ところで、「coin space」のある「クリエーションスクエアしぶや」は、元々渋谷マークシティ創業時は住民票を受け取れるなどの機能を持つ渋谷区の出張所だった場所だ。その後、渋谷区観光協会が発足し、その事務所兼観光案内所となったが、観光写真や子どもの習字作品の展示などには利用していたが、せっかくの立地にもかかわらず、まるで開かれていない施設となっていた。
それが大きく変わったのは、今年4月、渋谷区観光協会に就任した元大手広告代理店、大手アーティスト事務所などでの経歴を持つ金山淳吾理事長が就任してからだ。同観光案内所の入りづらいイメージを払しょくし、人が集まるスペースにしたいと考え、前職時に仕事での付き合いのあった佐藤さんに声をかけ、「coin space」との異業種コラボが実現したというわけだ。当初より現在の使い方を考えていたわけではなく、たまたま時期もよくマッチングしたそうだ。
「渋谷区観光協会の事業内容は、①渋谷ブランドの創造と確立、その情報を発信することによって、都市の活性化と区民の豊かな生活、魅力的な街づくりを推進すること。②アオガエル観光案内所や原宿のもしもしボックスと合わせて計3カ所のコミュニティスペースを運営しつつ、渋谷区で何か面白いしかけをしたい企業と行政との関係のバックアップなどを行うのが仕事です」と言うのは同観光協会の企画広報部・プロデューサーの堀恭子さん。
堀さんも、実は商業施設の販促運営などを経験し、前職の広報の仕事の時に金山理事長と出会った縁で観光協会に転職したとのこと。「coin space」のゆるやかなコミュニティ感と、他の行政関連施設には少ないオープンなイメージは、この3人のつながりと人となりから生まれたともいえそうだ。