風とロックBAR（バー）

「3月で空く物件があるんです。全部そのまま残っていて、連休が明けたら次の工事が始まるんですが、それまでなんかやりませんか？」「いいですねー、やりましょう！！！」

そんな経緯から、クリエイティブ・ディレクター箭内道彦さんの「風とロックBAR」が渋谷パルコのレストランフロアに17日間の期間 限定でオープンした。改装工事前のテナント跡を居抜きで使用し、工事前の仮囲いもそのまま。空き家を不法占拠し、営業しているという趣だ。ドリンクは“ロック”のみ。フードは近隣テナントからの出前でまかなっている。

「最初にお話を頂いたときは全く何のヴィジョンもないまま承諾したんですよ。それから何をしようか考えて、はじめてみたらうまくいったと いう感じです(笑)。その日によって音楽がテーマだったり雑誌がテーマだったりとめちゃくちゃですが、お金稼ぎしようとかは全く考えずに、アーティストとお客さんがボーダレスでいられる空間がいいなと思ったんです」（クリエイティブ・ディレクター箭内道彦さん）。

基本的には、連日、箭内さん自らが企画、ブッキングしたイベントが行われており、ミニライブや編集者による公開取材、ラジオの公開収録 などジャンルも幅広い。当日になって急遽ゲストが決まったりということもあるというユルいスタンスがなんとも心地よい。イベント開催時でも入場料などは特になく、ドリンクのオーダーがあればOK。同日に複数のイベントが開催される日もあるが、入れ替えもなし。雑誌編集者やミュージシャンなどが予告なしに遊びに来たり、出演者にゆかりのある関係者がステージに上げられたりということも。

準備期間が短かったこともあり、告知はホームページやブログのみにもかかわらず、連日、学生から業界の人間まで、「箭内ワールド」のファ ンで大賑わい。急にゲストが決まったりすることもあるため、随時更新 しているそうだが、まさに、ブログという即効性のあるメディアは、こ のようなイベントにはぴったりといえるだろう。箭内さんも研究員の 1人という立場で参加している“MOTTAINAIキャンペーン” のイベントの時には、30代、40代の親子連れの姿も見られた。

「箭内ワールド」の魅力は、幅広いジャンルに跨がりながら、どこか箭内さんのパーソナルな感覚に貫かれていることだろう。その個人的な嗜好や交遊関係が表れているのが、自らが編集長を務める「月刊　風とロック」という05年から発行しているフリーペーパーだ。編集長・箭内さんの好きなもの、好きな人しか載せないパーソナルな雑誌だが、フリーペーパー離れしたボリュームでファンを獲得しているのである。

残念ながら17日間という短い期間での開催だが、今後もこうした機会があれば、期間限定でどこかに出没する可能性もあるという。改装などのスキマに、全国のどこかで「風とロックBAR」が現れるのを期待して待ちたいところだ。

[取材・文／本橋　康治（フリーライター）+『ACROSS』編集部]

「風とロック　BAR」
■期間：4月25日（金）〜5月11日（日）
■営業時間：18時〜24時
■場所：渋谷パルコ・パート1　7階　レストランフロア内

— イベント予定一覧（5/7以降）—
■ 5/7（水）21：00〜　「THE SUNDAY DRIVERS(箭内道彦×渡辺建二『スネオヘアー』)」
■ 5/8（木）19：00〜　「池田貴史」(SUPER BUTTER DOG/レキシ/100s)vsオカモト“MOBY”タクヤ(SCOOBIE DO)」TALK SHOW
■ 5/8（木）21：00〜　「ALL〜世界のアートに出会う旅〜」NIGHT
■ 5/9（金）19：00〜　「戸田康平」ACOUSTIC LIVE
■ 5/9（金）21：00〜　「鈴木康広」NIGHT
■ 5/9（金）22：30〜　「茂木徹(サンボマスターマネージャー)×箭内道彦」学ラン対談
■ 5/10（土）19：00〜　「高橋優」ACOUSTIC LIVE
■ 5/10（土）21：00〜　「シブヤ大学」NIGHT
■ 5/11（日）19：00〜　「トップラソメー」NIGHT　(箭内道彦×SHIHO）