コレクショントレンドだけを見ていると気がつかない「流行」が街にはときどき浮上する。ましてや、雑誌やウェブメディアはそれらをフォローする記事(含むタイアップ)が膨大にあるので、リアルなトレンドがあっても気づかないままシーズンが過ぎてしまうことも少なくない。
「ACROSS」編集部では、そういう類いの“隠れトレンド”に出会うと「気がつけば増えていた〜」という表現をしばしば用いるが、今月注目したカウントアイテム「男性/女性コンバース」はまさにそれだ。
「ACROSS」編集部では、そういう類いの“隠れトレンド”に出会うと「気がつけば増えていた〜」という表現をしばしば用いるが、今月注目したカウントアイテム「男性/女性コンバース」はまさにそれだ。
「男性/女性コンバース」。え?コンバース? いまさら?、ずっと流行ってるのでは? ああ、安いからティーンズは履いてるよね・・・。あれ?ニューバランスとかの方が多くてコンバースは減ってるのでは? 店頭でもあまり売ってないよねえ…。という声が聞こえてきそうなほど、コンバースは「定番中の定番アイテム」でもある。
そこで、定点観測を振り返ってみよう。
「コンバース」というテーマで取り上げたのは1997年2月。その後、「コンバース(風)スニーカー」として2000年12月、2006年3月に「白スニーカー」というテーマで取り上げた際、最も多かったのがコンバースだったが、今回のブームの起点となるのは、雑誌『POPEYE(ポパイ)』が全面的にリニューアルし、<シティーボーイ>という“都市生活者の新定番”とでもいうようなファッションやライフスタイルの価値観を提唱するようになった、2012年前後からだろう。定点観測では、「ニューバランス」(2013年1月)、「ナイキ」(2014年1月)、「アディダス」(2015年12月)と面白いようにスポーツブランドのスニーカーブームを順番に取り上げてきたが、雑誌『&Premium』の創刊をはじめ、“ライフスタイルショップ”、“ライフスタイル系”、“ノームコア(ノーマル×ハードコア)”のブームを背景に、ジャーマトレーナーやバンズなど、比較的ワントーンでデザインがシンプルな“クラシック系のスニーカー”のブームへと変化していったのは記憶に新しい。
スポーツブランドの人気のスキマを埋めるように、2011年4月に「白スニーカー」、2012年9月に「ハイカットスニーカー」、2013年3月に「ネオンカラー」、4月に「白スニーカー」、5月にニューバランス風(丸っこいデザインの)スニーカーなども取り上げており、ここ数年、ずっとスニーカーが支持されていて、デザインや色、素材(レザーからキャンバス地、ニット、)などが洋服との組み合せから少しずつ変化し、“ブーム”から“スタイル”へと変化しているようすが伺える。
ちなみに、2012年9月に「ハイカットスニーカー」というテーマで観察したときは、コンバース・オールスターの人気が急浮上。当時インタビューした女性(28歳雑貨屋販売員)は、「(今日の服装に合わせて)モードっぽくなり過ぎないようにコンバースで外した」と話してくれた。「洋服にはお金をかけたくない」ので、「ブックオフ」や古着屋などで買っている」と、今月(2016年11月)のインタビューでも聞かれたような“ファッションにお金をかけていない”、“おしゃれ過ぎない”というカンカクとも近い気分・インサイトが当時から得られていた点にも注目しておきたい。
*インタビュー⇒ http://www.web-across.com/observe/cnsa9a000009jvze.html
*インタビュー⇒ http://www.web-across.com/observe/cnsa9a000009jvze.html