元)渋谷パルコ前」での観察の傍ら、周辺の人の流れも観察しようと、スタッフ全員で軽く歩いてみることにした。
最初は、公園通り(元)パルコ前→神南1丁目交差点/MODI前→神南郵便局前交差点→「ゴリラ珈琲渋谷店前」→「FREEK’S STORE渋谷店」→「神南カフェ」→「ビームスメン渋谷」→宇田川町交差点→勤労福祉会館前交差点→公園通り(元)パルコ前というコース。2回目はその逆とぐるりと巡ってみることにした。
“渋谷の街“に関しては、「ACROSS」編集部にて、1977年より1998年まで毎年「渋谷大調査」と題したFWをベースとしたリサーチを行っており、その後、2,000年、2005年、2010年と、5年に1度のペースで、ときにはクライアントさんとの共同調査などの体制で大規模FW(フィールドワーク)を行ってきた経緯がある。そのペースでいうと、昨年の2015年が該当年となるが、振返ってみると、近年編集会議であげられる“渋谷ネタ”が、渋谷というよりは、神山町や富ヶ谷、代々木上原、または社内研修としてもFWを行った千駄ヶ谷、中目黒を通り越した都立大学、さらには清澄白河や蔵前といった“(東京の)東エリア”などのネタへの関心が高まり、いわゆる渋谷ど真ん中の事象、「ガチな渋谷」を実際に取材する機会が少なくなっていたことがわかる。
もちろん、「渋谷チーズスタンド」や「リトルトーキョー」など、次の時代のトレンドを予測させるスモールビジネスを取り上げており、そうなると案外弊社(パルコ)の渋谷店に出店したショップやポップアップストア(催事)などだったりすることが多く、手前ミソになりそうなのであえて取材しなかったりといった状況だったように思われる。
もちろん、「渋谷チーズスタンド」や「リトルトーキョー」など、次の時代のトレンドを予測させるスモールビジネスを取り上げており、そうなると案外弊社(パルコ)の渋谷店に出店したショップやポップアップストア(催事)などだったりすることが多く、手前ミソになりそうなのであえて取材しなかったりといった状況だったように思われる。
そんななか、今月37年めに入った定点観測(第1回目は1980年8月9日(土)だった)は、前日までのプレサーベイを行った結果、マストレンドとして「男/女スポーツサンダル」を、次に流行りそうなアイテムやスタイルとして、「ボリューム袖」と「オープンカラー(開衿)」をテーマとした。
13:30~14:30の1時間を観測する「通行人数(渋谷パルコ前で公園通りを上っていく人のみ1時間)」は、1,447人と8月の2,357人と比べると61.4%、7月の2,995人と比べると48.3%とやはりかなり少なくなっていた。ちなみに、6月は1,856人、5月は2,927人、4月は2,837人、3月は2,283人、2月は2,092人、1月は2,160人。また、2015年9月は2,078人、2014年9月は2,094人、2010年9月は1,605人、2000年9月の1,820人と、駅から遠い“渋谷公園通り上”の人通りは、月によって変動があり、たとえば代々木公園周辺でのイベントや渋谷パルコでのイベント等によっても左右されていることを改めて確認させられる。
せっかくなので、さらに10年、20年と長いスパンで通行人数のデータを振返ってみた。例えば1985年9月の通行人数は3,114人、ちょうど30年前に当たる1986年9月は2,998人、20年前の1996年9月は2,735年と、どうやら80年代、90年代、00年代、そして10年代と緩やかに渋谷の通行人数は減少傾向にあることがわかる。しかし、実は新宿地点も同様の傾向がみられることから、大きくは以下のような要因が考えられそうだ。
①90年代以降、地方都市や郊外にSCやモール、商業施設などが増え、渋谷(や新宿)などの特異性が薄れた
②週末の人々の街に出る時間が遅くなっている
③10年代以降は(個人売買も含み)ショッピング目的の来街がECに取って変わられている
とはいえ、渋谷に限ってみてみると、街の特性として、隣接する原宿や富ヶ谷方面、代官山・恵比寿、青山など放射状に繋がっていて境目が曖昧で、10年代以降は、特に“渋谷の輪郭部分”の集客がさかんになっていること(NPO法人シブヤ大学と合同で実施したFW調査「シブヤ大学定点観測学科」より)などの影響もありそうだ。
「ACROSS」編集部のカウント数値は、たった1時間、しかも未だにカウンターを手に、カチカチと測定する極めてアナログな調査ではあるものの、まちを司る人びとの変化を示す一指標であることには違いはなく、今後ていねいにFWや取材などを通して、考察を深めていきたい。
ということで、定点観測当日のミニFWの写真をご覧ください。
ということで、定点観測当日のミニFWの写真をご覧ください。
[文責:高野公三子(本誌編集長)]